ボストン周辺のエネルギー会社のクラスター
を見ていただきたいのですが、マサチューセッツ周辺のベンチャー企業などのエネルギー会社のクラスターを見ることができます。Google Mapに機能を足したものですが、ボストン周辺を拡大してみてください。実に色々な会社があるのです。
このように企業が集まってできるクラスター(直訳すると固まりとなります)はイノベーションに役に立つとされています。実際にMITでカンファレンスなどがあると、違うベンチャー企業の人が直接意見交換している風景を目にします。
またベンチャー・キャピタリストにとっても集中していると仕事がしやすいのでしょう。
この中でKonarka
という会社は面白い太陽電池を作っています。薄膜型の太陽電池は軽く曲げることができ、将来的にはたたんで持ち運び広げて携帯電池やノートパソコンを充電することができるとのこと。理由の一つはシリコンを使わないナノテクノロジーで電池を薄くするのに成功したのです。2001年に設立されたベンチャー会社なので実際の製品化はまだですが、屋上で太陽光発電のようなものとは違った市場を狙う会社が出てく るのは興味深いですね。
MJ
エネルギークラブ
アメリカの大学には、大学生や大学院性が組織するクラブがたくさんあり、自分たちで著名なスピーカーを招待した講演会をしたり、各自テーマを持って研究チームを作ったりと活動は多彩。研究最先端の技術を活かしたアイディアが続出するので、研究者のみならず、いろいろな業界のビジネスマンや投資家もこうしたクラブの活動に注目します。例えばMITのエネルギークラブの例 。NYタイムスの著名なジャーナリスト、トーマス・フリードマンがその活動を取り上げて声援を送っています。プラグインハイブリッド車の新しい形を追求する学部生主催の自動車デザインサミットが実施されたり、エネルギークラブ会員の学生が、中東サウジアラビアへエネルギー研究ツアーを企画したりとその活動が多岐に渡る様子を紹介。
またスタンフォード大学ビジネススクールのエネルギークラブも、学内の新旧エネルギーやサステイナビリティーに興味を持つさまざまな経歴を持つ学生や研究者を組織して活動しています。つい最近のミーティングでは、この夏にエネルギー業界でのインターンシップを体験した学生たちがその体験を披露。ドイツ銀行で新旧エネルギーへの投資分析のアナリストを経験した者、中央アジアの天然ガス液化事業に参加した者、シリコンバレーでの太陽光発電システムの普及会社に参加した者、グーグルのクリーンテック開拓部門を経験した者と、いずれも世界のエネルギー業界の最先端事業を各地で経験した体験談です。これを他の学生を共有し今後の新旧エネルギー業界がどういう展開をしていくのか、喧々諤々の議論となりました。内容はというと、世界でクリーンテックの技術とその技術への投資についての関心はどんどん高まっているのだが、それらを使う市場がまだ未成熟、どの技術が市場で覇権を握っていくのかは、技術の優劣だけでなく、国や自治体の政策動向などにも左右されるため、見極めるために鑑みるべき要素が多く判断が難しいなどの意見が出ていました。
いずれのクラブも、今ますます熱気を帯びているクリーンテックとエネルギー問題が、今後の世界を牽引する動力になるとの確信に満ちています。フリードマンの記事に、MITエネルギークラブのホームページのタグのこんな一行が紹介されていますね。”We are the people who we have been waiting for” 「僕らこそ、僕らがずっと待ち望んでいた『その人たち』なんだ」。 自分の力で世界が変わる…この気概こそが世界をより良くしていく本当の機動力だと、私も信じます。
デュターム
インドでの再生可能エネルギー
仕事の方では持続可能性で日本とインドで共同研究を探るための非公式の研究者会合に参加してきました。特に興味深かったのが風力発電についての発表。まずは2006年の風力発電の世界ランキング
を見てみましょう(詳しくはここ
)。上位5位は
1位 ドイツ
2位 スペイン
3位 アメリカ
4位 インド
5位 デンマーク
となります。中国は6位、日本は13位です。そう、インドは風力発電ではアジアのリーダーなのです。
どうして風力発電がこんなに伸びたのでしょうか。不思議なことに、思い切った政策があったわけではないようです。wheeling(グリッドに供給電力をすると供給とは違う場所で電力を使うことができる)という仕組みはあったものの、決め手は電力供給不足なようです。
IT産業で最近有名ですが、インドはやはり発展途上国。急速な発展に電力供給が追いついていないのです。そのため発電された電力は比較的高額で買われるとのこと。どうやら大規模発電所ではなく小さめな風力発電がちょうどよかったみたいです。ドイツやスペインは発電をすると定額で収入が入るようになっているのですが(固定価格買取制度 feed-in tariff) 、このような本格的な政策なしに風力が広まるというのは面白いです。もちろん現状が続けば石炭・石油が主要なエネルギー源になりますが、熱心に新エネルギー政策を語る政府官僚や風力発電の技術者を見ると今後が期待できます。特に風力発電がなかなか普及しない日本から来た風力発電の研究者がインドの状況を羨ましがっていたのは象徴的でした。
会議で聞いたことは心強いですが、リクシャーにのってみたデリーは強烈でした。溢れる車、汚い空気、そして人、人、人。自動車保有台数は今後もうなぎのぼり。ショッピング・モールもいくつもできています。インド人は今後欧米のブランドから服を買って、欧米風の音楽を聴いて、そして欧米的にエネルギーを大量消費する生活をするのかもしれません。
両側面を見れてとても意義深い出張でした。個人的にはお腹をくずすことがなかったのが何よりもほっとしましたが・・・。
MJ