ホン・ジョンヒョンつながりですが連続5本目のホラー、大丈夫か?!…毛色の異なる3本のホラー・オムニバスですが、ともかく俳優陣があっと驚く豪華な学園ホラー…「鬼」

 

[プロローグ:君の名前を言ってみて(네 이름을 말해봐)]怪しげな祈祷場に一人、二人組、三人組と女子高生が集まっている。占い師はタロットカードを開き、彼女たちの運命を視るというが…[seg.1 呼ぶ手(부르는 손)]とある高校。廃墟となった旧校舎の裏では女子高生たちがダンボールの子猫を可愛がっている。一人の女子高生を残して仲間がミルクを買いに行く。そして子猫が逃げ出し、半地下の半開きの窓枠をウロウロする。女子高生は窓を開け、手を伸ばして子猫を捕まえようとするが、そのまま地下室に落ちてしまう仲間が戻ってくるが、女子高生も子猫もいないのでそのまま去ってしまう…演劇部では、誰が廃墟となった旧校舎の旧部室から演劇の小道具をとりに行くか揉めている。恐ろしい怪談噺のある校舎だ。結局先輩の命令でジャンケンで決めることになり、女子高生ラン、ウンジ、アリム、そして唯一の男子高生キム・セの四人になる。彼らは旧校舎に向かい、キム・セを見張りに残して三人の女子高生が入って行くが、そこで待ち構えていたのは…[seg.2 私の傍にいて(내곁에 있어줘)]その高校では、女子高生で親友のナミとソヨン、生徒会長ジェヨンの三人が成績優秀で、1枚のソウル大推薦状候補になっている。しかしナミはそれどころではない。ジェヨンの子を妊娠していて、少しずつ目立つお腹の心配で精いっぱいなのだ。そんな時ナミを悲劇が襲う…[seg.3 鬼少年(鬼소년)]その高校の男子高生チョルミンが登校のため地下鉄に乗っているが、他の人には見えない幽霊が見えている。彼は、霊媒師の孫なのだ。朝早く学校に着いたチョルミンは教室でも女子高生の幽霊が見える。やがて自分が見えていることに気付いた女子高生の幽霊は、ハン・ソヒ、と名乗りチョルミンに纏わりつく。話を聞くと(声は出せないので背中への指による筆談だ)、自殺した連続殺人犯に殺され、今も悪霊となった彼に追われていると言う。そしてその悪霊は学校に近づいているのだ…[エピローグ:君の名前を言ってみて(네 이름을 말해봐)]祈祷場には見たことのある三人の女子高生がいる。そして今日、新たな高校生カップルがやって来るのだ…

 

ともかく垂涎の役者陣です(カッコ内は公開時の年齢)。[seg.1 呼ぶ手]気丈なランに、今は大女優ハン・イェリ(クレジットはキム・イェリ)(26歳)、可愛いウンジに、「王宮の夜鬼」の美形ハン・ジウン(20歳)、二枚目先輩ヒョヌクに、「V.I.P.修羅の獣たち」「The Witch」で狂演二枚目イ・ジョンソク(21歳)、間抜けなキム・セに、「建築学概論」などの超演技派イ・ジェフン(26歳)[seg.2 私の傍にいて]ナミに、「息もできない」などの名女優キム・コッピ(25歳)、ソヨンに、若い日の斉藤由貴の面影がキュートなシン・ジス、生徒会長ジェヨンに、「アリス:ワンダーランドから来た少年」ホン・ジョンヒョン(20歳)[seg.3 鬼少年]気弱な霊能男子高生チョルミンに、「ヨコクソン 女哭声」などの二枚目イ・ミノ(27歳)、切なくも天然な幽霊女子高生ハン・ソヒに、子役出身キュートなチェ・ヘギョン、漢文教師に、名脇役パク・ウォンサン。友情出演では、[prologue&epilogue 君の名前を言ってみて]怪しい占い師に、名優ペ・スビン、新客女子学生に、「トンネル」などの美形ナム・ジヒョン(25歳)。

 

こういうホラー・オムニバスは大好物です。勝手に類型化すると、[seg.1 呼ぶ手]は”廃墟密室ホラー”、[seg.2 私の傍にいて]は”青春残酷ホラー”、[seg.3 鬼少年]は”退魔系アクション・ホラー”となかなかの彩りですし、意味の分からない[prologue 君の名前を言ってみて]が一転[epilogue]ではくっきりと映画を締めくくる、となかなかの出来栄えだと思います。とはいえかなり古い作品なので、昨今のCG使いまくりの残酷映像美を想像しているとかなり裏切られるのはやむを得ないでしょう。ところが、役者陣で一発逆転、見直すこととなり、ハン・イェリ(26歳)、ハン・ジウン(20歳)、イ・ジョンソク(21歳)、イ・ジェフン(26歳)、キム・コッピ(25歳)、イ・ミノ(27歳)などなど、それは映画史学術的価値を感じてしまう(かなり大袈裟でしょう)配役陣だったりします。

 

配役陣に興味がなければ、まぁ、各々BC級ホラーの域をそんなには出てないとも思われ、わざわざ観たら怒ってしまう観客が圧倒的だろうと思いますが、若き名優たちが熱演を繰り広げる一つの高校を舞台にしたホラーの見本市、みたいな世界観は一定の評価に値する、と個人的には感じるオムニバス・ホラーです。