(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

72.気をつけたいカタカナ語(ハイタッチ)

 

2人の人物が両手もしくは片手を勢い良くぶつけ合うことを「ハイタッチ」と言いますが、これは英語ではありません。

 

 

英語では、high fiveと言います。

 

(1)I did a high-five with him.(私は彼をハイタッチをしました)

(2)She gave me (a high) five.(彼女は私にハイタッチをしました)

 

数字のfiveは、手を拡げたときに5本の指が見えるからでしょう。

 

また、「タッチ」を使った野球用語で、野球ファンにはお馴染みと思われる次のカタカナ語にも注意すべきです。

 

 

(3)その走者はタッチアウトになった。

(4)バッターが犠牲フライを打って、走者が三塁からタッチアップして1点が入った。

 

 

実はこの「タッチアウト」「タッチアップ(敵の外野手がフライを捕球した後に進塁すること)」は、同じ単語が正しい英語に含まれています。

 

 

(3)’The runner was tagged out.

(4)’The batter flew out of the outfield, the runner tagged up from the third base and jogged in to score a run.  

 

 

名詞でも、それぞれtag-out、tag-upと言います。

なお、「犠牲フライ」はsacrifice fly もしくは短くsac flyと言います。

 

(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)

 

71.September

 

Septemberが9月で、Octoberが10月なのは、今では当たり前のことですが、本来septは「7」で、octは「8」を表わします(「7重奏」をseptet、「8重奏」をoctetと言いますし、八本足のタコはoctpusです)。

 

では、なぜ2ヶ月ずれているかと言うと、古代ローマ暦では3月が年の始めで、9~12月がそれぞれ7~10番目の月になるからです(注)。元々は、1年は10ヶ月しかなかったのですが、紀元前8世紀末の「ヌマ暦」で、 11月 (Januarius)と12月( Febrarius) が追加され、さらに紀元前

153年に暦が改められ、それまで11月だった Januarius が年初の月と定められたものの、3月(Martius)は 「旧正月」 として存続していました。その後紀元前 46年に、シーザーが Januarius を年初の月として正式に定めて以後、現在の1月から新しい年が始まることになったそうです。

 

(注)ジュリアス・シーザーと初代ローマ皇帝アウグストゥスが、自分たちの名前(Julius, Augustus)を月の名前にゴリ押しで入れたというのは俗説のようです。

 

この項、永田久(1982) 『暦と占いの科学』 (新潮選書)と「知の関節技」参照。 

 

(今回も、私小山田が感じたことを雑多につづっていきます)


70.2.help+人+原形と、help+人+toの違い

 

helpを使った文で、次の2文はどのように違うでしょうか。

 

(1)He helped me find the book.

(2)He helped me to find the book.

 

どちらも、「彼は私がその本を探すのを手伝った」の意味ですが、微妙にニュアンスが異なることがあります。

(1)のように、目的語(人)の後に原形が来る場合は、主語が「直接自分で手を下して手伝う」ことを意味します。つまり、その場で本を探す手伝いをしたことになります。

一方(2)は、「間接的に便宜を計った」ことを意味する。つまり、誰か探す人を手配したということです。おそらく、toをつけるとその場から時間的に遠くなり、間接性が強くなると考えられます。

 

ただ、これらのニュアンスの違いは絶対的なものではありません。なおアメリカ英語では、(2)の意味でもtoをつけないことが多いとのことです。

 

 

この項、安井稔(1996) 『改訂版 英文法総覧』 (開拓社)参照。