3月にパリに行ったのだが、その中で印象に残ったのはサンジャックの塔とホタテの道。笑
ホタテ貝のことをフランスではコキーユ・サンジャックと呼ぶ。このホタテがシンボルになる巡礼の道。
パリでも、パンテオンに通じるサンジャック通りにホタテのマークがついていて、それをたどって歩いたのだった。
そしてその話を友達にしたら勧められたのがこの映画。
原題は「The way」。こっちの方が本質で、邦題はかえって意味不明。多分訳した人がホタテの印が星に見えたのかもしれず…宇宙っぽい話に思えてしまうが、ちゃんと巡礼の話でした。
長年分かり合えなかった息子の死をきっかけに、息子が残した装備で巡礼を行うというロードムービー。特に劇的な何かがあるわけではないが、同じ道で様々に心の傷や悩みを抱えた人たちとの交流がある。じんわり来る映画でした。
お遍路さんでは同行二人と言うけど、まさにこの映画では空海、弘法大師ではなく、息子と二人旅のような雰囲気もあった。そして、事情を知る人が、息子さんのためと「あなた」のために、と必ず言うのも深かった。
日本だと、どうしても誰かのため、という言い方をしてしまうけど、自分のためだと、まず自分あっての他人なのだという考え方、他責じゃなく自分が選ぶという考え方は軽やかで、爽やかだった。
途中の挿入歌もよくて、映画を引き立てていた。なんといってもこの歌がすごくよかった。歌詞の意味も合っていたと思う。
映画の登場人物の中にはパリから歩いたという人もいて、ここから歩いたのだなと思った。
サンチアゴデコンポステーラまではフランスのサンジャンから800キロ。2ヶ月くらいかかる道のり。
最短では100キロのところから10日くらいでも行けるルートがあり、ここだと証明書をもらえるのだそうだ。
次の機会には少しだけでも歩いてみたいと思ったのだった。
今回、サンジャックの塔とホタテのことを知ったのはこの本。(最近新刊が出たが、私は旧版を中古購入)
ブラタモリでも解説された森田けいこさんの本。歴史部分が充実しているほか、紹介されているカフェやレストランもほんとに美味しそうでこの通りに旅しても間違いないと思う。
心で旅をすることもたまにはいいな。