大規模修繕工事において、下地補修工事は非常に重要です。具体的には、ひび割れ、浮き、欠け、鉄筋露出などを修理する工事で、新築工事では経験のない工事項目となります。ところが、まだ足場をかけていない設計段階で、補修すべき箇所を特定するのは困難です。
工事業者に見積りを依頼するときは、部分調査によって補修すべき箇所を想定し、数量を算出します。そして、実際に足場をかけた後で全面調査を実施したときに、実数実測で精算するという「実数精算方式」があります。
一方、故障箇所が想定数量より増えても、あるいは減っても、精算をともなわない「請負方式」もあります。これは発注方式の違いになるので、設計の段階で、どちらの方式で見積りを取るのかを決めておく必要があります。
請負方式は、工事業者に大きなリスクがともなうため、通常はかなり高めの単価金額で設定されます。想定よりも数量が大幅に増加すると、工事業者の大きな負担になるからです。
一方の実数精算方式は、管理組合側にしてみれば、部分調査時の見積りよりも金額が増加する懸念があるので、予備費などをしっかり見込んでおくことが大切です。
いずれもメリット・デメリットがあるので、どちらの方式にするかは十分に納得してから決めましょう。私がお勧めするのは実数精算方式で、予備費を工事費の10パーセント程度で見込んでおくことを提案しています。現在、大規模修繕工事のほとんどは実数精算方式で契約締結されていることを覚えておきましょう。