マンションの大規模修繕工事を成功させるためには、修繕積立金が不足していないことは大前提ですが、加えて「どの業者に依頼するか」ということも大きなポイントになってきます。
大規模修繕工事を実施するには、当然ながら管理組合の力だけでは及びませんので、管理会社や工事業者などの協力が欠かせません。
大規模修繕工事を元請け会社として請け負ってくれる業者は、大きく分けて次の3つがあります。
①管理会社
②ゼネコン
③改修専業者
このなかで、管理組合にとってなじみがないのは③の改修専業者でしょう。
改修専業者とは、もともとは②のゼネコンの下請けをしていた塗装工事会社や防水工事会社が、マンションの大規模修繕工事専門の工事業者として、管理組合から元請け受注を始めた会社を指します。もとは下請けをしていたといっても、大手の改修専業者ともなると数百億円を売り上げるほどで、中堅のゼネコンなどよりも遙かに収益をあげています。
平均的なマンションが発注する大規模修繕工事費は1件当たり数千万円規模ですが、大規模修繕工事全体として見ると、現在は1兆円近くの市場に成長しています。
そこで、そのマーケットに参入する改修専業者もどんどん増えていますが、年商が数億円以上の改修専業者だけでも数百社を数えるほどですから、大規模修繕工事が建設業における重要な市場とみなされていることは確かです。
ただし、大規模修繕工事の場合、新築の建設業界とは違う面があります。問題なのは、管理会社と工事に携わるゼネコンや改修専業者たちが、見えないところでいろいろなつながりを持ち、工事の発注者である管理組合が損をする仕組みになっている点です。
管理会社も、ゼネコンや改修専業者も信頼の置ける会社で、常に管理組合の側に立ち、良心的な工事費で、「公平・公正・透明」に工事を実施してくれる――ということであれば理想的ですが、残念ながら、そんな「性善説」を体現するような管理会社や工事業者にお目にかかったことはありません。
発注者である管理組合が厳しい目でチェックし、競争原理を正しく働かせない限り、納得のいく大規模修繕工事を行うことは難しいというのが現実です。
良心的な大規模修繕工事を実現させるためには、この「管理組合が損をする仕組みになっている」ということを正しく理解し、正しく警戒することが非常に重要なポイントとなるため、大規模修繕工事をめぐる業界の“ダークサイド”があるということを理解していただきたいと思います。