数ヶ月前ですが、神女の林真理子高等学部長が学校を紹介する新書を出し、特に現役生の間で話題になりました。 一通り読み終えたところでレビューを記したいと思います。

ちなみに、ここ数年神女は倍率と偏差ランクが落ちてきました。おそらく直接の原因は洛南・四天王寺のルートと別となり、 併願が出来ないためですが、偶然か意図的なものか、そうしたトレンドがある中でのこの新書の出版です。

 

 

 

 

「関西のJG」

 

 

 

 

 

やや語弊がありますが、首都圏にお住まいの方々にざっくりと説明すると、神戸女学院(神女)は言わば関西のJGです。 プロテスタント・激ゆる・制服なし・完全一貫・女子校・進学実績にこだわりなしと、あらゆる要素が類似しています。

 

他方で関西にはoinのポジションに相当する学校はありません。そのためJGよりも理系志向、というか、 医学科志向がかなり強い学校でもあります。ただしそれは生徒・家庭側の思惑であって、 学校側がそのような方針を採っているわけではありません。

 

 

神女が定義する「自由」

 

 

 

どこの上のほうの学校も「自由」を標榜します。そしてその「自由」を学生と保護者は支持し、 入学します。

 

しかし「自由」とは、かつて組織や共同体に属した先人が勝ち取ってきた歴史そのものであり、漸進的に拡張するものでもあれば、 各校その定義は全く異なります。

神女が定義する「自由」は、やはりプロテスタントの土壌、つまり人権は皆等しく平等であるべき、 そしてそれは自ら勝ち取るべきものである、という大前提の上に成り立つものです。 これはプロテスタント系の最大の競争力で、 カトリック系の学校は軒並み学生に規律を重んじさせ、外への露出も許さない傾向があるのに対し、 プロテスタントは基本的に学生を自由放任の状況に置くため、学生にとっては裁量が与えられる形になり、 才能が集まりやすい傾向があります。他方でカトリックはどこも中堅気味の学校が多く、突き抜けた才能は 揃いづらい傾向があります。

最もこれは鶏と卵の関係で、才能が集まるからこそ学生を信頼し、拘束せずとも学校をまわすことが出来るようになるわけですが、 そうはいえそれもプロテスタントの土壌が無ければかないません。その意味で関西では神女は唯一無二の学校です。 今後もその意味でのプレゼンスを落とすことは無いでしょうし、 この土壌は京阪神唯一の存在として死守しなければならないだろうとは思います。

他方で神女に限らず女子校全般がそうですが、女子校は自治機能、つまり生徒会がどこも弱い傾向があります。 特にJGと神女に関しては学校側が抑え付けているとは考えられませんが、そもそも女子が組織を統括したり、 編成して規律に即して動き、結果を出す、ということを苦手としている傾向はあるかとは思います。この辺りも含めての「自由」です。

 

 

ノブレス・オブリージュ

 

 

ノブレス・オブリージュについて言及しています。そもそもノブレスオブリージュとは何でしょうか。

「高貴さは(義務を)強制する」を意味し、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指す。

 

まんまwikipediaコピペですが、問題ない定義でしょう。神女の品のよさは関西の学校の中でも 頭一つ抜けているのは良く知られているところであり、この理念を実践する「資格」のある学校だとは思います。

 

他方で神女といえども、入学時点では受験エリートを集めているのが事実であり、 必ずしもその適格者であるとも言い切れない学生もまた集まりがちかもしれません。この辺りOGや現役生に伺っても 思うところはあるようです。

ノブレスオブリージュを実践する前提として、当然ながらプロテスタントの精神に依拠するのは容易に想像されますが、 勿論こうした理念は大事であるものの、実際に責務を果たすには適切なリアリティの形成が必要になります。 そしてそれに辺り最も重要になるとも言えるのが経世済民なり国民経済の実態です。 拝読する限り、人権意識は理念だけではダメで、見知らぬ他者の実状も良く汲み取り、専門に学んだ上で行動する、 という意味でやや物足りなさを感じます。

>>>財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴う

 

社会経験の無い中高生全員に政治や経済を語れというのは難しさはあるものの、これを知るには理論に対する理解 と時事に対する精通の双方が必要です。ですが実状は、これは神女に限らずですが、ディベートをやっている子達で無いと まず能動的に知る機会はありません。

 

特に経済は数学を多用するので女子学生には敷居が高い分野です。特に合成の誤謬や 財政出動をしようとしない役所の論理、医療費が膨らみ将来世代の資産を食い始めている事実は、 子供達には中々わかりづらいことでもあるので、はっきり正確に伝え、 理解させる必要はあるかと思います。

 

 

茶髪

 

 

 

必ずしもJGと比較することは適切ではありませんが、JGでは茶髪どころか金髪もokです。それに対して神女は禁止なわけですが、 これは学校側が押し付けたわけではなく、かつて学生が当事者の間で決めたことだと伺っています。事実このclassoncloud(coc)の 生徒の意見を聞いてみても、

 

「okになったとして染めたいと思う?」
「うーん」

というわけで、首都圏と京阪神では外貌に顕れる自分らしさ(identity)に対する認識に違いが見られます。別にやりたきゃやれ、 くらいの意識ではあると思われ、希望があれば自治側もgoサインを出すとも推測される緩さです。他方で、ではなぜこうした違いが 生まれるのかを考えることは意味がありそうです。

一つには前述した通り、神女は京阪神の学校の中でも頭一つ抜けた品のよさがある学校だから、というのはありそうです。 これが大阪となると(人口規模や産業集積の違いから)やや事情が変わってくる気がします。とはいえ、関西の10代の女子に根強い人気が あるものの一つに宝塚がありますが、宝塚のスターにあこがれて、という子は出てこないとは言い切れないのかもしれません。

また首都圏と比べても産業集積がなされていなければ、職業観や外貌に対する意識もさほど多様ではないということもありそうです。

 

 

体育祭

 

 

 

現役生・ogからヒアリングをする限り、文化祭と比べても本気度は高いようです。

 

開成と似ている、という旨の記述が見られますが、流石に本番前に模擬戦を5回程度やり、そこで負けたら本気で泣くという レベルの開成には劣ると思いますが、縦割りで学年をまたいだ組を編成し、怪我人が出ることもある程度の激しさでぶつかり合う 体育祭は女子校では珍しいとは思います。

女子校の場合自治機能が弱い一方で、文化祭と、JGや神女のように体育祭もかなりの力を入れて備えていることが通常です。 段取りや組織で物を動かす力はここで主に養われます。ただそこには地道な政治的な学校側との交渉や議論は殆ど見られないため、 やはり男子校・共学とは大分異なる様相を呈しています。

 

 

上下関係

 

 

神女は生徒数が少ないため、学年をまたいだ縦とも繋がりやすく、よって一体感は相応にあるのですが、JGと較べると 自由放任の色が強いと感じます。JGの場合少し先輩の前で不適切な崩れた態度を示すと速攻で槍が飛んでくるのに対し、 神女は基本的に先輩が手間隙をかけて後輩の指導に当たるという構図は、学校全体としては見られません。

そのため卒後の縦の関係も弱ければ、現役生の話ではogと現役生が集うコミュニティがあるわけでもなく、 個別にコンタクトを取ってそれを辿る、位の関係であるようです。憧れの先輩に倣い自力で何とかそれを超えていく、 というのが基本的な構図であるようです。

 

 

「理系に強い」主な要因は個の資質の高さ

 

 

 

著書の中で理系に強いことを謳っており、実際ヒアリングをする限りでの進学実績も良ければ、 ピンポイントで現役生の学外での個人実績を見ればすばらしい子も多いのですが、 学校のカリキュラムが強いから、ということでは必ずしもなさそうです。勿論どんな学校でも生徒からの評価が高い指導者と、 そうでない指導者、様々にいるわけですが、たとえば同じ京阪神トップの男子校である灘のような指導陣の揃い方は していない手ごたえがあります。実際毎年理Ⅲや京医を10人以上出すような状況ではありません (勿論個の二つの数字だけで測られるわけではありません。一つの指標です)。

