『ウォーキング・デッド』(原題:The Walking Dead) FOX
製作総指揮:フランク・ダラボン ゲイル・アン・ハード他
原作:ロバート・カークマン他
主人公:アンドリュー・リンカーン(シーズン6 2016年1月現在)
おすすめ度 ★★★★★ ヒューマン・ドラマとして最高!
お子様:グロイ描写が多いので注意
2010年10月から放送開始、今2016年8月現在シーズン6終了9月からS7へ
<あらすじ>
ゾンビによる世界の終末を迎えた後の物語であり、荒廃したアメリカ合衆国で安住の地を求めてアンデッドの集団から逃れつつ旅をする少人数のグループを描く。ウォーカーはあらゆる生き物をむさぼり食い、噛みつかれると人間は感染する。ウォーカーの群れ、事故、そして生存者による略奪など、敵意に満ちた世界で日々直面する試練にもめげず、グループが人間性を保とうと奮闘するジレンマが主に描かれる。 Wikiペディアより
アメリカのテレビドラマはかなり面白いものが多いので、数多く見ますが、この番組は別格の印象があります。
ゾンビの物の原点といえば、ジョージ・A・ロメロ監督の1968年作の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(白黒映画)」です。彼はその後 「ゾンビ Dawn of the Dead (1978)」「死霊のえじき Day of the Dead (1985)」と発表し、ロメロのゾンビ3部作呼ばれています。
彼の作品の特徴はゾンビそのものの恐怖よりも極限状況に置かれた人々の起こす行動に焦点をあてており、巧みに心理状態やエゴなどを描き、怖がらせるだけのホラーではないので、カルト的な人気を誇っています。
後に様々なゾンビものが生まれ今やゾンビブームになっていますが、この「ウォーキング・デッド」はロメロ作品を継承して作られた正統派で、ロメロゾンビと同じく徘徊するゾンビは決して走らず、歩きまわる者「ウォーカー」と呼ばれ、作風もロメロと同じく、極限状況に置かれた人々の起こす行動に焦点をあてています。
知人によくこの番組を見ることをすすめするのですが、ゾンビ=恐怖映画という意識ががあるようです。確かにグロテスクな事は否定できませんが、見てもらいたいのは、国家なんて無いし、警察もないし、法律もない ゾンビや、略奪者だらけのやるか、やられるかの極限状態での人々のとる行動です。善人が生き残れるとは限りません。ロメロ作品もそうですが実は一番怖いのはゾンビではなく人間なのです。
ゾンビ作品なので特殊ですが、視聴者数も初回500万人という上々の滑り出しでその後もクチコミで徐々にファン増やし続けシーズン5ではアメリカでのオンエアで1700万人を突破するなどその勢いは留まることを知りません。
◆登場人物
正義感が強い人
嘘が下手で、真っ直ぐな性格な人
口が悪いながらも仲間を気遣う人
極端な人種差別思想をもつ反社会的人格者
困っている者であれば、例え敵対していても助けようとする人
夫の暴力を受けていた過去を持つ気弱な女性
温和な性格と前向きな考え方な人
などなど
主人公リックにおいては、生き残るためにリーダーとして様々な非情な判断を下していかなければならないこともあるし、その結果が凶と出ることもあります。
ウォーキング・デッドの魅力は、その人々の行動や心理状態を考えながらそれぞれの登場人物に思いを入れていくことです。
◆バラエティー番組
最近始まった番組で「トーキング・デッド」というバラエティー番組があって、その回の「ウォーキング・デッド」の放送終了後に2~3人のゲスト(製作者や原作者、監督、出演者、他の番組からの役者など)を交え、みんなで番組の内容を振り返るんです。
正直、アメリカ人ってあまり深く物事考えないのではないかと思っていましたが、恐らく日本人はテレビドラマを見る時は軽い気持ちで、見ることが多いと思うのですが、彼らは、「あの時あの人がとった行動をどう思うか?」と聞かれたら、自分の考えをしっかりもっていて、是が非かを即、語ることができます。彼らは、悲しい場面では涙し、嬉しい場面では奇声あげて喜ぶし、気に入らない行動をとれば足を鳴らしブーイング飛ばすし、羨ましいほどドラマに没入します。
ワールドカップで日本代表応援するときのような、あの感じです。
ファンだけではなく演じた役者においてはかなり役をリサーチをしており、その役の立場でその時とった行動の理由や心理状態などを雄弁に語ることができます。
日本のドラマがそこまで話し合うのに値しないドラマばかりなので仕方ないと思いますが、この「ウォーキング・デッド」は、みんなと話し合うに値する、語り合えるドラマだということです。
24 -TWENTY FOUR-も素晴らしい番組なのですが、ジャックのとった行動の是か非かという一点に尽きますが、こちらはひとりのヒーローを追ったものではなくひとりひとりの行動について考える事ができるのが大きな違いの群像ドラマなのです。
半兵衛の★5つの基準は100本ドラマがあっても一つか2つぐらいです。レンタルで全部見るのは大変なので、「hulu」か「dビデオ」などで見るのをおすすめします。2016年1月現在67話をひと月500円から1000円で見る事ができます。
<うんちくコーナー>
・ダリル役のノーマン・リーダスは千葉県の大久保に住んでいた。
震災時もすすんで募金の呼びかけ活動をしてくれた。
・グレン役のスティーヴン・ユァンは韓国系だが日本人になったつもりで演技している。
・制作者フランク・ダラボンは「ショーシャンクの空に」「グルーンマイル」を手がけた監督
・製作者ゲイル・アン・ハードは「ターミネーター」全シリーズ 「エイリアン2」「アルマゲドン」を手掛ける大物プロデューサー
・安倍総理もファンらしい
・本家のロメロはこの作品に否定的で監督のオファーを断った