保守主義とはローリスク・ハイリターンな方法論 | くらえもんの気ままに独り言

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 前回のエントリーにおきまして、やすさんより以下のようなコメントをいただきました。


『人間の社会とはゆっくり進めていくしかないんですね、AとBがあり、間違いなくBの方が人々が幸せになる、と考えられたとしても、社会の構造は、ゆっくりと変化させなければならない、人々の暮らしや思考が追い付かない変化は、悪政となる・・・
て、感じなのでしょうか、保守思考とは。

まー、イライラするでしょうね、待てない人は。 』


究極の保守主義?

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11917072742.html


 さて、とある方法Aおよびとある方法Bがあって、間違いなく方法Bの方が人々が幸せになる場合、どちらの方法を選ぶべきか・・・。


 答えは簡単。


 方法B一択です。


 確実に人々が幸せになる方法がはっきりしている場合にはとっととその方法を選択すべきです(^-^)/


 でも、実際にはどの方法が間違いなく人々が幸せになるのかということは分からないわけです。というわけで、現実的な二択は以下の通りになります。


既知の方法A 

未知の方法B


 ここで、一つ野球を例にたとえてみましょう。


 一打逆転のチャンスで代打を送ろうと思った場合、あなたが監督ならどちらを選びますか?


チャンスに強く、今までに実績を残してきたベテラン選手

正体不明、実力不明の助っ人外国人選手


 まぁ、もちろん②という意見もあるでしょう。もしかしたらホームランとか打ってくれるかもしれませんし。でも、実は野球なんかやったことない素人という可能性もありますよ。私が監督なら野球をやったこともあるか分からない助っ人外国人よりは、今まで実績を残してきたベテラン選手を起用したいところです。


 というわけで、既知の方法A未知の方法Bの二択の際に既知の方法Aを選択しましょうというのが保守主義的な考え方というわけです。


 既知の方法Aを選ぶメリットは一定程度の成功する確率が保証されているということと、何よりも失敗するリスクが低いというところにあります。野球の練習だったり、なんらかの研究とかだったり、失敗しても特に大きく困ることがないような場合には未知の方法Bをとることもあり得ますが、こと政治に関しては一度の失敗が取り返しのつかない事態を招くということが往々にしてあります。


 つまり、重視すべきは失敗確率の低い方法をとるということなのです。


 もちろん、既知の方法Aに問題がまったくないとは限りません。しかし、よい部分もあるのでその方法が現在まで受け継がれてきたとも言えます。というわけで、新たな二択です。


既知の方法Aの問題のある部分を改善し、既知の方法A’とすべき

既知の方法Aには問題があるので未知の方法Bを採用すべき


 これもまた、野球に例えてみましょう。自分のチームのピッチャーが不調でピンチを迎えています。あなたが監督ならどちらを選びますか?(明らかに不調であると分かるのはピッチャーのみとします)


ピッチャーのみを交代させる

いや、9人全員交代させるべきだ


 まぁ、普通は①を選びますよね(;^_^A

 これを漸進主義といいます。ちなみに9人全員代えるべきだというのは急進主義ですね。


漸進主義って実は最速?

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11803495558.html


 急激な変化をもたらす手段が確実に幸せをもたらす保証がない以上は最初のやすさんのコメントにはパラドックスが含まれているのはお分かりでしょうか?


 そう。間違いなく人々が幸せになる方法Bは悪政であるはずはないのに悪政となると表現していらっしゃいます。これはおもしろいですね。


 ということは方法Bは間違いなく人々を幸せにする方法ではないということになるのではないでしょうか?


 いや、方法Bを急激にやるのがよくないのであって、ゆっくりやるのがよいのであるという意見もあるでしょう。この場合の二択は野球に例えると以下のようになります。


9人全員いっぺんに代えるべきだ

1人ずつゆっくりと9人代えるべきだ


 でも、9人全員を本当に変えるべきかどうかは分からないのであって、9人全員を変えることが必ず良い結果につながるとは限りません。この場合はどちらを選んでも悪い結果となる可能性があるのです。


 では、今出ているのが実は控えメンバーで、レギュラー9人が遅れて試合会場にやってきた場合はどうでしょう。9人とも入れ替えた方が確実に良い結果が出ると分かっているケースです。こういう場合は9人全員いっぺんに代えた方がいいに決まっています。


 政治において保守主義・漸進主義でいくべきというのはどの方法が正しいか分からないかであって、もっとも成功する確率が高い・失敗する確率が低いからこそ保守主義・漸進主義が重要であるのです。一気にやっても確実によい結果をもたらすことが分かっている方法であれば一気にやって構いません。


 さて、やすさんは『人々の暮らしや思考が追い付かない変化』という表現も使っておられます。もちろん、人々の暮らしや思考が追い付かない変化というのはよくありません。が、変化の方向性が正しいのであれば暮らしや思考は自然と追いついてくるものです。追いつかないで問題をはらんでしまうのであれば、おそらくそれは変化の方向性自体に問題があるのです。


 たとえば、政府が「明日から消費税は0%にする。政府の借金は無問題だ。」と言った時には人々の暮らしや思考を大きく変えることになりますが、それほど深刻な問題は発生しないでしょう。逆に「明日から日本の公用語は英語にする。」なんて言った場合はどうでしょうか。こちらも人々の暮らしや思考を大きく変えますが、こちらの方はかなり深刻な問題が発生しそうな気がします。


 というわけでまとめになりますが、保守思想というのは「正しいことでもゆっくりやりましょう」ではなく「正しいことをやるために漸進主義でいきましょう」という思想なのです。


 最後に


『まー、イライラするでしょうね、待てない人は。』


 という一文について。


 イライラして待てない人はこう言うのです。


「抜本的改革だ!」

「グレートリセットだ!」

「ドリルで岩盤を破壊だ!!!」


 まぁ、ロクな結果にはなりませんわな(;^_^A

 誰のことを指しているかは想像にお任せします。


 要するに得点圏打率5割のベテラン選手を起用するより、もっとよい成績を夢見て野球経験者かどうかも不明な外国人選手を起用したがったり・・・、ピッチャーのみが調子が悪くてもそれを見抜く手間を惜しんで9人全員代えちまえ!・・・って感じの考え方の人間なんでしょうね。


 ちなみに私が「少しずつ地道に仲間を増やしていくしかない」とよく言うのは、少しずつ増やすべきだと考えているからではなく、少しずつ増やす手段しか持っていないからです(;^_^A

 保守主義の大切さに気付いた仲間が一気に増えるなら嬉しいに決まっています(‐^皿^‐)


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P.S.

なんかこういう組織があるらしいですね。

「日本を根っこから変える保守の会」

http://www.nippon-dream.com/wp-content/uploads/07098f9f6402399e91ee6e71fa32e650.pdf


会長は現厚生労働大臣の塩崎恭久氏・・・。

根っこから変えるって・・・保守じゃねぇ・・・。

「放火を楽しむ火消しの会」的なネーミングじゃねぇかよ(苦笑)


P.P.S.

リニューアルした進撃の庶民でも引き続き火曜日に『もう一つの進撃の庶民』を連載中です。


http://ameblo.jp/shingekinosyomin/

(他の曜日も漫画「アイドル新党なでしこ」の配信などキラーコンテンツ満載です。応援よろしくお願いします。) 


P.P.P.S.

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政治経済初心者必見!!

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11932947967.html


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くらえもんの気ままに読書まとめ

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