 

ただあれこれ管理するわけでもなければ、生徒が望めば与える程度の懐の深さは感じます。 今年の文化祭では、サイエンス部は始めて部誌を発行していましたし、前に進む意欲は感じます。 とはいえ、パソコン部が人気の部活動ということでもなければ、数研・物研があるわけでもないので、 また縦割りだけではなく横断的な理解の素地を作ることが今の時代は求められているため、 その辺りは指導要領内外問わず、強化の余地はあるかとも考えられます。 勿論これは家庭・学生側の意識と表裏一体ですが、時勢の変化を鋭く洞察し、半歩先を主導するのは学校の役割でもあれば、 指導者の器が問われる局面です。

 

 

英語教育とキャリアデザイン

 

 

 

全編を通じて英語教育の競争力が強調されています。発音から英語学習を始めるなど、独特のものは見られ、 またその効果も一定の高さがあることを見受けられます。

 

この文脈に続く形で開発支援やグローバル企業に勤める人材を輩出していることもまた語られています。他方で こうした業種は一昔前のステレオタイプでもあれば、時代の流れからして保護主義へのシフトもあれば、 ベンチャーに才能が流れている事実があります。この辺りは職業観のリアリティの形成と直結し、ベンチャー村や アートがあふれる街、反グローバリズムを掲げる議論が盛んな学者も集積する首都圏と較べるとやや弱めで、 このタイムラグの溝を埋めることもまた、神女に限らず京阪神の学校の課題といえそうです。

 

 

他にも論点はいくつもありますが、とりあえず個人的に気になった点はこの辺りです。神女は定員が少なくこじんまりとしていて、 その意味でも顔が見える形で組織を動かすには最適な環境です(逆に四天王寺や開成、豊島岡あたりだと大きすぎて、 同じ学年にも名前と顔が一致しない人間が山ほどいるという事態に陥ります). 現状やや洛南に才能が流れている トレンドがありますが、唯一無二の土壌を武器に引き戻してほしいと願うばかりです。

 

 


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リスニング能力の二極化の原因

 


学校の先生も誤解している「英語の発音ルール」とは?

 

 

 

タイムラインに流れてきたのでちょっと読んでみた。まずは皆さんにも上記の記事を読んでいただきたい。

 

 

僕は英語の勉強方法に関して持論がある。中学・高校を通して英語を学んできたその方法は、 おそらく周りの生徒と大きく異なったものであった(その良し悪しには賛否両論だと思われるけれども)。

英語のリスニングは,聞き取れる人と聞き取れない人の差が歴然としていると感じる。 聞き取れる人は,それができない人は逆にどのように聞こえているのかを不思議がるぐらいである。 彼らの間の違いは一体何なのか。

 

 

アクセントに対する意識の低さと違和感

 

 

 

この記事ではその原因として、英語のネイティブは"to"などの単語を弱く発音し、 それがノンネイティブにとっては聞き取りづらいからだと述べている。 この記事を読んでいて改めて感じたことは,日本の生徒が英語を勉強するときに、 如何に英語を聞いていないかということである。
 

 

 

 

僕は中学生の頃,これといって英語の問題集を解いたりしなかった(宿題は答え写して出した)。 他方で英語のラジオ番組やPodcastはほぼ毎日聞いていた。また,高校に入ってからも英文解釈の問題集を解くことはまったくしなかったが, Full Houseの英語版は全話見た。リスニング中心の勉強をしていたのである(勉強というよりは普通に楽しんでいた)。

 

 

普段からリスニングをしていると,前述したような抑揚はまったく苦痛でない。逆に抑揚をつけていない (いわゆる日本人が話す)英語を聞くと非常にきもちわるく感じる。一言一言を強調していてもはや内容が頭に入ってこない。

 

 

学校教師がアクセントに労力を割けない現状

 

 

 

この記事では発音を「先生も誤解している」と書いてあるが,これは間違いだろう。先生は正しい発音を知っているはずである。 しかし,それを授業ではいちいち用いない。何故かと言うと授業は日本語でなされており,いちいち切り替えるのが面倒だからである。 日常生活でComputerを普通に「コンピューター」と発音するように,カタカナ語でいう方が楽なのだ。

 

このようにいうと,それならば生徒が正しい発音を学べないのは先生のせいじゃないか,と言われてしまいそうで, 実際その要素も大きいとは思うのだが,発音の勉強は自宅でやるものであると僕は考える。 シャドウイングなど,いろいろな方法が提案されているが,DVDや洋楽を聞いて,記憶に残ったフレーズを口ずさむだけで十分である。 それを何年も続けていけばリスニングは問題にならないであろう。

日本の学校では必要悪に迫られてReadingとWritingに力を注いでいるのが実状だけれども、僕はSpeakingとListeningをすすめたい。 まず,SpeakingをするためにはListeningが必要である。

 

 

国内外での学力差の原因

 

 

 

Speakingに関して言えば、日本の一般的な英語教育を受けた生徒とListeningから英語を学んだ生徒には、 次のようなしゃべり方の違いがうまれる。

 

前者の場合、基本的に文章を1単語ずつ考えていくスタイルになっている。そのため,途切れ途切れの英語になる。 途切れなしに言えたような場合も、それらを1単語ずつ組み合わせていき、 ある程度のまとまりになった時点で口に出して言っているような場合であり、本質的には変わらない。

後者の場合、フレーズ単位で口に出して言う。そのフレーズはListeningを通して何度も聞いたものであり,非常にスムーズに話せる。 もちろん発音・抑揚も完璧である。

したがってSpeakingをうまくやるためにはListeningを十分こなし、フレーズを耳に染み込ませる必要がある。 SpeakingができるとReading,Writingの能力が向上する。

Writingに関してはすぐに想像がつくだろう。ほとんど時間をかけずになめらかな英語がかける。Readingに関しては ちょっと想像がつかないかもしれないが、読むスピードが格段に向上し、さらに文章の切れ目などが容易に把握できるようになる。

普通に読んでいるつもりでも、まわりと比べて速読になっており、しかも把握もできている。 センター試験が半分の時間もかからないわけである。以上の理由から僕はSpeakingの練習をすすめたい。 話す相手がいるのならば話は簡単だが、一般的にそうもいかない。そういう場合は独り言でもよい。 ここだけの話、僕は中学以来英語の独り言をしゃべり続けてきた。

 

 

決して万能ではないものの

 

 

 

最後に僕の英語の勉強方法の弊害を述べておこう。 まずなによりも文法的にきわめてややこしい文章が出されると、わりと困る。 英文解釈の問題集とかやっていないのでテンプレも知らない。

 

さらにWritingに関しても、高度な議論や主張をおこなう作文ではかなり手こずる。 そんな内容のフレーズはListeningでめったに聞かないからである。 ここでは日本の一般的な英語教育と僕の英語の勉強方法を述べてみたが、これのどちらにも当てはまらない。 独自の勉強法を開発してみるのも面白いと思う。

そもそも何のために英語を学んでいるのか、論文の読み書きが出来ればそれでよいという人間は、 現状の受験英語に満足しうる、かもしれません。しかし殆どの学生はカジュアルな、 そして自然体で互いのことを良く知るためのコミュニケーション手段として英語を使えるようになりたい、 そう考えているはずです。

リアリティの形成はclassoncloud(coc)でも最も重視している要素の一つですが、彼の学習スタイルにも、 その意識は顕れています。


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しばしば授業でリスニング教材として扱う 90年代のTVドラマ。最近の映画も使います。

 

 

[単科医大志望向の英語の授業から]
語彙のイメージとリアリティを大切にせよ

keyword: 英語,語彙強化,ボキャブラリー,コアイメージ, 時事英語 (>>>アメブロ版)

 

 

 

 

 

 

 

 

語彙自体のイメージを大切にする

 

 

