『知性の構造』・崩落しゆく知性 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回は少し読む本のハードルを上げて、西部邁氏の『知性の構造』(ハルキ文庫)を読んでみたので、その感想というか個人的なまとめをやっていきたいと思っています。この本は1996年に出版(文庫版は2002年)されたものであり、西部先生が30歳代の頃から長年考えてきた「知性」のあり様をまとめた、西部先生自身の西部先生自身による西部先生自身のための精神の解剖書とのことです。


 しかしまぁ、難解ではあるので、このシリーズは私の理解のペースに合わせて少しずつ不定期にまとめていきたいと思います(;^_^A


 それでは今回は序章について、まとめたいと思います。(序章だけかよとは思わないでください(;^_^A)


序章『崩落しゆく知性』


 現代の知識人は自ら死へと向かっている。専門的知識の発達に限界を感じ(専門領域への追及に特化したが故のこと?)、活躍の場面を求めて世論へ迎合していく。しかし、そこで求められるものは欲望と情報の新奇さであり、真理への追究ではない。このままでは知識人は絶滅してしまう( ̄□ ̄;)!?


 こんな状況を打開するには知性の体系の瓦解を防ぐ必要があるということで西部先生はこの本を書くことに決めたようです。


 知識人は先にも述べたように専門分野に特化する反面、それ以外の価値観はどこからもってくるのか?


 それは世論から持ってくるのです。


 結局、全体像をうまくつかめないため世論に頼って言説を繰り広げる羽目になっちゃうってわけなんですね。知識人だから何か特別なことを話すかと思いきや、流行に乗っかって多数派の好む言説をしちゃうというわけなんです。つまり、知識人自体が大衆化してきちゃっているということなんですね。


大衆について知りたければコチラを参考に↓

『大衆社会の処方箋』・その2

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11769080323.html


 では、自分の専門領域以外の価値観はどこから持ってくれば良いのか?


 それは伝統です。なんせ歴史の試練をくぐり抜けて今まで残っている価値観ですからね。この姿勢がいわゆる「保守の構え」っていうやつですね。


 ちなみに物事の全体像を世論へ伝えるのはマスメディアの役目なのですが、実際に全体像をつかもうとせず、大衆迎合の新奇で刺激的なだけで意味のない情報を頒布するのみであり、それを受けてより大衆的な世論が形成され、その世論を受けて知識人がさらに陳腐化し、マスメディアを通してさらに陳腐な言説を広げるという、悪循環が形成されてしまうっていうわけですね。西部先生曰く『似非知識人が席巻しているのが只今の言論界偽りならざる現状なのである。(P14)』ということです。


 民衆はマスコミの情報が斬新で刺激的なため、それが低劣で陳腐な内容と気づかない。そして短期的刺激の連続に身を焦がし、マスメディアの手によって大衆へと身を落としてゆくのである。簡単に言うとマスゴミに触れる程バカになるというわけですな( ̄∀ ̄)


 確かにマスゴミも改革万歳改革万歳って言ったり、国の借金1000兆円!とか言ってた方が斬新で刺激的ですからねぇ(;^_^A 嘘をついているかどうかは別としてマスゴミの情報は低劣で陳腐な内容だということは肝に銘じておいた方が良いでしょうね。

 本来であれば欲望・情報というものが矛盾を呈し、葛藤が生じることによって、知性というものは研磨されていくのに、断片的な欲望・情報を垂れ流すだけのマスメディア。真の知識人なら、マスメディアと戦わなければならないのだ!


 そして、絶対的な真理の追究ではなく、相対主義に走る似非知識人。あぁ、ベストではなくベターを目指すってやつですか。民主党よりマシだから、安倍政権でオッケーよみたいな感じですかね。いまや、知識人とはマスメディアを擁護し、マスメディアに反するものに反逆するだけの存在に成り果ててしまったというわけですね。


『本書の狙いは、そうした平衡術の基点を探るため、知性が罹っている病気の正体を発(あば)き、知識人足らんとしている人々に、たとえば私自身に、その病気に対する予防策を講じてみるところにある。(P22)』


 上記、引用文の平衡術の話ですが、どんなに危機の中にあっても精神の平衡を保つものが知性の役目ということなんですね。


 さて、知性が罹っている病気とはいったい?

 そして、その病気の予防法とは?

 そもそも、知性とはなんだ?


 続きが気になるところで、今回はおしまい。


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P.S.本書はコチラ

知性の構造 (ハルキ文庫) 西部邁 著

http://www.amazon.co.jp/dp/4758430144



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