ゼネコンはマンション管理組合の大規模修繕工事ができない? | マンション管理組合コンサルタント ㈱CIP須藤桂一の日記

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破綻する長期修繕計画の改善、マンション管理委託品質向上や大規模修繕工事のムダやムラを適正化する管理組合コンサルタントをしています。

 一般に、建設業界というのは建築士が集まっているエンジニアリングの集団です。特にゼネコンや設計事務所はその度合いが強いといえます。

 

 昭和の高度成長期時代には、日本の理系の花形職業といえば建設業でした。日本の建設は技術の「かたまり」のような存在で、世界的に見ても、巨大地震に耐えられる建造物を構築しているのは唯一日本だけといっても過言ではありません。

 

 しかし、マンション管理組合の大規模修繕工事を見てみると、その工事内容は塗装と防水が中心です。そうした技術は、一定のスキルのある人が専門書を数冊読めばだいたいのことはわかってしまう程度のもので、高度な技術やエンジニアリングが要求されるものではありません。

 

 実際に大規模修繕工事が始まると、何より求められるのは住民対応の能力です。大規模修繕工事は、多くの居住者が日常生活を送るなかで進めることになるからです。

 

 居住者からはさまざまな質問や要求、ときにはクレームが寄せられます。「工事中にエアコンは使えるのか?」「明日はベランダに洗濯物を干してもいいのか?」「ベランダに置いている植木鉢はどうしたらいいのか?」「自転車置き場が工事中で自転車が置けないじゃないか」「子どもの洋服にペンキがついてしまったが、どうしてくれるのか」などなど、長い工事期間のなかで、居住者にはさまざまな不安や不満が募ってくるものです。

 

 その際に必要なのは、技術やエンジニアリングよりも、そうした居住者の不安や不満を事前に察知するいわゆる「空気を読む力」や、不安や不満が募る前に、居住者たちに工事についての広報や案内をする「説明力」といった能力なのです。

 

 つまり、新築業界とマンション管理組合の大規模修繕工事の業界は、大きく違うもので、ゼネコンでマンション管理組合の大規模修繕工事が得意なところは1社もなく、特殊な業界であることを発注者は正しく知っておく必要があります。