英語の授業より

 

 

まずは上のclassoncloud(coc)での授業ログの映像をご覧ください。 英語においてイメージを大切にするには、言葉から視覚的なイメージをできるようになる必要があります。 しかし男子校生・男子学生の大部分は、視覚認識に頼りすぎて英語、というか、言語そのものが出来なくなっている、 という話を以下の記事でしました(更に言えばその程度が酷すぎて相手の人間性や深い意図が わからなくなっている子が多いのですが)。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで大事になるのは接頭辞・語幹・接尾辞や、類義語・対義語に着目するという点です。 そのためには音節で区切り、 リズムに手ごたえを感じる必要があるため、ここでも音読が重要である、ということになります。

 

 

 

映像の中では音読はさせていませんが、実際の授業では極力生徒に音読をさせるよう指示しています。 頭の中で何でもかんでも処理しようとする思惑を退け、発音するという行為と経験から感覚を変えていくことを 強制するためです。

 

 

二人の指導者との対話ベースの授業

 

 

cocの授業では音読に限らず、また科目問わず、 科目指導に当たってはとにかく問いかけを発するようにとも指示しています。 通常の集団指導では問いかけをするにも人数が多すぎて各自の意図や思惑を指導者が把握できず、通り一遍等の情報を伝えることに 留まりがちです。

上の映像でも見られるとおり、頻繁に生徒に問いかけをすることで、考えていることを丁寧に把握し、その上で説明を展開しています。 また事業責任者自ら授業に参加し、必要に応じて補足を加えることで、 周辺の知識や大学生指導者の見落としを補足するようにしています。

指導に当たっている大学生は学部入学時点でTOEICフルスコア、高校時点でラテン語やギリシャ語にも手を出していた子ですが、 そんな彼女にも記事のテーマとなっている経済の話題や、他の回で扱う科学の話題についてはやや弱い傾向があります。 (時には科学物質やネットワーク技術の概念が出てくることもあります) そうした周辺の情報や知識については、文脈を加味しながら関連する語や話題を差し挟んでいます。

 

 

構文理解も当然重要

 

 

上の授業の後半では構文の説明もしていますが、当然ながらこれも重要です。視覚認識に頼る場合、上記の音読や語彙の強化が 出来ていればさほど難しくはありません。この辺りは数学同様、暫くは学生側に時間を与え各自に考えてもらいます。

 

 

時事英語に触れることの大切さ

 

 

また別の記事で挙げようと思いますが、この授業で扱っている内容同様、単科医大やリベラルアーツよりの大学では特に、 時事英語が出題される傾向があります。多くはジャーナルサイトの記事ですが、 当然ながら日本人にはなじみの無い語彙や言い回しが多くあれば、 盛り上がっている話題自体こくないのそれとはずれがある場合が通常です。

そのため英語を学ぶことも重要ですが、英語で情報から状況を把握し、 それにより学力の底上げを後押しするという姿勢もまた大切になってきます。 上の映像の中でも結婚式場での食料廃棄の問題の話を挟んでいますが、 時には授業を一時中断して、扱われているテーマそのものについて議論することもしばしばです。

 

 

リアリティが十分に形成される学びの価値

 

 

男子学生に特にその傾向が顕著ですが、同じ科目を学ぶにも、対象そのものに関心を持って突き詰めていく力がある学生と、 水平的な広い視野を持って、他分野と関連付けながら学んでいくことに力がある学生と、さまざまなタイプがいます。

男子は特に、英語をパズルのように解こうとしますが、 そもそも言語であり文化であるため、完璧な論理構造などそこには存在しません。 最も大切になるのはその言葉をつむぐ人間なり、その人間が集まる組織や 共同体の実態を把握することにあります。従って言語を深く理解するためには、 文章を通じて如何にリアリティを形成し、文章を理解するためのさまざまな経験を積み上げていくかが求められることになります。

好きな科目や自分の趣味にずっと入れ込んでいるものの、他人には全く関心が無かったり、理解を示す力が無いと、 英語の学力もまた早々に頭打ちになります。素直に伸ばしていくためには自身が大切にする世界以外のことについて 理解を示せる人間性なり、他者を受け入れる許容力が共有されるとも言えます。


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今年のICUHS文化祭の一枚 nativeやbilingualも多くいる学校です


[英語が苦手な男子校生&その父兄向]
苦手でも音読を習慣にせよ

keyword: 男子校,男子学生,英語,音読
(>>>アメブロ版)



視覚認識に頼りすぎる男子学生

男子学生、特に男子校生が英語が出来ないことには理由があります。その際たるものが音読をしないという点です。

男子学生は何を学ぶにも視覚認識に頼ろうとする傾向が強くあります。数学は常に対象を凝視し、論理構造や図形を把握することが 重要になるためこれでよいのですが、言語は文自体にリズムがあり、それが文脈をなすため音読をしないと それが実感できるようになりません。

大概の英語の学校教材にはリスニングCDがついていますが、これを使って学習する男子校生は殆どいません。 驚愕の男子学生も同様です。面倒臭がってやらないためいつまでたっても状況が変わらない。



聞く耳を持たないことは強制させる必要がある

そのためclassoncloud(coc) でもその場で音読を強制し、半ば強引に経験を蓄積させていくわけですが(とは言っても習慣になれば楽しめるものでは あるのですが)、男子学生は女子学生よりも自分の世界に自閉する傾向が 元々強くあるため、得意な科目である数学をはじめとする科学よりの学びに多くのリソースを割く一方で、 文章を書いたり音読をしたり、その先にあるコミュニケーションそのものを軽視し、リソースを割こうとしない傾向が はっきりとあります。

これは音読に限らない話ですが、子供達が自称する「やりたいこと」は、あくまでその年齢・状況・能力の時点で つまり極めて短期的な視点で判断することであり、 社会経験が皆無である子供達に長期的な視点から判断することはありません。 将来異質な他者と協働するため、コミュニケーションの最低限のツールとなる言語の重要性を説いたとしても、 まず能動的にやろうとはしません。 学生の「自由な意思」を手放しに尊重していると取り返しのつかないことになります。

実際のところ、学部入学後の多くの男子校出身者は軒並み、

授業で意見を求められても何も出てこない
もっと高校の頃からちゃんとスピーキングをやっておけば良かった
英語にもっと多くの時間を割けばよかった

という沢山の声を今も昔も聞いています。それでも「受かるから」と、 その怠惰な姿勢を改められないのが彼らの不幸です



環境が怠惰な姿勢を肯定してしまう

得に男子校の場合、自分ひとりがそうであれば違和感を感じ、修正しようとするドライブがかかるはずが、 回りも皆一様にそうであるため、怠惰な姿勢を肯定されてしまい、成長しないまま大学生になってしまうと言う 笑えない構図があります(東大でも数学8割、英語4割程度で抜ける学生は沢山いますが、当然学部入学後は 授業を活かすことができず、成長がほぼ止まります)。

更に言えば力を入れているなり、 音声認識の重要性を明確に、かつ継続的に学生たちに言い聞かせる学校もさほど多くありません。 そこにいる人間もまた、偏りがあることが多く、 わが身を振り返っても偉そうな事はいえないと感じていることが多いためです。




好きなテーマの洋書を読もう

幸い言語は文化をなす根幹です。よって日常生活の中に溢れているものです。 英語の学習と言えば問題集と言う発想をしている時点で相当頭が固くなっています。オンラインジャーナルや ペーパーバックでも何でも良いのです。好きなものから手を出して読んでみましょう。

気に入ったフレーズやパラグラフを繰り返し読むことも効果的です。冒頭で記したとおり、 言語にはリズムがあり、そこには生活リズムが息づいています。書き手のそうしたリズムなり人となりを感じながら、 読み進めることができれば、無味乾燥な、受験指導から開放され、全く違う地平にたどり着くことが出来るでしょう。

classonclod(coc)ではproject itoh の虐殺器官(genocidal organ)を読んでいます。言わずと知れたSFのベストセラー でもあり、この冬に映画化が決まった作品ですが、ジャンル問わず手にとって見るのが一番です。


