あなたの保険大丈夫ですか?将来の年金支給額知ってますか?直ぐに計算出来ますよ -116ページ目

なぜ、年金は崩壊するのか?(2) 一生に一度のインフレ・・それで終わり(1)

なぜ、年金は崩壊するのか?(2) 一生に一度のインフレ・・それで終わり(1)

年金にもいろいろなタイプがあって、とても複雑ですが、この複雑なものをよく理解するにはまずは簡単なモデルを作って考えるのが良いようです。おまけに年金には「賦課型」などの専門用語がありますが、日常的な用語を使うと、「積立型」と「その年型(使い切り型)」があります。もちろん、中間タイプもあるのですが、それは複雑になるだけなので割愛します。

・・・その年型・・・

もともと「年金」が必要になったのは、大家族から小家族になり、「年を取ったら子供の世話」という昔ながらの人生を送ることができなくなったからです。かつての日本では「年を取ったら子供の世話」という時代で、もちろん家庭で中では「その年型」でした。家族はその家の収入を稼いでくる人(昔はお父さん)の賃金で暮らし、その中にお年寄りも入っていました。

およそ一人のお父さんが働いて、妻、子供2人、おや2人の5人を養っていたという勘定です。だから、その年に収入が少ないと家族全員で工夫をして貧乏をしのぎ、収入の多い年にはたまには旅行に行ったりしたのです。稼いでくる人が病気をしても両親が旅行に行くなどということはあり得ませんでした。

私が「その年型」の年金をまずは推奨しているのはこれが理由だからです。これを言うと年金の専門家は「そんなこと言ってもヨーロッパでは・・・」という話がすぐ出てくるのですが、日本とヨーロッパでは生活、社会、人生、宗教などが違います。親と子供、夫婦関係も全く違うのに、すぐヨーロッパが出てくるので困ります。

たとえばアメリカやヨーロッパでは子供が18歳になると原則的に家を出て財政的な援助もあまりしません。大学に進学しても授業料はもとより生活費も自前でやるのが普通です。だから、大学の講義も休講を喜ぶ(お金を払っているのに授業が受けられない)と言うことはありません。

つまり、欧米では18歳で子供も家族の一員ではなくなり独立した社会人になりますが、日本は18歳になっても家族の一員であり、時には結婚してもまだ家族と一緒と言うこともあるぐらいです。こんなに親子関係が違うのに、年金となると「アメリカでは・・・」と出てくるのがまた混乱に拍車をかけています。

日本の年金を「その年型」にすると、まず第一に「年金がどこから出ているか」がはっきりします。その年(実際にはその前の年)の若い人の稼ぎに応じて年金額が決まります。そうするとお年寄りの収入は若い人の稼ぎによりますから、「働いている人を大切にしなければ」という気持ちが起きると思うのです(だから昔が良いとか大家族が良いということではありません)。

利回りがどう、分配金がどうというように「お金を中心に年金を考える」のではなく「人の心の動き」を第一にすべきというのが私の考えです。「お年寄りを大切に」というのはわかるのですが、その前に「働いている人を尊敬する」というのが日本の風習であり、それはとても大切なことと思います。

「その年型」というのは、それ以外に多くの利点があります。それは次に説明する「積立型」の欠点である、1)インフレが来たら終わり、2)社会保険庁(今は別組織)のようなところだけが優遇され、年金をもらう方が被害を受けるということがなくなる、という理由もあるからです。それをはっきりさせるために、先に「積立型」の説明をしておきます。

・・・積立型・・・

積立型とは読んで字のごとく、自分が若いうちからお金を積み立てて、65歳になったらそれを年金として受け取っていくという方式です。積み立てるお金は半分ぐらい企業や国が分担してくれる場合もありますが、これは一種のごまかしともいうべきものです。

企業がその収益の中から従業員にどの程度、お金を分配するかというのはその社会の伝統や力関係で決まりますが、とにかく粗利益の中から厚生費や年金などのお金を差し引き、その残りを重役と従業員で分けるのですから、企業が年金として払うお金を従業員に渡せば、同じことです。

また国も「税金を使って公務員の年金を分担する」というのも、単にその分の給与を増やせば良いだけのことです。

つまり、「積み立て年金」では個人が貯金するより、企業や国が出してくれるから得になるというのはトリックのようなものです。でも、積立型の場合はもっと基本的な「だまし」があります。それは次回に回します。


「pensiontdyno.15-(9:44).mp3」をダウンロード








中部大学武田邦彦
(平成24年4月7日)

ドキュメント:「事実」と違う「合意」を作る瞬間(1)・・・メルトダウン

ドキュメント:「事実」と違う「合意」を作る瞬間(1)・・・メルトダウン

2011年3月23日、この日は政府が隠していたスピーディーを公開した日だったが、記者はこのところ何日か通い続けている保安院の会見に向かっていた。もともと原子力など何も知らなかったその記者は朝から取材に追いまくられ、昼には東電の会見に出向き、おまけに夜になると原子力関係の用語を勉強するという毎日だった。

