アイアムアヒーローは2016年4月に公開された作品
監督 佐藤信介 代表作 GANTZ/図書館戦争など
脚本 野木亜紀子
原作 花沢健吾「アイアムアヒーロー(ビッグコミックスピリッツ)」
出演 大泉洋/有村架純/長澤まさみ
お勧め度 ★★★★☆ 日本のゾンビ映画の夜明けか?
お子様 原作は青年誌なのにエッチシーンカットなのにR15+指定です
<あらすじ>
漫画家アシスタントとしてパッとしない日々を送る、35歳の鈴木英雄(大泉洋)。そんな彼の恋人が、人間を凶暴に変貌させるウイルスに感染して襲い掛かってくる。慌てて趣味の射撃で所持する散弾銃を手に外に飛び出す英雄だが、街はZQNと呼ばれる感染者であふれていた。出会った女子高生・早狩比呂美(有村架純)と逃げるが、彼女は歯のない赤ん坊のZQNにかまれて半分ZQN半分人間という状態に。比呂美を連れてショッピングモールに逃げ込んだ英雄は、そこで藪(長澤まさみ)という勝気な看護師と顔を合わせる。 シネマトゥデイより
<見どころ>
ゾンビ映画の醍醐味は何と言っても、愛する人が死んで襲ってくることや、残された人々がどのように生き残るために集団を形成していくか?また、集団のトップは結構エグい人がなることが多いのでその対応です。また、冴えない主人公、鈴木英雄が変化していく様子や生き残るための選択肢もポイントです。
◆実写化成功作品
日本のマンガ文化は、世界を見回しても稀なほど宝の山です。映画を作る上はいくらでも実写化できる素材がゴロゴロと転がっています。しかし実写化成功作品は多くありませんが、アイアムアヒーローは成功作だと思います。
◆なかなか特撮レベルは高い
私はゾンビ物が結構好きなのですが、日本のゾンビ物はアメリカの物と比べるとつまらないものばかりでした。しかし、この作品は面白いと思いました。日本のゾンビ映画の夜明けかもしれません。
映像の特撮のクオリティーも佐藤信介監督といえば代表作はGANTZ実写化ですが、それに引き続きショボさを感じさせないなかなかのレベルです。ハリウッド映画とは比較出来ませんが徐々に日本の映画も特撮のレベルが上がってきていると思います。
◆原作について
主人公は売れない漫画家でまったく冴えない男です。
原作は青年雑誌ビッグコミックスピリッツに209年~2017年迄連載されており全22巻です。映画では8巻目あたりまでとなっています。
原作の第1巻はほとんど主人公英雄(ひでお)の私生活ばかりで、なかなかゾンビが出てこないので原作読んでいる人は結構待たされる感じになっていますが、ゾンビが登場してからは一気にヒートアップしてきます。アイアムアヒーローのヒーローとは主人公の名前、英雄(ひでお)を英語に置き換えたものです。果たして英雄は本当にヒーローになれるのでしょうか?
◆ZQN
この作品でのゾンビはZQN(ゾキューン)と呼ばれています。「ZERO QUALIFED NUCLEUS」(核として無なもの)
◆あなたがZQNになったらなんて叫ぶ?
ZQNになると、生活習慣の言葉を発します。あなたがZQNになったらなんて叫びますか?
私はこの映画をみながら酔っ払ってお酒を取りに冷蔵庫にむかいました。その時に何気なく発した言葉が「ちょ~面白い!」でした。
チューハイ片手に「ちょ~面白い」と言いながら追いかけてくるZQNがいたら、きっと私です。
◆ゾンビ作品にハマったらこんなのどうでしょうか?
テレビドラマ「ウォーキング・デッド」
元祖ジョージAロメロ3部作「ナイトオブザリビングデッド」「ドーン・オブ・ザ・デッド」「デイ・オブ・ザ・デッド」
お笑い要素満載の「ショーン・オブ・ザ・デッド」「バタリアン」
●ネタバレを含む感想
映画は原作になかなか忠実ですが、個人的には富士山の登山口編を入れてほしいと思いましたが時間という制約の中でむりだったようです。てっことはアパートで同棲という設定になっていますが、原作が青年誌ですし、映画はR15+指定ですので、もう少し2人の生活感を出すための原作であったHシーン描いても良かったと思います。
てっこがゾンビになるシーンはなかなか良かったです。何故か和製ホラーの要素満載で、明確なオリジナリティーのあるゾンビだと思います。
◆個性あふれるゾンビたち
ロメロゾンビと一番の違いは身体能力が高い事です。また、お喋りもします。どす黒い血液を撒き散らします。
ロメロゾンビは喋りませんが、この作品のゾンビはちょっと変わっていて、過去の記憶を元に一言、二言だけおしゃべりをします。
例えば
てっこ 「不幸私だけ・・・」
漫画家先生 「締切・・・」「都庁まだ?・・・」
巨体zqn「ファンですサインください・・・」などなど
一見してロメロゾンビと違う感じがしますが、ロメロゾンビもデパートに集まるのは過去の生活習慣で集まってくるという設定ですので、おしゃべりが生活習慣に根付いたものですので、結構笑えます。つまりゾンビごとに個性があるのです。これは全く新しい新鮮な印象を受けました。
特に凄いと思ったのが、走り高跳びの陸上選手のゾンビです。過去の習慣で走り高跳びをするのですが、超恐いですwショッピングセンターの屋上まで走り高跳びで登ろうとします。
◆似た設定
ショッピングセンターに立て籠もるので、ロメロの「ドーン・オブ・ザ・デッド」とかぶりますが、食品や生活用品の宝の山なので、こればかりは仕方ない設定かと思います。
また、感染者なのに意識がある早狩比呂美は免疫があると考えて研究施設に送り届けようという設定はまるで、「Zネーション」ですね。
◆キャスト
キャストの大泉洋はなかなかはまり役だと思います。ゾンビになっても可愛い有村架純もいいですね。まちゃみの役は実は汚れ役なのですが、あまり汚れていない感じを受けました。
漫画アシスタントの三谷役の塚地武雅が漫画家の先生にバットで恨みを晴らすシーンの演技が怖さを感じるほどで、かなり良かったです。