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@MissUniverse Paulina Vega in my office- a wonderful person! Photo: Justin McConney- The Trump Organization

Donald J. Trumpさん(@realdonaldtrump)が投稿した写真 -

 

まあこういう写真が多いトランプ。

 

どうせネタでやってるだけだろ、本人も大統領なんてやる気無いだろ、と大方の外野の人間が傍観してたトランプ。 あれよあれよと支持層が大きくなり、とうとう内定まで取ってしまいました。そののし上がりぶりをヒトラーにたとえる 人間もいる始末ですが、ここでは政策面からざっとトランプの方針を眺めてみましょう。そして実は、日本の成長戦略と 大差が無いことが見えてきます。

 

 

 

ブッシュのように僅差で殴り勝ったトランプ

 

 

「イヤー」「やめてくれえええ」と軒並み悲鳴を上げ、大統領選では袋叩き状態だったトランプに対する 日本の報道を見ていた多くの日本人は、 トランプが内定したことで絶望感を感じたようです。実際百歩譲ってもヒラリーのほうが人間が出来ているようには見えますしね。 知的水準が高い層や大学生は圧倒的にヒラリー支持でした、というか誰も疑っていなかった。

 

 

 

人種や女性蔑視の発言も見られ、人間の風上にも置けない印象を与えていたトランプですが、 それは日本の報道がヒラリー寄りであっただけでもあれば、 低所得層・中間層の「声なき声」から支持を集めていた トランプの、良くも悪くも本音剥き出しの演説やスタンスは、彼らの心を掴んだ結果とも言えます。 大統領選は選挙人の数で勝負が決まるので、総得票数では見えないこともあるわけですね。 一番のヒラリーにとっての打撃は直前のFBIの告発だったと思いますが。 実際どちらがなってもおかしくない程度の僅差だったとは思います。

 

 

 

勝利宣言演説に見る内需拡大路線

 

 

9日に行われた勝利宣言を訳した記事から。大事な箇所はここです。


トランプ新大統領が勝利宣言「私は全てのアメリカ人の大統領になる」(演説詳細)より

 

 

>すべての国民が、自分の可能性を追求するチャンスが与えられる世界へ。世の中から「忘れられた人々」は、 もはや忘れられた存在にはならないのです。
>私たちには素晴らしい経済プランがあります。 世界で最も強い経済を作り出していきます。 また、私たちと「良好な関係を築きたい」という国とは、うまく付き合っていきます。素晴らしい関係を築けることを期待しています。

 

 

 

参考;池田勇人による国民所得倍増計画(wikipediaより)
  • 鉄道・道路・港湾・用水など、相対的に立ち遅れた社会資本の整備。
  • 産業構造の高度化、すなわち重化学工業化へ向けての誘導、生産性の高い部門へ労働力の移動。
  • 自由貿易の推進と上記の重化学工業による生産性向上により輸出競争を勝ち抜くこと。
  • 人的能力の向上と科学技術の振興により、従来経済と切り離されていた教育・研究などの 文教問題を経済成長と関連付け、文教政策に積極的に取り組む。
  • 二重構造の緩和と社会的安定の確保[44]。経済的成長の背面に噴出が予想される産業構造の転換に ともなう摩擦的失業、資金格差などの問題への対処。社会福祉と福祉政策の推進。

 

 

 

所得倍増?池田勇人か?と(上の世代の方は) 思われた方も多いかもしれません。「今更高度経済成長も無いだろwwwwww」と思われる方が大半でしょう。 しかしトランプは本気でもあれば、むしろ国家の成長戦略としては王道中の王道です。

 

 

トランプと池田勇人の時期との違いは、当時は市場経済・自由貿易が進んでおらずこれからと言う段階であったため、 池田勇人は3つ目の項目で促進する政策を 打ち出している点です。他方で現状のアメリカは、外国人労働者の優先順位を落としてでも国民の所得水準を引き上げ、 ケインズ的な公共投資で景気刺激策を打ち出し、これにより雇用を生み出すというやり方です。

但しアメリカは世界最大の債務国なので、果たして財政出動して耐えれるのかという話がありますが、 所属税の累進化税率を下げる旨の発言もしているので、どうせ中国・日本辺りからまた借りようという ところかもしれません。尤も、内国債比率はアメリカも2/3あるので国内でファイナンスできるかもしれませんし、 外交に疎いトランプがそんな態度で日本からうまく借りれるとも思えませんが。 国内から借りるのであれば法人税率と累進化税率をむしろ上げないと回りません。

 

 

逆風が引き始めたグローバル企業と海外進学組

トランプに熱狂する白人労働階級「ヒルビリー」の真実より
>「政治家の言うことは難しすぎてわからない」「プロの政治家は、難しい言葉を使って自分たちを騙している」 「ばかにしているのではないか?」......。そんなモヤモヤした気持ちを抱いているときに、トランプがあらわれて、 自分たちにわかる言葉でアメリカの問題を説明してくれた。そして、「悪いのは君たちではない。 イスラム教徒、移民、黒人がアメリカを悪くしている。彼らをひいきして、本当のアメリカ人をないがしろにし、 不正なシステムを作ったプロの政治家やメディアが悪い」と、堂々と「真実」を語ってくれたのだ。

>トランプの支持者に取材していた筆者は、ヴァンスの本を読んでいて「まったく同じ人々だ」と感じた。 ヴァンスが説明するアパラチア山脈のヒルビリーに限らず、白人が多い田舎町では同じように「トランプ現象」が起こっている。

>ヴァンスは家族や隣人として彼らを愛している。だが、「職さえあれば、ほかの状況も向上する。仕事がないのが悪い」

という彼らの言い訳は否定する。社会や政府の責任にするムーブメントにも批判的だ。 >困難に直面したときのヒルビリーの典型的な対応は、怒る、大声で怒鳴る、他人のせいにする、困難から逃避する、 というものだ。自分も同じような対応をしてきたヴァンスが根こそぎ変わったのは、海兵隊に入隊してからだった。

そこで、ハードワークと最後までやり抜くことを学び、それを達成することで自尊心を培った。 そして、ロースクールでの資金を得るためにアルバイトしているときに、 職を与えられても努力しない白人労働者の現実も知った。遅刻と欠勤を繰り返し、解雇されたら怒鳴り込む。 隣人たちは、教育でも医療でも政府の援助を受けずには自立できないのに、それを与える者たちに牙をむく。 そして、ドラッグのための金を得るためなら、家族や隣人から平気で盗む

 

 

 

 

 

裏を返せば内需拡大路線、つまり反グローバルで、 中下位層の支持を集めているのが現状のトランプなので、高所得層に当たりがきつくなる 可能性は否定できません。既にアメリカ国内では各地で暴動の類も起きていれば治安が悪化している旨の報道もあります。

 

 

 

トランプは国内を不安定にしている所得格差と、そこから生じる教育格差に向き合おうとしている わけですが、これを解消するには時間もかかれば、教育を万民に与え格差の解消を図る必要もあれば、原資も必要で、 要するに国内での衝突が数年以上にわたって大きくなることが予想されます。

上記の演説にある通り、外国人を排斥しようと言うつもりは無いでしょうが、問題の優先順位的に外国人労働者や学生の 受け入れに当たっての待遇が悪くなることは容易に予想されます。これはすなわちグローバル企業のプレゼンスが落ち、 海外進学組の学生、及びこれを希望する学生にとっては大きな逆風となることを意味しています。

ここで大事になるのは外資で働くな、海外進学するな、ということではなく、 ものの優先順位として 所得格差に向き合う方向にアメリカと言う国が動き出そうとしている点です。

