映画 パッセンジャー 2016年作品 | 半兵衛のブログ

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映画「パッセンジャー」は2016年に公開されたアメリカの映画です。

 

監督:モルテン・ティルドゥム

脚本:ジョン・スペイツ

時間:116分
出演:クリス・プラット ジェニファー・ローレンス
Netflixで視聴しました。

評価:★★★★☆ 極限状態での愛と倫理、そして人生の意味を問うSFドラマ
 

◆この映画を観るべき人
・SF映画が好き
・人間の心理を描いたドラマが好き
・人生の意味について考えたい
・極限状態における愛の物語に感動したい

 

◆観る者に深い感動と問いを与える、見ごたえのある作品です。ぜひ、あなた自身の目で、この物語のメッセージを受け取ってください。

 

※似たタイトルの映画「パッセンジャーズ」(主演:アン・ハサウェイ)とは別物ですが、この映画のアメリカのタイトルは、パッセンジャーズなので、分けるために最後のSを除いていると思われます。

 

<ストーリー>

5000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号は、新たな居住地を目指して地球を後にする。目的地まで120年の旅の間、乗客たちは冬眠ポッドで眠りについていた。しかし、エンジニアのジム・プレストンは、予定より90年も早く目覚めてしまう。絶望的な孤独の中、彼は同じく冬眠ポッドで眠っていたオーロラ・レーンを、ある衝動から目覚めさせてしまう。

※結構ネタバレが多い番宣なので1分以降は見ないほうが良いです。




以下、ネタバレを含む感想


『パッセンジャー』は、単なるSF映画ではなく、人間の根源的な感情、倫理的な葛藤、そして人生の意味を深く掘り下げており、シン・ゴジラやエヴァンゲリオンを見終わったときのように人と語り合いたくなる作品です。

◆孤独と人間の繋がり
宇宙船という閉鎖空間で、たった一人取り残されたジムの孤独は、観ている私たちにも痛いほど伝わってきます。人間は社会的な生き物であり、孤独には耐えられないという普遍的なテーマが、この映画の根底にあります。

◆倫理的な葛藤
ジムがオーロラを目覚めさせた行為は、観る者に重い問いを投げかけます。彼の行為はエゴなのか、それとも極限状態における自己保存本能の発露なのか。この映画は、観客それぞれの価値観によって、全く異なる解釈を生むでしょう。

 

個人的に今がまさにジムと同じ状況です。老い先短い中、体もアチラコチラガタか来ておりいつ死んでもおかしくないです。逆にこのまま下手したら90歳まで生きてしまうかもしれません。そんな独り身の私ですが、この先人生の伴侶を見つけて良いものか?その人は幸せになれるのだろうか?まさに私が恋愛をすることはその人の人生を大きく左右してしまいます。少しでも幸せになりたい気持ちと、その人を不幸にしてしまうのでは無いかという恐れの葛藤があります。そしてもしその人と恋愛をしたならば、ジムと同じようにまるで自然の出会いのように、何食わぬ顔で近づいて行くのだと思います。まさに共感できない主人公です。「溺れる者は藁をも掴む」のでしょうか?


◆人生の意味と選択
予期せぬ出来事によって人生が大きく変わる中で、ジムとオーロラはどのように生きる意味を見出していくのか。彼らの選択は、私たち自身の人生における選択を考えさせます。ジムは自殺することも出来ないほど死を恐れていたにもかかわらず、オーロラと2度と会えなくなるかもしれないのに、5000人の命を救おうと自らの生命を投げ出します。人間は弱い存在であり、強くなれる存在でもあります。使命感というきっかけによって変わるものだという教訓も見逃してはなりません。

◆愛と希望
絶望的な状況の中でも、二人は愛を見出し、共に生きようとします。極限状態における人間の強さと、愛と希望の力を感じさせてくれる物語です。

◆映画のテーマを深める要素
・バーテンダーロボット「アーサー」の裏切り:
アーサーの行動は、人工知能と人間の倫理観の相違を浮き彫りにし、物語に深みを与えます。


・甲板長の登場と役割:
甲板長(ガス)の登場は、物語に緊迫感を与え、ジムとオーロラに生きる役割を与えます。


・人工知能の謎:
人工知能が故障を黙っていた理由は、観客に様々な解釈を促し、物語に奥行きを与えます。

 

・結局オーロラを起こさなかったら?

ジムは一人では船の修理が出来ないので、5000人の乗客は死んでいた事になります。

 

◆ロッテントマトの評価が悪い理由

【評論家30% オーディエンス63%】

①主人公の行動、つまり孤独に耐えかねて他の乗客を意図的に目覚めさせてしまう行為が、相手の同意なしに人生を大きく変えてしまうという点で、倫理的に許容できない。

②主人公の行動に対する動機付けが不十分であり、感情移入が難しく、ヒロインは受動的な役割に終始している。

③SFスリラーから恋愛ドラマに急展開が戸惑う。

 

※①に対してはそうゆうエゴを選んでしまった主人公の物語なので、それ自体が受け入れられない行為だからといって評価は下げるのはおかしいと感じます。聖人君主を描いた作品ではなく普通の男を描いた作品だからです。

このブログ記事が、映画『パッセンジャー』の魅力を伝える一助となれば幸いです。