テレビでは「直ちに健康に影響はありません」という政府のコメントを繰り返し伝えていたが、すでにNHKも主要な新聞社の記者も全部、福島から引き上げたという。そういえば、本社のテーブルはいやに混んでいるけれど、国民には「大丈夫」というメッセージを出し、自分たちは福島から引き上げても良いのだろうか? 確かに福島は法律的には生活してはいけない地域となったのだから

労組が「従業員を危険にさらすな」と言われればそれに従わなければならないけれど、どうも釈然としない。福島の人には「直ちに健康に影響はない」と言いながら、自分たちは引き上げる・・・何かおかしいと思う。

記者会見はすでに始まっていたけれど、なにかもめているようだ。横の記者に聞くと保安院の担当官が「原子炉の中の燃料が破損しているかも知れない」と発言したらしい。会場がざわついている。確かそこに座っている保安員の担当官は東大の工学部をでていると思うが、事故直後からメルトダウンをほのめかしていた。午前中に取材した原子力の専門家は「冷却水が無くなれば1日以内に燃料は融ける」と言っていたから、メルトダウンは間違いないだろう。でも大変なことになったものだ。

先日、日本原子力学会のブログを見ていたら、福島第一原発の1号機から3号機の燃料はすでに破壊したかメルトして原子炉容器の下に落ちていると書いてあった。粒状でおおよそのことだが、直径は1.5センチ程度と言う。

原子力安全委員長も燃料が健全ではないと言っていたし、専門家も、保安院もそろって同じことを言っている。技術系がほぼみんなメルトダウンと言っているのだから、おそらくすでにメルトダウンしているのだろう。

でも、政府も東電も「燃料は健全」と言っている。どうしようか? メルトダウンしていると記事を書くと大騒ぎになるし、このところは事実がどうかというより公式の発表だけを書いた方が無難だな。

かくして2011年3月末には、日本の原子力関係の技術者は誰もが「原子炉内の燃料は破壊されているかメルトしている」と推定していましたし、マスコミは保安院の担当官の交代(メルトダウンを認めた技術系担当官が交代した)、日本原子力学会などの情報から、燃料はメルトダウンしているということを知っていたのです。むしろ当時の問題は、破壊した燃料の大きさによっては、原子炉の中にいるか、炉の壁を突き破ってさらに下に行っているかを議論していたのです。(ちなみに、メルトダウンした燃料の温度は2500℃以上、鉄の融点は1700℃) ただ、それは国民には伝えられませんでした。その理由は・・・

・・・・・・・・・

「書けない・・・これは書けないな・・」記者は小さくつぶやいた。取材や記者会見からの情報から見ると福島第一ではすでにメルトダウンしているのは確かだろう。なんと言っても原子力関係の技術系はみんなメルトダウンしているか燃料が破壊して下に落ちていると言っている。「材料が健全だ」と言っているのは、政府、東電、それに文化系だ。

どうせ文化系は自分では判断できないのだから、政府や東電の言っていることを繰り返しているに過ぎない。新聞は事実を読者に伝えるのだから、メルトダウンしていると書かなければならない。それはわかっているのだ。

でも、書けない。

まだ事故が起こってから2週間しかったっていないし、日本中が福島原発を見つめている。こんな時にメルトダウンしているという記事が載ったら大スクープになるだろう。一昔前なら記者にとって大スクープは夢だった。でも今は違う。大スクープになると言うことは「みんなが考えていることと違う」ことを書かなければならない。それは今の日本社会ではタブーなのだ。

「事実を知りたい」と読者はよく言うけれど、あれはウソなのだ。本当は「自分に都合の良い事実を知りたい」と言うことだから、今の時点でメルトダウンしたという事実が読者にとって都合が良ければ事実が受け入れられるけれど、まだ衝撃的すぎるならそれを伝えたらバッシングを受けるに相違ない。

そんな衝撃的なことを言うな! みんなが怯えているときに人の心を傷つけるな! と言われるだろう。もし下手に発展したら我が社も危険になるかも知れない。今の日本は真実を書いたらいけないのだ。

やめとこう・・・俺の人生はそんなに波瀾万丈じゃなくても良い。何しろ大手の新聞社に勤めたのだから、無難にさえやっていれば何問題じゃない。もし無難に過ごして部長ぐらいになれば海外には行けるし、社用でうまいワインも飲めるようになるだろう。何の問題もないのに冒険をする必要は無い・・・ 彼は筆をおいてウトウトと浅い眠りについた。3月24日の朝のことだった。

かくして2011年3月末には福島第一原発がメルトダウンしていることは「公然の事実」となっていたのですが、それは東京にいる指導者とマスコミだけの公然の秘密だったのです。読者は政府と東電の公的発表だけをNHKが伝えていたので、それを信じるしかありません。

それから1ヶ月半、5月の中旬になって東電はメルトダウンを認め、そこで記者は早速、筆をとり「原発はメルトダウンしていた!」と驚いて見せたのです。彼らがメルトダウンしていることを知ったのは1ヶ月半前でしたが、そんなことはおくびにも出さず、東電が公式発表したその日に知ったように書いたのです。