海外進学をするなとは言いません。classoncloud(coc)にもMIT志望の学生がいます。他方で 「英語が“出来る”から」 「何となく楽しそうだから」「金はあるから」「数学が出来ないから」 と言った安易な動機で渡航すると大怪我をする局面に入りました。 海外進学なら希少性から就職でも優遇されるだろうというのは大きな間違いです。少なくとも現地で優遇されることは、 このトランプの方針から見てもまずありえません。

そういうわけで、よほどの覚悟が無い限り、まあ薦められないなと考えられるのが、現時点での海外進学です。

 

 

現状の日本の成長戦略との類似性

 

 

 

 

本題の現状の日本の成長戦略との類似性を考えてみます。現状安部政権は金融政策一辺倒で、流動性の罠にはまりっぱなしの状況で、 そして結局失敗しています(細かい話は省略します)。ですがアベノミクス第一の矢である、国土強靭化は、トランプや池田勇人が 意図したこととまさに同じ成長戦略です。そして実は、数年前からしばしば、この国土強靭化についてはclassoncloud(coc)の経済のクラス でも扱ってきました。

 

 

>東・東北豪雨をはじめとする豪雨、火山噴火等の災害、そして平成28年4月には熊本地震が発生している。 今後も、地球温暖化に伴う気候変動の影響による大雨や短時間降雨の発生頻度の増大、 首都直下地震や南海トラフ地震の発生が懸念されており、大規模自然災害等の 様々な危険を直視して平時からの備えを行うことが必要である。

他方、国土強靱化の推進は希望を生み出す強い経済実現においても重要であり、 一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策にも、推進すべき旨が位置づけられているところである。 また、「GDP600兆円」の強い経済の実現にも貢献する観点も含め、 国土強靱化を実効性のあるものとするためには、国、地方、民間、国民が一体となった取組が不可欠であり、 今後は、特に市区町村での地域計画の策定や民間の主体的な取組を促すことが重要となる。

>>> 国土強靱化推進室 - 内閣官房アクションプラン2016より

 

 

国土強靭化の場合、そのわかりやすいきっかけとなったのは東北関東大震災ですが、道路や港湾と言ったインフラには30年程度の周期で 更新する必要があり、それが今の時期であることが以前から指摘されていました。

 

 

マクロの経済政策は金融政策(日銀)と財政政策(財務省)がセットになって動かす必要があり、 特に長期デフレーション下においては財政出動が重要であることが知られています。幸い、日本はアメリカほど対外的な 債務を負っていないため、財政出動はアメリカと比しても容易であるため、トランプの戦略と比しても現実的です。

日本の場合、アメリカほどの所得格差と経済格差は生じていないものの、主に若年層の貧困化が深刻な問題を抱えており、 トランプと同じ方向を持つ日本の現状の政策スタンスが如何に重要か、また就職や進学に際しても、表面的な情報や 見た目の華やかさに踊らされて思いつきで判断すると大怪我することがお分かりになったかと思います。

 

 

対岸の動きを我が事として捉える力

 

 

大統領選が始まって以来、色物として日本のメディアからは扱われ続けてきたトランプですが、蓋を開けてみれば私たち日本人 にとっても極めて差し迫った問題を提示しています。そして身近な話題や状況と結び付けて考える力はペーパー対策では到底身につきません。 オタク的思考や、 自校を一歩も出れない生活に浸っていると如何に危険か、今回の大統領選もきっかけを与えてくれることとなりました。

classoncloud(coc)では、科目指導を宙に浮いた、机上の空論やスキルパッケージとして提供するのではなく、あくまで リアリティを伴う話題や現象と結びつけ、対話ベースの指導を展開しています。

[勝手がわからない父兄向]
なぜ(子供達が心底嫌がる)詰め込み塾は父兄に受けがよいのか

keyword: 東大受験塾,中学受験,父兄
(>>>アメブロ版)


 

幅を利かせる詰め込み塾(cram school)

大学受験にしろ中学受験にしろ、相変わらず詰め込み塾(cram school)が幅を利かせている状況です。 大学受験の場合は某東大受験塾が、中学受験塾の場合はよく使われている市販教材を軸にしている塾が首都圏ではその最たる例です。 しかし僕らはそれは絶対やりたくないと日頃から口にしています。それはなぜでしょうか?

 

 

外形的に、詰め込みの方が、わかりやすい印象を与える

 

 

①分厚い教材を渡されて、ウンザリするほどのたくさんの課題をこなさせる>
②たくさんの情報量があればあるほど「賢く」なるはずだ
③機械的にやった分だけ返ってくるはずだ

こうしたわかりやすい外見で格好をつけ、思い込みを深めるドライブをかけてくるのが、詰め込み塾の特徴です。 殆どの父兄は学習内容の細部までは眼が行き届きませんから(特に大学受験の中の理系科目)、 教材が分厚かったり、課題の量が多かったり、単純に生徒数が多かったり、果ては

④ターミナル駅に教室を構えているから
⑤ママ友達のお子さんがそこに通わせているから

と言うただそれだけの理由でー詰め込みだろうがなんだろうが、「よくわからない」 と言う理由から押し込んでしまうことが多いのが実情です。これでは中身の善し悪しも無く、 単なる全体主義に陥ってしまいます。もはや教育でもなんでもありません。

 

 

自律的な判断とはなんだろうか

 

 

上記の流れを見てわかりますが、そこにまず、ご父兄の自律的な判断は含まれているのでしょうか?

例えばテイラー展開があります。これに対する理解の段階は以下のようなものがあるかと思います。

①名前は何となく聞いたことがある(この時点で聞いたことが無い方が、特に母親の場合御三家と言えど9割方を占めるでしょう)
②式の形を覚えている(機械的に覚えているけれども何の役に立つのか全く実感がないレベルです。 ①を越えた中でも半数以上がこれに類するでしょう)
③指数関数を整次式で近似できる極めて実用的な手法であると認識できている(ほぼ皆無)

こんな感じです。「それは塾がやることだから」「私たちには関係がない」そう思われるかもしれません。 果たして本当にそうなのでしょうか?

 

 

sense(感覚・分別)と言う言葉の意味

 

 

わたしたちは、まずは実践的なsenseを磨くことが何よりも重要だと考えています。 それは数学や物理であれば数字や論理構造の捉え方そのもの、言語であれば言葉が持つ、 コアイメージを起点とする意味の広がりそのものや統語法といったものを指します。

「いやそんな高度なこと教えてくれなくていい、受かれば良いんだ。それだけでも大変なのだから。 センスなんか生まれつきのものでどうしようもないでしょ」そうおっしゃるかもしれません。 しかしちょっと待ってください。それでは話があべこべです。性急に過ぎます。

まずsenseという言葉には、感覚という意味の他に分別という意味があります。この2つは車の両輪で、 感覚を鋭くする為には―多くの場合これは予測力を意味する訳ですが―十分な経験の蓄積が無いと研磨することは出来ません。 まずここに対する認識が大幅に欠けているのです。

例えばなぜ数学が出来ないのか、よく考えてみましょう。単なる記号の羅列や、 複雑なアルゴリズムを字面で追うのみに終わっていなかったでしょうか?公式や解法の暗記に眼を奪われて、 そもそもなぜそうしたものが大事なのか、そもそも自力で証明したり、一般化したりといったことが出来た、 あるいはその価値が認識できていた方はどれくらいいたでしょうか?

