「マインドハンター」(原題:Mindhunter)
原作: (ノンフィクション)マインドハンター FBI連続殺人プロファイリング班
製作総指揮: デヴィッド・フィンチャー(セブン、ファイト・クラブ、ゾディアック、ソーシャルネットワーク)
脚本: ジョー・ペンホール(ザ・ロード)他
出演: ジョナサン・グロフ ホルト・マッキャラニー アナ・トーヴ
現在シーズン2までNetflixで配信中 シーズン2完結のような気がします。
おすすめ度:★★★★☆ スピルバーク監督の伝記編のような素晴らしい出来栄え!
お子様度:セックスシーン等ありおすすめしません。
FBIにて犯罪プロファイリングができるまでを描いた実話に基づいた作品
シーズン2では、あのチャールズ・マンソンも登場します。
<ストーリー>
1970年代後半、連続殺人犯などの心理を研究して犯罪科学の幅を広げようとするFBI捜査官2人。研究をすすめるうち、あまりにリアルな怪物に危ういほど近づいてゆく。
<見どころ>
犯罪プロファイリングとは「犯罪捜査において、犯罪の性質や特徴から、行動科学的に分析し、犯人の特徴を推論することにより犯人像を割り出し捜査に活かす手法」で、今では当たり前のように使われる犯罪捜査の手法です。
そのプロファイリングがFBIにて生まれ、様々な障害や葛藤を乗り越えて確立されていく様子を2人のFBI捜査官ホールデン・フォードとビル・テンチを中心に描かれて行きます。
実話に基づいていますので、リアル!です。
しかも、残酷なシーン無しなのに、話の面白さでグイグイと引っ張られていきます。
①誕生の経緯やそれにまつわる葛藤
文字通り、FBIでのプロファイリング捜査が確立されるまでの歴史
②サイコパスな凶悪犯罪者との面会シーン
凶悪犯罪者との面会で、真っ先に思い浮かぶのはアカデミー賞5部門獲得の名作「羊たちの沈黙」です。
サイコパスの心理状態を冷静に分析できるサイコパスな犯罪者レクター博士(アンソニー・ホプキンス)に協力を頼み事件を解決しようと企みますが、なんせレクター博士は殺害した人間の臓器を食べる恐ろしい人物です。そんなレクターとFBIアカデミーの実習生クラリス・スターリング(ジョディー・フォスター)との面会シーンはゾッとする緊張感がありました。この作品にレクター博士は出てきませんが、実在したサイコパス、エド・ケンパーなどの面会シーンでは「羊たちの沈黙」のあのシーンが蘇ります。レクター博士とは鉄格子を挟んでの面会ですが、こっちは同じ部屋に入っての面会です!
③何故サイコパスが誕生するのか?
サイコパスの犯罪者(シリアルキラー)と面会していくと、いろいろと原因らしきものがわかってきます。
④犯罪者を含む出演者の名演技
1970年代を舞台にしていますが、作り物感が一切無い舞台に、リアルという言葉しか思い浮かびません。そんな素晴らしい背景をバックに重厚に繰り広げられる役者の演技も見事で、グイグイと引っ張られていきます。私はシーズン1を一日で見終えました。見終えてシーズン2があるのを知りその後も視聴を続けるぐらい引き込まれました。本当にアメリカの俳優さんは演技がうまいですね。
④残酷シーンなし
残酷シーンは無しで、現場での写真が意外とリアル。
・ホールデン・フォード(ジョナサン・グロフ)
歌手であり俳優。「glee/グリー」のジェシー役でおなじみ。
私生活ではゲイで有ることをカミングアウト、ヒーローズのサイラス役やスタートレックのスポック役のザカリー・クィントと交際していた。
根が真面目で面白みがないが、保守的なFBIという組織に犯罪心理学を持ち込み、周囲の反対の中、持ち前の行動力で犯罪行動課を設立し、犯罪にプロファイリングという手法を持ち込み、いくつかの事件を解決する。一見常識はずれな行動をしますが、真面目ゆえに信念に基づく行動であり、周囲に理解されないことがあり周囲にはトラブルが多いです。
伝説のプロファイラー「ジョン・ダグラス」がモデルになっています。
・ビル・テンチ(ホルト・マッキャラニー)
デヴィッド・フィンチャー監督の作品の常連さんで、ファイトクラブ、エイリアン3、ファイトクラブに出演、TVではCSIマイアミでおなじみの人。
典型的なアメリカンガイの見本のような役で、暴走するフォードのお目付け役であり、良き相棒。
どっしりとした演技が光ります。
実在の捜査官、ロバート・K・レスラーがモデルになっています。
・ウェンディー・カー博士(アナ・トーヴ)
フリンジでオリビア・ダナムを演じた人オーストラリア出身
フリンジでも一人二役を見事に演じ切りましたが、今回も全く別人格の博士役を見事に演じてくれています。アメリカの役者(オージーですが)は本当に別人格を作り上げることが上手です。今回は、誰も寄せ付けない鉄の女性を演じています。
ドラマでは、その硬い雰囲気とは裏腹に同性愛者という設定。
ボストン大学教授で精神病研究者のアン・バージェス医師がモデルになっています。
・エドモンド・ケンパー
身長206cm 体重140kg 知能指数は140前後。
カリフォルニア州バーバンク生まれのケンパーは、小さいときから猫をいじめるなどといった動物虐待を行っていた。境界性パーソナリティ障害の疑いのあった母親は 、ケンパーが妹をレイプすることを恐れて彼を狭い所に寝かせた。
1964年8月27日、当時15歳だった彼は、憎しみもなく好奇心から祖母を銃殺し、祖父をも殺す。カリフォルニアの精神病院に1年間入院した。
1972年5月7日には、ヒッチハイカーの女性2名を殺害して、切り取った頭だけを自宅に持ち帰った。同年9月14日には15歳の少女を殺害した。翌年1月8日には18歳の学生を殺し、2月5日には更に2名を殺害する。
1973年聖金曜日、寝ていた母親をハンマーで撲殺し、頭を切断。ダート盤にする前に、ケンパーは彼女の頭とオーラルセックスを行った。それから母親の声帯を取ってディスポーザーに捨てたが、機械がうまく作動しなかった。その後、ケンパーは母親の親友も殺害。3日後に自ら警察へ出頭した。最終的には、ケンパーにより合計で10人が殺害されたことになる。
1973年、第1級謀殺で有罪となった。本人は死刑を望んだが、終身刑となった<ウィキペディアより>
メモ
・番組冒頭でオープンリールデッキが登場しますが、ソニーのオープン電助(TC-5550-2)で、現在でもオークションなどで見かけます。落札相場は3万円~7万円、シーズンが進んでいくとカセット電助が登場します。細かいところで、70年代をよく再現していると思いました。中学生の頃ラジカセを買うためにパンフレットをもらいにいきましたが、そのときにプロ用として電助のパンフレットが一緒に置いてありました。
まさか、FBIの録音に必要なレコーダーがソニー製で、こんなところで活躍していたのかと思うとうれしいです。もしかしたら番組用で、実際にFBIで使われていたかは定かではありませんが当時は日本の独占市場ですから十分ありえます。