(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

83. The BeatlesのLady Madonnaの歌詞より

 

2022年は、イギリスのロックグループThe Beatlesのデビュー60周年です。

様々なヒット曲がある中で、1968年に発表されたLady Madonnaの歌詞で、気付いたことがあります。

この曲は、たくさんの子どもを抱えて日々奮闘する女性を描いています。その中から、3ヶ所引用します。

 

Monday’s child has learned to tie his bootlace
See how they run

月曜の子どもは靴ひもの結び方を覚えた

ごらん、あんなに走りまわっている

 

Lady Madonna, baby at your breast
Wonders how you manage to feed the rest

(間奏)

See how they run

レディ・マドンナ、赤ん坊にお乳をやりながら

どうやってほかの子たちに食べさせようかと思案する

ごらん、あんなに走りまわっている

 

Thursday night your stockings needed mending
See how they run

木曜の夜にはストッキングがぼろぼろ

ごらん、あんなに伝線している

(作:Lennon-McCartney、訳:奥田祐士)(TOCP-71015-16、2009年9月9日)

 

この歌詞の中に、See how they runというフレーズが3回出て来ます。

2回目のtheyはthe rest(of the children)(お乳をあげている赤ん坊以外の子どもたち)、

3回目のtheyがstockingsを指していますが、1回目のtheyに疑問を感じました。

訳は、2回目と同じ「ごらん、あんなに走りまわっている」となっているので

こちらなど、この曲の訳詞を載せている複数のサイトも同じような訳でした)、

theyがchildrenつまり「子どもたち」を指しているのかと思いきや、

1行前に出て来る歌詞(Monday’s child has learned to tie his bootlace)には

Monday's childで単数となるので、代名詞がtheyにはなりません。

 

そこで、他に複数形かそれに近い名詞がないかよく見ると、bootlaceがありました。

bootlace自体は可算名詞で単数形ですが、靴がa pair of shoesのように1対で1つのものとして

扱われますので、両方の靴ひもを結んでいた可能性があります。

また、runには'to move too fast or in an uncontrolled way'(LDOCE)「速くすぎたり制御不能な状況で動く」

という意味もあります。そうすると、このSee how they runのtheyはbootlace(靴ひも)で、

runは「絡まっている」という解釈が可能です。

つまり、1回目のSee how they runは「ごらん、あんなに走りまわっている」ではなく、

「ごらん、靴ひもが(うまく結べなくて)絡まっている」という訳の方が、3回のSee how they run

異なった意味を持たせようとした作者の意図が反映されていると思います。

 

 

(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

82.4.紛らわしい単語4(differentとdifferentiate)

 

今回は、形は似ていても意味が異なる単語を取り上げます。

differentは、中学でも習う基本単語で「違う」という意味の形容詞で、be different from [than]~の形で使われることが多くあります。

 

(1)He is defferent from me.

(2)She has a different opinion from [than] me.

 

また、thanを使用する場合、後ろに節を置けます。

 

(3)The market today is very different than it was five years ago.

(今日の市場は、5年前とかなり異なっている)

 

いっぽう、differentiateは「差別化する」という動詞で、名詞はdifferentiationです。

 

(4)I cannot differentiate a monkey from an ape.

(私は、猿と類人猿の区別がつきません) (注)

 

(5)What differentiates these two species?

(この2つの種を区別するものは何か)

 

 

(注)しっぽが無い猿がapeで、orangutan、gorilla、chimpanzeeもその類。

 

(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

82.2.紛らわしい単語2(decideとdetermine)

 

日本語で「決める」「決定する」という意味を持つdecideとdeterminは、使い方が異なります。

例えば、「私は教師になることを決めた」であれば、

 

(1)I decided to be a teacher.

(2)I determined to be a teacher.

 

のようになりますが、自然なのは、自分の意思で決定するという意味の(1)です。

(2)は、「判断する」「決断する」という客観性があります。

 

(3)I was determined to be a teacher.

 

のように、be determined to~の形であれば可能です。

 

decide to~は、「様々な選択肢から選んで決定する」、be determined toは、「ある物事を実行することを強く決意する」というニュアンスの違いがあります。

 

この項、「ネイティブと英語について話したこと」参照。