前回の記事からの続き
離婚後10年、ふたりには子どもがいないのに、付き合いが途切れていないことの意味を考えてみた。
ヤキモチを妬くのは簡単だけど、こどもじみたヤキモチは、物事の本質を見えなくさせる。
例えふたりの間にあった愛が消えてしまったとしても、別れた元妻といがみ合ったりせず、友人でいられる人であるという事実は、
アールが本当に良い人なのだ…という意味だと、私は思う。
(元妻も、良い人なのだろう。カレが選んだ人だし。)
もしもアールが結婚生活で元妻をすごく傷つけていたり、
離婚の時に激しく揉めたり、
彼女にとってとことんイヤなオトコだったとしたら…、
きっと元妻やその家族は、離婚後、何ひとつカレのチカラになろうとは、しないはずだから。
元妻との現在の関係の話を聞くたび、
カレが私に聞いてくる「変かな?」という問い。
私はその問いに毎回
「ううん、変じゃない。
あなたの元奥さんとその家族が、離婚した後でも、あなたに親切にしてくれて、嬉しい。
とても良い人達なんだね。」
と、伝えている。
自分に対しても、そうでしょう?と言い聞かせるように。
…でも、もしも、出来ることなら、
(日本国籍を持っていても)外国人が日本で暮らすことで、日本人の保証人などが必要な状況が今後もあるのだとしたら…
この先は、私がカレのそれになりたい…というのが、私の本音である。
仕事と家を失い、元妻の住んでいる街に帰る理由が無くなったのなら、帰国してからは、どこでどんな仕事をして暮らしてもいいはずである。
昨年
「帰国したら、あなたはどこに住むつもり?」
と聞いた時には
一瞬だけ考えて
「ここ(△県)かな。」
と答えていたカレ。
しかし先日、同じ質問を、言い方を変えてしてみた。
元妻との現在の関係を全て教えてくれた会話の後だった。
「帰国したら△県でまた暮らすと、あなたは決めているんでしょう?
それは、彼ら(元妻とその家族)がそこにいるから?」
するとカレは
「I haven't decided
I can live anywhere」
と言った。
(…言わせたようなものだろうか)
そして、そこで思い切って
「◆市(私の居住地)で暮らすことも考えてみて」
と言ってみたら
「Ok」
という返事。
絵文字もスタンプも使わない私たち。
この〝Ok〟が、どんな感情を含んでいるのかは、全くわからない。
アールのOkの一言で強制終了させられることの多い私たちの会話。
「一体この会話のオチは、どこに着地したんだろう?」と謎に思っていても
大抵、その後の行動にしっかりと反映させてくれるアール。
こちらが忘れた頃に。
絵文字でデコレーションされていないシンプルなテキストでの会話。
常に感情を露わにせず、控えめだけどストレートなメッセージを送り合うからか、
カレは驚くほど私たちの会話を憶えているし、言葉を大切にしてくれていることに、一年が経ち、ようやく少しずつ気付いた。
初めて伝えた、私の気持ち。
帰国後は私のいる街に住んでほしい…という考えと微かな期待が、
国際遠距離恋愛に対する私のネガティブな感情を、緩やかに、押し流していった。
さて、いつになるかわからないが渡航から一年後に、アールはどこに帰ってくるのだろうか。