武田氏の記事で2015年3月で日本に住めなくなるらしい。
http://takedanet.com/2012/04/32015331_272e.html大変申し訳ないですが、武田氏の記事と反対するが、私はこれはありえないと思います。>>>
要約すると、
三重県の某Aさんが、毎日朝昼晩と線量を測定し、線量値にy=ax+bのカーブをあてたらしい。
ここからbが毎時0.10マイクロシーベルトで、a(傾き)が0.0004(マイクロシーベルト/日)だったとのこと。データ自体は、今年の1月から3月まで、約90日程度を用いたらしい。このまま行くと、2015年3月末で、1年5ミリシーベルトを越えるレベルになるという。
そして多くの方が、この記事を参照し、さも当然のようにあの武田先生がいっていると述べて、日本に住めなくなるように論じていたが。私は、記事を読んでいて、以下の間違いを見つけてしまった。
以下の点から考えると、彼の論理は間違っていると思われる。
(1)測定精度の問題
90日間で、90日×0.0004=0.036μシーベルト程度の変化があった事を意味しているのだけど、市販の測定器で、そんな精度出せるのだろうか?
福島大学のホームページにもあるが市販の線量計では10%から30%の誤差があるとされている。市販の線量計から考えると、現実的に無理と思われる。http://www.sss.fukushima-u.ac.jp/FURAD/FURAD/doc-measurement.html
3月頃の、データが一つでも高くなれば、それにつられて影響すると思われる。
(2)最小二乗法での計算と、その評価。
若い頃物理を専攻していたのでこの辺の数学は詳しいです。
(a)仮に、線量計の精度(つまり市販の精度レベル)で10%だとしてみよう。0.0004は0.1の何倍でしょうか? 250倍になります。実は、誤差論から言いますと、サンプル数は、その二乗倍必要になります。
正確には、250の二乗×SQRT(1/2)=62500×1.4=88000点のサンプルを必用とすることになります。
今回のデータでは、90日で朝昼晩3回取得したとしても、270点でしかない。従ってデータの評価として全然足りてないことになります。
(b)仮に、精度を0.01で計れる線量計なら、25^2=880日である。これも駄目。
(c)精度が0.001なら8.8日。まぁこれなら言えるかも。
⇒しかし結論として言うと、個人が買える線量計であれば、せいぜい10%程度であると思われるので最小二乗法として正しくても、データの評価としては正しいとは思えない。
(3)線量計のドリフトの存在
放射線の線量計というのは、特性上、数値のドリフトがあります。これは、放射線の仕事をしている人ならわかりますが、線量計と言うのは、経時変化でずれちゃうんです。1年に1回程度、数値の較正が必用なのですよ。
中のガスが抜けたとか、抵抗値が変化するとか、このレベルでありえる。おそらく計測器の特徴であるとも考えられる。
(4)トレンドの普遍性
そして最後に、公的機関のそれをみると、それに相当する事象は確認できていません。三重県のそれは、0.46程度で去年から、不変である。
http://www.pref.mie.lg.jp/KOHO/HP/tohoku/data/index.htm
データが普遍的に正しい事、つまりその周囲の線量計が同じ兆候を示しているのであれば、このような結論も正しいとは思いますが、「一個人のデータを持って日本全国に住めない」と言う結論はどうなのかと思ってしまいます。ということで「3年で日本に住めなくなるレベル」と言う見解は間違っている。と主張します。 私は、武田氏を、ある部分で評価しているところもあるのですが、科学に携わった事もあるので、言うべき事は言おうと決め、主張はします。
科学に携わると分かりますが、論争のある場合特に、いろいろな解釈がされますが、その事を持って人格を否定したりする人がいます。私の場合、そういう事はしません。批判は、人格ではなく、科学のデータとしての取り扱いが違うと思うのでコメントです。