№18
日付:2024/5/5
タイトル:悪は存在しない

監督・脚本:濱口竜介
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1
パンフレット:あり(\1,200)
評価:5.5

 

多くの話題作が公開されたこのG.W.、一番楽しみにしていたのがこちらの作品。東京で2館、神奈川で3館しか上映していない状況に、配給会社とトラブルでもあったのかと思いkikiさんで訊いてみたところ、どうやら「制作側の意図」らしいとの事。最初は何でそんな事をと思いましたが、観終わった後にその理由を自ずと理解させられる事となりました。

 

これが3作目の観賞となる濱口作品ですが、前2作とはお作法がかなり異なる。いや、前2作というよりも、我々が普段観賞する娯楽作品における段取りや文法自体が異なるかのような映像でありカメラワークでもある。映画の常識において“当たり前”ではない独特の時間の流れが、固定化されたフレームの中でゆったりと過ぎてゆく。

前作は濃密な会話劇として成立していましたが、本作は全く異なるアプローチとも取れるし、ものすごく希釈した、台詞の少ない会話劇と取れなくもない。ただ決定的に異なるのが、そこで交わされる会話の中身が持つ意味。本作ではそれが決して直接的な意味を持たない。そしてそれが尚更に物語の結末と共に、観客を迷路の中に置き去りにする。いやもうビックリ。

 

とにもかくにも、事前の情報など全てシャットアウトした上で観ないと損する作品です。濱口監督ファン以外には決しておススメしません。

 

 

 

 

 

 

パンフレット(通常版)

冒頭、「~作品が生まれるまでに至ったのか。このパンフレットに収録されている記事の多くは、その道行のドキュメントとなっています」と記されています。確かに本作をアナリーゼする上でも重要な情報が随所に含まれていて、読み応えありました。

・奇妙で楽しい旅 濱口監督

・イントロダクション

・ストーリー

・『悪は存在しない』ができあがるまで 北川喜雄×石橋英子×大美賀均

・ロケ地紹介

・西川玲インタビュー

・小坂竜士インタビュー

・渋谷采郁インタビュー

・『悪は存在しない』と『GIFT』の編集をめぐって 濱口竜介×山崎梓

・『GIFT』のあと 京都公演レポート 五所純子(文筆家)

・クレジット

チラシ