№5
日付:2024/1/27
タイトル:枯れ葉 | KUOLLEET LEHDET
監督・脚本:Aki Kaurismaki
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン2
パンフレット:あり(\900)
評価:6

 

アキ・カウリスマキ監督が描くヘルシンキという街とそこで生活する人々の様子は、とても貧しく質素な生活を強いられているようにしか見えない。TVもない部屋でラジオを点ければロシアがウクライナを攻撃するニュースばかり。そもそも作品に登場する市井の民たちはあまり笑顔を見せることがない。常に「負け犬」を描いてきた監督なのだから、仕方のない事かもしれませんが。

 

その一方で、フィンランドは毎年世界の幸福度ランキングで第1位に輝いているのだそう。いろんな意味で日本とは真逆のように思えるカウリスマキ監督が描く彼の国が殺伐としていながら悲壮感が漂わないのは、この国の見えざる何かが作用しているのかもしれない。

 

スーパー勤めの女と工場勤めの男が、なんとなく出会ってなんとなくビビッときてなんとなく紆余曲折を辿るお話。

シナリオライター育成の専門学校でこんな脚本を提出したら、ろくな点をもらえそうにないのですが、この監督の手に掛かると1本の作品としてすべてが許されてしまう。なんというか、ヘタウマな漫画家の味わい深い作品を読んでいるかのよう。

 

パンフレットの冒頭に記された、カウリスマキ監督からのメッセージには、引退宣言を撤回した理由や、この作品への思い、本作でオマージュを捧げた尊敬する先達(ブレッソン、小津、チャップリン)への感謝が綴られていて、監督及び本作への愛情が高まった。

作中の小津作品と見紛うようなカットと、思わず笑ってしまうチャップリンのネタが、心に沁みました。ブレッソンって誰だ?と思って調べたら、なんとなんと「抵抗(レジスタンス) - 死刑囚の手記より -」の監督じゃありませんか。彼がこの監督を敬愛していたとは知らんかった。益々この監督の事が好きになりました。

ちなみに本作は、彼の作品で初めて携帯電話が登場する作品なのだそうです(笑)。

 

 

 

 

Maustetytöt

 

 

 

とても素敵なパンフレット

・メッセージ

・イントロダクション

・ヒロインに託されたカウリスマキのウィンク 川口敦子(映画評論家)

・ストーリー

・音楽

・フォト

・アキ・カウリスマキ監督インタビュー(カンサン・ウーティセット誌より)

・ユッシ・ヴァタネン(ホラッパ役) インタビュー

・アキ・カウリスマキ プロフィール

・Maustetytötインタビュー

・篠原敏武インタビュー

・ミカ・ラッティ(映画館「キノ・ライカ」(※)共同経営者)インタビュー

・クレジット

※カウリスマキ監督が住むカルッキラという街に作った映画館

チラシ