案の定、翌日の新聞もテレビも「メルトダウンしていた!」というニュースで一色となりました。でも、実に滑稽なことです。すでに1ヶ月半前にわかっていたのに、それを隠していた人たち・・・NHK、そして大手の新聞社の記者たち・・・は知っていたのだから本当は驚くはずもなかったのです。

でも、3月末にも東電の公式発表を伝え、5月の中旬に驚いて見せて、「自分たちは知らなかった。東電にだまされた」とかくのがバッシングを避ける現代の知恵なのです。

NHKが公的発表だけを伝え、時によっては事実を知っていながら、事実を発言する人をバッシングするという風土を作り上げていたのです。

・・・・・・・・・

私はちょうどこの頃、マスコミと比較的近い関係にあり、この様子を見ていました。このようなことが起こるのは、マスコミの責任と言うより、事実を伝える人をバッシングし、みんなで「納得できる情報」だけを信じたがる社会にもあるように思いました。

事実を事実と認めるのをいやがり、空気を事実として生活をする、それはまさに「何かを生産したり、治療したりする」という現場とは無縁の社会なのです。あのとき、すでに1ヶ月前からメルトダウンを知っていた解説者がNHKで驚いて見せ、東電を批判しているのを見て、私は「架空の事実で作られた社会」で働く人の心を感じたのです。







中部大学武田邦彦
(平成24年4月7日)

新社会人はすぐ保険に入る必要ない

 「えぇ!? じゃあ、私の場合、何にも入らなくていいんですか?」「自分に新卒で就職する子供がいたら、『(保険には)急いで入らなくていい』と言いますね」

 先日、この春、新社会人になる人とお話しする機会がありました。「保険って、どうしたらいいんでしょうか?」と尋ねられたので、私は「基本的に、小さな子供がいる世帯主以外は、入らなくていいでしょう」と答えました。

 そこで、冒頭に書いたようなやり取りが続くことになったのですが、その後も4点ほど質問を受けることになりました。

(1)「医療保険」だけは入っておいた方がいいのではないか

(2)若い時に入ると安いといわれるが、その点はどう考えたらいいか

(3)病気になってからでは遅いのではないか

(4)年金に不安があるが、どうしたらいいのか

 ……というものです。同じような疑問を持っていらっしゃる方も多いと思いますから、順に私の考え方を書いておきます。

 まず「医療保険」については、保険会社の人たちは、「医療保険」加入に執着していない、と書けばわかりやすいでしょうか。

 「健康保険」の高額療養費制度等を理解し、販売手数料率なども知っている業界関係者は、「医療保険」を必要不可欠なものとは認識していないのです。一般の方にも「最も優先順位が低い保険」と考えてもらっていいはずです。

 次に、保険料が安い年齢で、病気などをしないうちに入っておくという考え方です。人間の心理としてはよくわかります。しかし、そもそも民間の保険に加入していないことを「無保険状態」と認識するのは間違いです。

 先に書いた通り、医療に関しては「健康保険」がありますし、生計を支える人が亡くなった場合には「遺族年金」が支払われます。障害者には「障害年金」が、会社員や公務員の場合、就業不能になっても一定期間「傷病手当金」が支払われるのです。

 もちろん、こうした公的な保険があれば万事問題なし、と言うつもりはありません。ただ、公的保険の限界を補う必要性と、民間の商品のコストパフォーマンスの疑わしさを秤(はかり)にかけると、「とりあえず早めの加入を」とお勧めする気にはなれない、ということです。

 大手生保の営業職だった頃、私は、若い方にも「加入できる時に」と保険を勧めていました。死亡保険に加入できないまま亡くなられた親御さんと、その後のご遺族の体験談などに触れる機会があったからです。

 しかし、当時の私は、自分の背中を押してくれる情報を欲していたのだと思います。有無を言わせぬ実話を、コストとパフォーマンスが明らかでない商品を販売する際の「よりどころ」にしていた一面を否定できません。

 「とりあえず……」と言うのであれば「透明性に欠ける商品の利用は控える」のが正しい判断でしょう

 それから、年金の不安があることと保険商品が有用であることは、全く別の話です。低い利回りの商品で長期の契約を結び、資産形成をもくろむのは基本的に避けた方がいい、と覚えておいてほしいと思います。

 社会人になったら、年金うんぬん以前に、給与が振り込まれる口座から自動振替で別口座にお金を積み立てる仕組みを利用し、早く100万円くらいの手元資金を作ることです。

 そうすることで、保険活用を、子供が自立するまで一定期間の死亡保障に限定することが出来ます。親世代の人から「保険は貯蓄代わりにもなる」などと言われることがあるかもしれませんが、現状、通用する見解ではありません。

 まとめると、新社会人が心掛けるべきことは次の3点だと考えます。

(1)公的な保障制度や勤務先の諸制度を知る

(2)まずは貯蓄に励む

(3)金融商品の購入を急がない

 いずれも、商品の「売り手」からは推奨されにくいこともポイントかもしれません。