マンション保険を見直す | マンション管理組合コンサルタント ㈱CIP須藤桂一の日記

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破綻する長期修繕計画の改善、マンション管理委託品質向上や大規模修繕工事のムダやムラを適正化する管理組合コンサルタントをしています。

自然災害や火災、盗難などに備えて、戸建ての住宅でさまざまな保険に入るのと同様に、マンションでも保険に入ります。所有者=契約者である戸建てと違って、集合住宅であるマンションの場合は、共用部分と専有部分がありますので、通常はそれぞれで別の保険契約をします。ここでは、管理組合が一括して契約する共用部分の保険について説明していきます。

マンションで入る保険には、火災保険や地震保険、個人賠償責任保険、施設賠償責任保険などがあります。また、これらの内容を一括で補償するマンション専用の保険なども出てきています。そのうち、賠償責任についてはいろいろなケースが考えられますので、ここでは火災保険と地震保険に絞って説明していきましょう。皆さんは鉄筋コンクリート造のマンションが、半分以上燃えてしまうというところを想像できるでしょうか? あるいは、そんな様子を実際にテレビのニュースなどで見たことがありますか?

これまで私が見てきたマンション火災のなかで最も大きかったのが、3戸が全焼したケースです。しかも、これはただの火災ではなく、ガス爆発によるものでした。一度の火災で、5戸や10戸が燃えてしまうようなケースは見たことがありません。とはいえ、もちろん火災に対する備えは必要ですから、マンションでも火災保険に入ることは非常に大切なことです。ここでお話しする火災保険とは、前述の区分所有者が個別に加入する、専有部分に関する火災保険のことではなく、共用部分に関する火災保険についてです。そして、問題はその火災保険を過剰な内容で契約させられているケースが多いという点です。簡単にいうと、評価額が1億円の家に対して、10億円の補償をつけているのと同じくらい不経済な内容であることがほとんどなのです。

火災保険は「再調達価格×付保率」で保険金額が決定します。再調達価格とは、「全焼してしまった場合、立て直すのにいくらかかるのか?」という概算金額です。一方の付保率とは「付保割合」ともいい、たとえば付保率が100パーセントであれば、その再調達価格の全額を保険金額として支払います。50パーセントならば、最高でも再調達価格の半額しか補償されません。火災保険をチェックする際にポイントとなるのは付保率です。マンションの火災保険では、付保率が50パーセント、あるいは70パーセントという高い率で設定されている契約がよく見受けられます。これはどういうことかというと、たとえば付保率が50パーセントならば、10階建てマンションの場合、5フロア分が全焼してしまう状態を想定していることになります。

マンションによって状況はさまざまですから、どの程度の付保率にすれば適正なのかということは、専門家が評価をしてみないといけませんが、はっきりいえることは、木造住宅と違って、鉄筋コンクリートでできているマンションの共用部分は、上下左右の住戸へ延焼しないように設計されているため、ほとんど燃え広がらないということです。2013年9月に、都心のタワーマンションの27階で火災が発生しました。しばらくして鎮火しましたが、消防車を使った通常の消火活動はほとんどできなかったということです。なにせ27階でははしご車も届きません。消火器などで消火活動をしたようですが、正しい処置だったと思います。マンションの場合、水を撒いて消火活動を行うと、周囲が水浸しになってしまうので、火災以外の面で被害が大きくなってしまうのです。このように、マンションの火災は大規模に燃え広がるということがありませんので、たいていのマンションの火災保険では、火災被害の想定に対して付保率が異常に高い設定になっているといえます。皆さんも自分のマンションの火災保険がどういう契約になっているか、ぜひ確認してみてください。保険証券はわかりにくい表記になっているものも少なくありませんが、わからない場合には管理会社や保険代理店に説明してもらいましょう。