そうしたものの意味をひとつひとつ読み解きながら経験として蓄積し、 経験が知識となって洗練された時に初めて具現化するのがsenseというものなのです。

 

 

senseを無視した方が「効率的」と謳う詰め込み塾

 

 

しかし多くの父兄はそうした、(時間がないということもわかるのですが、)自分自身を深く問われるプロセスに恐怖する為、 丸投げしたいと思うようになります。そこに乗っかってくるのが、「受験に"センス"など必要ない」といううたい文句です。 これは多くの父兄の心の隙間を埋めるにはあまりに甘くささやく言葉です。

皆がそうしてるから問題ない、合格実績も出てる、じゃあうちもそうしよう、それで問題ないじゃないか、 皆でそうしようーこういう願望が集積して正当化されたものが所謂”口コミ”です。

教育の本義を考えれば、詰め込みというのは最悪の部類のもので、数理科学であれば一通りの理解が及べば 次は更なる理解の対象の拡張と一般化が、言語系の科目であれば論じるテーマを拡張することが(つまり理解の抽象化です)、 とても重要になってくる訳ですが、その価値を見いだせない為にsense無視の正当化が始まってしまうわけです。 絶対にやってはいけません。

 

 

senseを磨くには分野・認識の仕方によってもちろん向き不向きがあるものの

 

 

もちろん各自の得手不得手とするところは全く違います。言語と計数が主に受験では問われますが、 女子学生は一般的に空間把握能力が、男子学生はストーリーの展開能力(想像力)や言語能力が、 極端にかけていることも珍しくありません。

それでも僕らはやりなさいと言います。得意なことだけやっていると、ますます自分が認識できる世界観が極端に偏り、 物事を柔軟に捉えられなくなり、狭い世界に安住し、成長を阻害してしまうからです。父兄の労働効率を優先するのか、 子供の成長を優先するのか、そうした冷徹な二択を迫られているのです。

苦手な科目・ものの見方にこそ多くの時間をさき、自分の成長の阻害要因を排除する。 入試では全科目の総合評価になる訳ですから、その点でも合理的です。もちろん得手とする分野・ものの見方を 磨くこともまた重要ですが、得意なら得意で自身の学年よりも上の内容にどんどん踏み込んで行くことこそが正統な学び方です。

 

 

本来の学びを取り戻す

 

 

過剰な訳のわからない知識や情報にどっぷり浸かる学び方はやめましょう。そしてそれには相応の勇気がいることです。 周りの何となくの流れに逆らうことになるからです。そして上記のような学び方を指導できる人間は、 そう多くいるものではありません。

このClassOnCloudには科学オリンピック受賞者をはじめとして、大学生でありながらも、 恐れながら指導歴は10年以上ある事業責任者からみて、明らかに鋭いものを持った子達ばかりです。 単に進学校出身者だから彼等を使う、という、次元の低い話ではありません。

多くの父兄の皆様に頼みたいことは、まずはそのsenseを磨くということはどういうことなのか、 改めて深く問い直し、その決断を勇気を伴ってして頂きたいということにあります。後はお任せください。 自信を持って指導に当たらせて頂きます。


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                                                            [cocの方針:全国の学生をつなげる意味]

首都圏と関西圏を繋ぎ、多様性を確保する                                 

 keyword: 多様性,diversity,リーダーシップ,経済成長,  数学,英語           

                                                         

この記事では中等教育の現場、つまり学校において多様性(diversity)が失われていることを指摘し、 それを確保することがなぜ大切なのかを読み解くと同時に、classoncloud(coc)ではなぜ、全国の学生をつなげようとしているのかをお伝えしたいと思います。                                                                                       

                            

1.「うちの学校にも“いろんな”人がいて楽しいから」                             

                                                         

殆どの中高一貫校の学生は、その生活スタイルが自身が通う学校の友達との生活で閉じています。なぜ学外の同世代の子達と 付き合いをしないの?と尋ねると、

                                                         

「うちの学校は自閉的だから」
「うちの学校にも“いろんな人”がいて楽しいから」

                                                         

と答えるのが通常です。特に進学校の場合、周りには知的水準の高い友人・知人も多く、 刺激もまた多ければ、腹の底では自分の学校にプライドを持っていることが通常でもあるためです。

                                                                                                                   

                            

2.”多様性”が不在の、日本の殆ど全ての中学・高校・大学                             

                                                         

しかし上記のコメントにもあるとおり、ご覧になっている皆さんは、「いろんな人がいるなら”多様性”はあるんじゃないの?」と思われるかもしれません。

                                                         

実はここで使われている”多様性”という言葉は、原義が異なる二つの語彙を混同した使われ方をしています。 上のコメントの文脈で言うそれは、「あいつは数学が出来る」「あの子はかわいい」この程度の違いしかありません。そしてこの程度の違いは英語ではvariationが該当します。

                                                                                      

ではもう一つの語彙は何なのでしょうか?それがdiversityです。                             diversityとは宗教観・文化圏・母国語・人種・民族、このレベルで違うものを指します。

                                                         

ただでさえ中学受験の頃から同質化されている上、塾に行ってもどこかで見たような面子がまた集まり、東大を始め大学に入っても似たような面子しか集まらない日本のそれは、既にdiversityが失われています。 そして一部の優秀な学生の中には、その環境に違和感を感じ、海外進学をする子もいます。

                                                         

「diversityが失われていることはわかった。でもそれがなぜ問題なんだ?」皆さんはそう思われることかと思います。 ここで皆さんには以下に続く文を読む前に、自分なりに少し考えてほしいと思います。なぜdiversityが必要なのか。 傍らに、日常的に人種や肌の色、異なる宗教観を持つ友人と共にすごすことになったならば、今までと何が変わるのでしょう。 そして海外進学をする子達は、そこに何を求めているのでしょう。

                                                                                      

                            

3.diversityが大きな豊かさを生み出す土壌となる                             

                                                         

人類の歴史を振り返ってみても、大きな成長や価値を生み出す局面においては、必ず異文化の衝突が見られます。 たとえばシルクロード。中国とインドの文化が貿易を通じて交じり合い、新たな模様の陶磁器が生まれました。 もう一つの例は Mac Book Air.発売当時革新的だと評価された、極限までスリム化された筐体の中には、 「内側を鍛えることでから美しさは宿る」と言う禅の思想が裏づけされていることは良く知られた話です。

                                                         

科学・技術は日進月歩でもあれば、それ単体では競争相手に直ちに追いつかれ、また面白いものも生み出されることはありません。価値を生み出すにあたり科学・技術に対する深い理解が必要であるのは勿論ですが、それと同等以上に異質な他者に対する理解と吸収が重要になってくるわけです。

                                                         

                            

4.異質な他者との出会いが自分を大きく変える                             

                                                                                                                                                
                            
 

classoncloudさん(@classoncloud)が投稿した写真 -

                             
                                                         

アメリカやEU圏の大学では、入学時に長時間面接を課すことが知られています。これは何を見ているのかというと、その学生が今まで学生生活を通じてどんな成果を上げてきたのか、そしてそれを受けて現在は何に取り組んでいるのか、そしてその大学に入って周囲に何をもたらし、どのようなchemistryを生み出しうるかを見ています。

                                                         

海外の大学では学生をselection(選抜試験)にかけるのではなく、admissionつまり採用する形で学生を受け入れます。  これは企業の就職面接と全く同じで、その学生の知能の高さや学力水準は、価値を生み出すための一つの競争力として捉えられてはいるものの、それ自体が全てに優先する、というわけではないということを意味しています。

                                                         

大きな価値を生み出すためにはまず異質な他者を深く理解し、敬意を示し、その良さに倣い、相手を気遣いながら協働するための時間と労力を裂く必要があるわけですが、そのための資質そのものを見ていると言えます。  まさに就職面接と同じですね。

                                                         

他方で日本の大学ではそれは課されません。残念ながら多くの中高一貫では、オタクや外部の異質な他者と交われない学生が毎年量産されている事実がまずあり、 chemistryを生み出す土壌が既に失われてしまっているのが現状です。そこそこの時間と金を持て余して、同質化された狭い世界の中で無自覚なレベルでの馴れ合いが生じてしまい、  「大学に通りさえすれば自立への道を辿れる」と錯誤してしまっていることが直接の原因です。海外進学をする多くの子達は、こうした背景に嫌気が差している現状を、私たちは直接会ってヒアリングし、見聞きしてきました。

                                                                                      

当の本人たちは、当面のところは居心地が良いですが、自分の世界にこもる人間は何ら新しい価値を生み出しません。長期的に見ても大きな価値を生み出すような人間に育つための、人格形成が進むこともありません。新たな価値とは他者との関係を再定義することで初めて生み出しうるものだからです。

