『言語帝国主義』 | くらえもんの気ままに独り言

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 さて、今回はロバート・フィリプソン『言語帝国主義 英語支配と英語教育』(平田雅博ほか 訳/三元社)を取り上げたいと思います。


 以前、英語教育の問題点について以下のエントリーで述べました。


『まともな日本再生会議』・その2

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11798256022.html


 そして、施先生もメルマガで現在、安倍政権が進めようとしている英語公用化政策の問題点を指摘しております。


【施 光恒】「オール・イングリッシュ」の愚

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/05/02/se-37/


 この、施先生のメルマガ内でも取り上げられているのがロバート・フィリプソンの『言語帝国主義』でございます。原著は1992年の出版ですが、現代においても通用する内容ではないかと思います。


 内容を簡単に説明すると英米の諸政府および諸機関がなぜ、どのように英語教育を世界中に推し進めようとしたのかについて詳細にまとめてあり、それは教育支援などとは程遠い、政治的な目的をもってなされたのであったということです。


 それにもかかわらず、日本においては英語教育に対して無批判などころか、自ら進んで受け入れて「0歳から英語教育だ」「習うならやっぱりネイティヴスピーカーからだよね」「英語の授業は英語オンリーでやらなきゃ」「スーパーグローバル人材だ」なーんていうアホ丸出しなことをやっているわけですね。


 あ、スーパーグローバルについてはこの記事も参考になります。


スーパーグローバル大学?(笑)

http://asread.info/archives/478

【施 光恒】時代は「スーパーグローバル」?

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/05/16/se-38/

オシャレでスマートなスーパーグローバル大学のキャッチコピーを比較してみた

http://asread.info/archives/808


 グローバルグローバル言うならなんで英語限定やねん、っていうツッコミもありますが、日本政府のセンスのなさにはビックリですね(;^_^A


 話がズレてしまいましたが、今回のエントリーでは施先生がメルマガで引用されていた、誤っているのに広く受け入れられている5つの信条について詳しく見ていきたいと思います。



信条1:英語は英語で教えるのがもっともよい


 あー。日本の高校では昨年度から英語オンリーの英語の授業がはじまっているんでしたっけ?そして、中学校でも導入する方針だとか・・・。


 私だったら英語で英語を教えられてもポカーン(゚д゚;)ってなりそうですが。


 英語教育を推進した英米はこの信条を盛んに喧伝していたんですね。植民地支配の名残だとか・・・。


 この信条の問題ですが、現地の子供たちは英語文化で生活しているわけではないので、学校で使う言語と普段の生活で使う言語が違うことは精神衛生上よくないのではないかと思います。また、母語使用に対する抑圧も問題だと。


 確かに英語オンリー授業でうっかり日本語をしゃべろうもんなら先生にめっちゃ怒られるかもしれないと思うと・・・、日本語を使う恐怖・・・。ありえん。


 本書ではこの信条が有害である理由として

①子どもたちの生きてきた経験(自国文化)の排除が問題

②二言語(多言語)使用が問題視されてしまう

③母語が確立したうえでの外国語学習が効果がある

④-1 教師が英語と母語の関係性を重視しなくなってしまう

④-2 そもそも英語を英語で上手に教えれる教師がいない

 などが挙げられておりました。


 日本国民としてのアイデンティティが確立していない子供たちに対してこんなことをやってしまっては精神が崩壊してしまうんじゃないでしょうか。英語以外の言語の教室からの締め出しは論外だ!!ヽ(`Д´)ノ



信条2:理想的な英語教師は母語話者である


 あー。周りにもネイティヴスピーカーのいる英会話教室をせっせと探してる方いらっしゃいますねー。発音とかそっちがよさそうな気もしますが、何が問題なんでしょうか。


 本書によれば、ネイティヴじゃなくても自国の英語教師は訓練次第で発音とかはうまくなるらしいと。そりゃそうかもですね。で、世の風潮としては教える能力よりもネイティヴスピーカーであることの方が重要視されているのが問題だと。確かに(;^_^A


 しかも、頑張って英語を習得した自国の英語教師の方が言語的および文化的ニーズをよく理解しているんだと。


 さらに、英語は多くの場合、国内や域内で通じればよいので、ネイティヴの発音はいらないと。実は世界中に各国独自の英語があるらしいです。


 ということは

 I'm fine thank you.

 って言えなくても

 アイム ファイン センキュー

 って言えればいいのかな(^ε^)♪


 英米が儲けるため、権力を誇示するために流された風説でございましたとさ。



信条3:英語学習の開始は早いにこしたことはない


 あー。周りにも赤ちゃんの頃から英会話習わせてる人たちいますね。

 だいたい。日本語だってロクにしゃべれないのに英語習わせてどうする?周りの人間は普段みんな日本語で生活しているというのに。


 そういえば、子供向けの本にもいちいち英語が書いてあるのはイラッとしますね(笑)


 母語を大切にしない限り、精神的な混乱や真の理解の欠如、知識の応用能力の不足などの悪影響をもたらしてしまいますし、やはり自国文化の排除へとつながっていく危険性がありますね。


 なぜ、こんな言説が広まったのかというと、英語教育開始年齢を引き下げることによって、英米の英語教師の雇用が・・・(以下略)



信条4:英語に接する時間は長いにこしたことはない


 なんとなく長ければ長い程上達しそうな気がしますねぇ。どこが間違っているのでしょうか?


 実は英語を何時間やろうが、ちゃんとした教師、ちゃんとした教科書、ちゃんとした教育方法でないと上達しないと。あぁ、そりゃそうだ。


 でも、質は無視して長時間やればいいんだ的な風潮もあるのは事実ですね。いや、さっきの指摘はちょっと考えれば分かることなんですが。


 あと、母語を完全にマスターしてから英語を学ぶ方が効率がよいとのこと。(あっ、さっきから英語英語言っていますが外国語一般に言える話ですね。)


 なぜ、こんな言説が広まったのかというと、英語教育の時間を長くすることによって、英米の英語教師の雇用が・・・(以下略)


 しかも、母語を先にマスターさせて質の良い教育をした方が短時間なうえ上達も早いという・・・。わざと、上達しないやり方で英語教育やって、少しでも金をむしりとろうっていう算段じゃなかろうな?



信条5:英語以外の言語の使用は英語の水準を低下させる


 ここまでくると英語をたくさん使ってくれぇ~という英米の思惑が透けて見えますなぁ(;^_^A


 しかし、実際は質の高い英語教師の数に限りがあるので、英語への需要が高まるほど水準は悪化するらしいです。本末転倒・・・。いや、狙い通り?



 というわけで、言語差別主義というか言語帝国主義という英語教育推進の手口の一部をご紹介しました。もう既にこれらの信条は間違っているということが明らかになっているのにもかかわらず、世の風潮はこれらがさも正しいかのようになっていて、政府も喜んでそれを推進するという・・・。


 われわれにとって英語というのは奴隷なんだ。英語が使えるということは奴隷として使えるということにすぎない。だから嫌なんだ。(byニエレレ初代タンザニア大統領)


 自ら進んで国民を奴隷化せしめんとする安倍政権はもはや国賊かヽ(`Д´)ノ??



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