その夜はなんとなくそんな気がしていた。
なぜだか分からないけれど、予感のようなものがあったのだ。
ピリリリリ![]()
ピリリリリ![]()
携帯が鳴る。
時間は0時をまわっている。
もちろん相手は龍で、私はいつものように通話ボタンを押した。
私「もしもし…」
龍「・・・・・・」
私「もしもし…?」
龍はしばらく黙っていた。
嫌な予感と嫌な空気が電話越しに伝わる。
龍「話があるんだけど…」
話し始めた龍の口調は静かで低く重い。
胸がドキドキする。やっぱり今日らしい。
取り乱さないように深呼吸をしてみる。
…そんなことをしても意味はないけれど。
龍「…気付いていると思うけど、好きな人ができた」
龍に好きな人がいるだなんて前々から分かっていたことだし、別れ話をするということはその現実を突きつけられることだということも理解している。
理解はしているが感情がついてこない。
自分の恋人から「好きな人ができた」と聞いて冷静でいられる人なんているのだろうか。
もしかしたらいるかもしれないが、私はその一員ではなかった。
私「…それは…別れたいってこと?」
声が震える。
龍「…ごめん」
龍の返事を聞いた瞬間涙が溢れた。
私「嫌だ…嫌だぁ!!!」
龍「ハル…」
私はダムが崩壊したように泣き叫んだ。
悲しくて寂しくて悔しくて…狂ったように泣き叫んだ。
「なんでそんなこと言うの!?」
「私が悪いなら何だって直すから…!!」
龍は泣き叫ぶ私をなだめようと時々声をかけるが私には届かない。
頭では私が泣こうが喚こうが別れることになるのは分かっているけれど、はいそうですか、なんて綺麗に別れることなんてできない。
私はこんなに龍が好きなんだと伝えなきゃ…伝える権利はあるはずだ。
私「私のこと嫌いになったの??」
龍「嫌いじゃないよ、嫌いになんてならない」
泣きながら聞く私に龍はまたズルイ答えを返す。
別れを切り出したなら最後まで嫌な男を演じてくれればいいのに…。
自分が悪者になりたくない龍の悪いところだ。
龍「少し落ち着け…」
ひとしきり泣くと今度は怒りが湧いてきた。
『どうして電話で別れ話しなきゃいけないんだろう
』
こんな簡単に電話一つで別れなきゃいけないのか?
そう思うと泣いている自分がバカみたいに思えてきた。
もう止まらない。
私は自分でも驚くようなことを口にしていた。




やるぞ
って感じだけど…




