                                                                                                                   

                            

5.価値を生み出すプロセスに絶対不可欠なリーダーシップ                             

                                                         

異質な他者との関係を構築するためには、当然勇気も時間も労力も要求されます。何をするにも四面楚歌からのスタートです。自分の世界にこもっている間はそれらは要求されません。オタクや狭い人間関係しか構築してこなかった学生が、自身の感覚を言語化し、相手に伝える力が極端に弱いのは、一見無駄ともとれる人間関係の構築に必要な備えを放棄してしまうためです。

                                                         

そしてペーパー特化の、現状の受験指導中心の中等教育においてはその力が、能動的に養われることはありません。 主観的な視点からすれば無駄ととれる人間関係の構築力は、客観点的な視点からすればその姿勢自体が不合理でしかないというこの矛盾は、経済学で言うところの合成の誤謬とも合致する現象です。

                                                         

ここで重要になってくるのがいわゆるリーダーシップです。周囲の人間を深く理解し、直接間接に、能動的に働きかけては 関係性そのものを少しずつ組み替え、組織や共同体そのものを動かしていく力です。リーダーシップを養うためには 頭の中だけで考えるのではなく、異質な他者と交わり、共に多くの経験を積み上げ、皮膚感覚でその経験を蓄積しては相手の世界観を吸収していくことが必要ですが、残念ながらこれについても進学校の教育では実現しえていません。学校と言う同質化された共同体にのみ属している限り、リーダーシップが宿ることはありません。                             

                                                                                      

また男子校では特に、縦書きの本;新書や小説を読む学生が極端に少ない現状があります。読書は見知らぬ人と出会うことと同じ機会を与えてくれますが、この意味でも進学実績の特によい男子校では、価値を生み出す力が大幅に失われてしまっています。

                                                         

                            

6.イベントで「刺激を受けた」だけではダメ                             

                                                                                      

そういうわけで、学校と言う場では大きな価値を生み出す土壌が既に失われています。機械的なペーパー対策に時間を割きすぎた結果、人間性(humanity)が失われ、その先にある自分らしさ(identity)も未熟なまま 時間だけが過ぎていきます。 中高一貫でオタクや外部の異質な他者と交われない人間が量産されているにもかかわらず、その体質を改められないのは、 一重に人間としての脆弱さを意味しています。また多くの一貫校ではobの教師も多ければ、同質化のドライブがさらにかかり、自力での軌道修正が利かなくなっているのが実状です。もっと言ってしまうならば、学校教師もまた競争環境にほぼさらされていない、 と言う意味で、普通の社会人とは異なる特殊な環境に身をおいていることが通常で、リアリティを帯びた職業観を学生たちに 伝えることが出来ていないこともあります。

                                                                                      

イベントや学生会議に顔を出しただけで、「いろんな人がいて刺激になった」と答えるタイプの学生もいます。 残念ながらこれも典型的なダメな学生で、そもそも相手を深く見ていない上、相手から具体的なものを掴むことが出来ていません。そもそも対話とは、短期間でなしうるものではなく、長時間をかけて相手を深く理解して初めて実現しうるものです。

                                                         

交わったところで他者にrespectを払い、良い面を可能な限り自身にも取り込むと同時に、 相手にも提供することができなければ交わっていないのと同じになってしまいます。相手と何も共有しておらず、 よって排他的であることは変わりがないためです。

                                                                                      

                            

7.スキルの提供と教育の違い                             

                                                                                  

人間性が失われつつあるにもかかわらず、人格が損傷してでもただのスキルである科目学習を提供するならば、 もはやそれは教育ではなくただの洗脳になってしまいます。 人格形成には対話が、それも経験に基づくリアリティを伴う対話が必要です。それが欠如している人間は、もはや人間でないとすら言えます。人の上どころか間に立てなくなってしまいます。

                                                         

人の間に立てない自分を正当化するために、スキルや学力で他者を殴ることを始め、 挙げ句の果てにはそれによって蔑視を始める学生すら、中にはいます。

                                                                                                                   

                            

8.首都圏と関西圏の違い                             

                                                         
                            
                             
                            

ここで一つ、diversityを語る上での一つの切り口となる、首都圏と関西圏の違いを見てみます。

                                                                                      

昔から模試のスコアを見ていても、首都圏の学生のほうが英語の能力に優れ、関西圏の学生のほうが数学の学力に優れます。これには多くの事情がありますが、

                                                         

①首都圏のほうが職業が多様で人も多く、コミュニケーションの大切さを自覚している学生が多い
②関西圏では医学科志向が強烈に強く(「とりあえず医学科」と口にする学生が多くいる)、 また首都圏と比べても産業集積に劣るためサービス業その他に価値を見出されていない
③関西圏のほうが医学科を設置する国公立が多い

                                                                                      

等が考えられます。灘と筑駒を比べてもあきらかに数学の力は灘が頭一つ抜けている反面、英語と数学のバランスと総合力は筑駒のほうが上です。また関西にはJGや武蔵のような、文系の進学者のほうが多い一貫校はありません。さらに言ってしまえば、中学受験においても 関西の上位の男子校では軒並み社会を課さないため、その意味でも人間関係の構築力を伸ばすにあたっての基礎が甘い子が多くいます。

                                                         

科目学習を離れてみても、たとえば大阪は安さ至上主義の気があり、よってデフレ圧力がかかりやすい傾向が慢性的にあります。デフレ圧力がかかりすぎると競争過多になり、新たな産業の種が芽生えにくくなり、よってさらに信用が収縮していくと言う危険な傾向へと繋がります。自然と文系側の職種やサービス業に関心が向かなくなれば、渋谷・恵比寿のようなベンチャー村もありません。

                                                                                      

                            

9.文化障壁を超え、互いの良さに学びあう                             

                                                         

人種や宗教観の違いは無いとは言えども、ここまで違うと流石に感覚も変わってきます。そして首都圏の学生は関西の学生の数学の感覚に学び、逆に関西の学生は首都圏の学生に言語の感覚に学ぶことで、単なるスコア上の、受かる受からないではない競争力を  身につけることが出来るようになります。

文化障壁を超えるには時間と労力が必要です。よって日ごろの科目学習に追われっぱなしの、知的許容量に余裕が無い学生には向かないスタイルかもしれません。他方で趣味やつまらないroutineに時間を割きすぎて、目先を見失ってしまっている学生も沢山いることも知っています。

 

                                                         

時間と空間を超え、自分に足りないものを直感し、秀でたものを他者と持ち合うことで、対話能力も含めて磨きあう。そんな場を私たちは提供しています。

                                                         


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授業の風景。この日は広中杯の問題を扱いました。

 

目につきやすいものばかりを念頭に置いてしまう恐ろしさ

以前記したエントリーをより細かくした話題でもあります。 「木を見て森を見ず」という言葉があります。多くのご父兄は手元の情報収集や安全策を模索するのには熱心ですが、大胆な判断を通じて長期的な成長を目論むことは極めて苦手な傾向にあるように思います。 短期と長期という見方は、このブログ、ひいてはClass On Cloudを語る上で絶対に外せない対比です。 そしてこれからお話ししたいのが、極めて短絡的な「技術」志向の欠陥です。所謂勉強法や教材へ極端に依存してしまうその姿勢です。

 

技術に優れるが、議論能力に脆弱な日本人

まず一般的な気質の話をします。昔から日本人は技術に優れると言われてきました。これは一つの長所であり、大事にしなければならないことです。

 

①フォーマット化・マニュアル化されたきめの細やかな知識の習得

②同質的なコミュニティの中で空気を察して事を荒立てない姿勢

③自身の生活において卑近な環境に対する工夫

④多数決で判断し、安定した環境を維持するために協調する力

 

そうしたもの全てに裏打ちされているのがこうした技術志向だと言えます。 他方で議論能力やアピールについては、異常なレベルで弱いのが日本人でもあります。

 

①狭くて深い学習や学問に対して理解を示せない。ストーリー・シナリオの創造性が低い。理系軽視で金になれば良い(=経済的に安定すれば何でも良い)と捉え、リスクの大きい研究職を敬遠・軽視する傾向がある。

②全く異質の人間を前にしては、十分なコミュニケーションを取って、自分と同じ人間なのだということを実感できない。多少衝突があったとしても、よりよい状態へと移行する為の自己主張・提案が出来ない。また議論の価値を見いだせず、仕方もわからない。

③自身の生活とはかけ離れた土地や文化にすむ人々をイメージした、俯瞰的思考と実践が出来ない。

④多数決の原理から離れて少数派の意見を十分に取り込みダイナミックな組織運営を行う力が無い。リーダーシップの不在。

 

キーワードにまとめるとするならば、日本人の特徴は、同質性重視・水平的協調性重視・事なかれ主義・体制維持重視、と言えます。創造性の育成や、はっきりとした自己主張・議論能力の養成、リスクテイク・管理能力の育成と言ったことは、中等教育に置いてもまるで軽視されていることがわかります。

 

過剰な効率性と無難さが成長性を阻害する

多くの予備校・受験塾でなされているカリキュラムは、所謂管理教育です。

 

厳密に単元毎に管理され、たくさんの課題を与えられ、それをこなして吐き出すと言う、非常にマニュアル化されたやり方をとっています。

 

多くの場合このやり方は無難で、一見安全策のように見え、そして非常に退屈です。過剰にマニュアル化されたカリキュラムにあっては突出した資質を伸ばしたり、興味深い対象との出会いを通じて急成長のきっかけを得ることはまず不可能です。

 

「○○死ね」(○○の中には塾予備校の名前が入る)と学生が叫ぶのにはそういう理由があります。退屈であっても、それが実践的であったり、長期的な将来に渡り合理であれば良いのですが、実際のところそれは数年先のことに最適化されたものなので、無意味なことをたくさんやらせているばかりか、事実と異なるものを刷り込まれることも少なくありません。

 

すこし指導経験がある人間ならわかりますが、成長の経路は平坦であったり、努力に比例して淡々とのびて行くものではありません。あるとき頭の中で何かが繋がったり、掴んだりしたとき、一気にのびて行くタイミングというものがあります。つまりその過程は試行錯誤そのものであり、あくまでリスクを伴うものなのです。

 

もちろん頑健なカリキュラムにそって学べば、特に言語系の科目についてはのびて行く傾向があります。ただしそれもあくまで文法の構造や構文解析的な内容をやっている間のみであって、テーマ別の文章の理解や、作家の背景も考慮した上での理解というのはまずふまえておらず、当然そうであればsenseは身に付きません。

 

ご父兄は偏差や席次、合否結果と言ったもののみに目を奪われがちです。つまり家庭を全部省略した、表情の一切無い量的な情報です。しかしこればかりを眺めていると、次第に何が大事なのかを見失い、表情の無いmachineのような学生を作り上げることに繋がってしまうのです。 ではそのリスクテイク能力とは具体的になんなのか、次のエントリーで記したいと思います。

 

 


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昔からよく使われる英文法の問題集

 

crown/new treasure / progress21

数学については先のエントリーで触れたので、併せて英語についても触れておこうと思います。 英語は数学と異なり、「独自性」を打ち出す傾向が強く、よく使われるこの3つも大分性格が異なります。

 

当たり障りの無い普通のcrown

crownは良くも悪くも普通の教科書です。脱力してる学校はこれを使うことが多いようです。英文もさほど面白みがある訳でもなければ、逆に言えば何となくでも消化できる程度の難易度でもあり、どの学校でも定期考査では丸暗記すれば点数になることが多い教科書でもあります。 教科書のせいではないでしょうが、定期考査が劣悪な問題になりがちな傾向は否めないと思われます。

 

heavyなnew treasure

Z会が一貫校向にだしている実質教科書扱いの教材がnew treasureです。速読英単語と重複している内容もあり、内容も充実していますが、分量がかなり重く、癖の強い文章も少なくない為、共立女子や江戸川取手と言ったかなり学校主導で叩き上げて行くところだと未消化で終わることも多いようです。 こなせれば予備校はあまり用は無いかもしれませんが、かと言って統語法等そこまでこだわった構成にもなっていませんから、若干理不尽なストレスがかかることもあるかもしれません。理系の学生に下手に与えると医志望の学生でも潰れます。

 

単語が難易度ごとにならんでいないプログレス21

プログレス21は文法を身につける教材なので高校の後半も使うようなものではないのですが、割と使われることが多い教材の一つです。構成はしっかりしていますが、ネイティブが編著のせいか、序盤から難易度に無理がある単語が並ぶことがあり、ここに疑問を感じます。 Z会treasure以上に頭が理系よりの学生に取っては使いづらいことこの上ないため、採用している場合はかなり注意が必要です。

 

序盤で躓き、畳み掛けられ、潰れないよう十分な注意を

所詮学校の傍用教材なので難易度は大したこと無いとは言えますが、英語は他の科目と違って中学からが入り口の科目で、癖のあるものや横滑りしやすいものを教材として与えられた場合、主にモチベーション面で悪い影響を与えることも多く、注意が必要です。 また多くの一貫校ではかなり巻いてこなそうとする傾向があるので、畳み掛けられた時に潰れないよう十分余裕を持つことが必要です。元々言語に向いていない学生は、ここで潰れる学生は山のようにいます。ClassOnCloudでもこうした学生に対する個別指導は提供していますから、どうぞご検討ください。


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新課程 4STEP数学1+A 新課程 4STEP数学1+A
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多くの一貫校で採用される4step

 

今回は学校の数学の傍用教材の定番についてすこし触れます。 一般的に言って使われることが多いのは上記にある4つです。どれも数研出版のもので、多少の難易度と分量に違いがあるのみで、学校の授業に併せた自習教材と言う点では同じです。

 

女子校の学生が悩む中心にあたる教材

偏差ランク上位といえども、女子校生の大半は、受験生以外の学年で、学力上位層以外の層は、こうした傍用教材で頭を抱えていることが通常です。 収録されている問題は単なる手計算の確認程度のものからセンターに毛の映えた程度のものが中心で、大して複雑なものは無いのですが、日頃から数理科学に対する関心が浅いので免疫が無く、打たれ弱い傾向があります。 この辺りの難易度の問題を日頃から力技で潰すことが出来れば男子校の学生と同等の水準を維持できるようになるのですが、大概の女子校では理系科目のカリキュラムが弱く、またイベントが多かったり、科学系の部活動に力を入れる子が少ない(多かったとしても数理科学への意識が弱いため解析的な志向訓練は殆どしない)ため、中々力を伸ばす機会に恵まれません。

 

元々計算が速い子は飛ばしても問題ない

持って生まれたものとして計算の処理能力が高い子は、男子校に多くいます。この場合必ずしもこれをこなす必要はありません。 いきなり1対1に飛んでも全く問題ないのですが、学校の過大になっている場合は層も行かず、面倒だけどやっている、という光景は良く目にします。

 

落ちこぼれそうなら片っ端から潰す

学校の進度について行けない学生・危うい学生は、くだらないと思える手計算的な問題も含め、片っ端から時間をかけてつぶすことが無難な問題集がこれらでもあります。 ただ部活動なので忙しいーこれは女子校の学生全般の傾向で触れたことと共通していますがーこうした最低限の防衛ラインを守れない学生もかなりの割合います。その場合はやはり長期休暇に集中してこなすなり、個別をつける等の対策が必要になります。 間を空けないことも重要です。作法や基本にあたるものをおろそかにしていると、その後の科目全体の学習に深刻な影響を与え、特に高校に入ってからも溜め込んでしまうと取り返しがつかなくなります。 つまらないレベルの問題なり話が多いこうした問題集ですが、軽視しない程度に上手くつきあうことが重要です。


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