圧倒的な美貌ハン・ジミンつながりで、前から気になっていたので…このブログで扱ったことのない30分に満たない短編ですし、実は企業のCMムービー(以前「インフルエンス」という駄作を取り上げたことがあります)だったりしますが、「8月のクリスマス」巨匠ホ・ジノとハン・ジミンの手腕が堪能できる抒情短編…「二つの光」

 

”視覚障碍者福祉館”で、ある青年が行先を探している。青年はインス、探しているのは”文化教室”の写真教室”サンサン倶楽部”だ。インスが通りかかった女性に訊ねると、その女性スヨンは、案内してあげる、と言う。階段に差し掛かり、慣れたスヨンがインスの腕を取ろうとすると、インスは嫌そうに拒む。スヨンは”新人ね”と呟き、青年を倶楽部に案内する。視覚障碍者が集い、残った視力を最大限使って写真を撮り楽しむ場だ。メンバーの自己紹介が始まる。新人のインスは、網膜色素変性症発症(RP)を発症して3年、27歳の今も進行中で残された視力は少ない。仕事はピアノの調律師だと言う。案内した女性スヨンは、アロマセラピストで7歳から片目は全盲、もう片方は霧がかかったようだと自己紹介する。他にも全盲と半盲の老夫婦や、やはりRPを患う青年などがいる。こうしてインスのスヨンと写真との関りが始まったのだ…

 

アロマセラピストのスヨンに、美形ハン・ジミン、ピアノ調律師のインスに、ボーイズグループ<ZE:A(ゼア)>メンバーで「8番目の男」では主演で好演パク・ヒョンシク、老夫婦の全盲の夫キナムに、いつも笑えるキム・ギチョン、妻キョンアに、こちらもいつも笑わせてくれるシン・シネ、写真教室の指導者に、文芸作品も多いキム・ジェロク。

 

まずはこの映画の出自。この映像は、韓国サムスンが開発した”Gear VR”用の視覚障害者支援アプリ「Relumino」のためのCMムービーです。従ってYouTubeで無料で観ることが出来ます。ただ正式字幕に日本語字幕がないので、英語字幕か機械翻訳の日本後字幕で観るという条件付きです。”두개의 빛:릴루미노”で検索すればすぐ見つかるでしょう。ちなみに”Gear VR”はサムスンのバーチャル・リアリティヘッドセット(巨大なサングラスみたいなやつ)です。というわけで、これらの製品を視覚障碍者に活用してもらうべくプロモーション・ムービーを企画し、白羽の矢が立ったのが名匠ホ・ジノ監督だったと思われます。30分ほどの短尺なので複雑な展開はなく、三度の野外撮影会を中心に、彼らが写真撮影にチャレンジしながら絆を深める、というだけのストーリーなんですが、さすが監督、主演美男美女、名脇役夫婦などが見事で美しい映像詩に仕上げていると思います。

 

ただ、途中くらいでCMムービーと気づいて興ざめする方も少なくないでしょうから、その辺は気を付けた方が良いでしょう。YouTubeでさらっと観るくらいがちょうどよいかもしれません。

 

余談。ハン・ジミンが幼い頃に観たアニメに言及するシーンがありますが、一本は”피구왕 통키(避球(ドッジボール)王トンキー)"。これ日本のドッジボール・アニメ『炎の闘球児 ドッジ弾平』韓国翻訳版のようです。もう一本は”뽀로로”。これはwikiによれば、ペンギンを主人公にした2003年から少なくとも去年の1月までは放送されたという大人気5分アニメ『ポンポン ポロロ(뽀롱뽀롱 뽀로로)』のことで、『ポンキッキ』内で放送されたこともあるというのでご存じの方も多いかもしれません。

 

ちなみに、劇中モネの美しい絵が白内障に関わるという話がありますが、どうもこれは事実のようで、特に晩年悪化した白内障により、もともと柔らかい物の輪郭が晩年さらに深まった、との論考もあるようです。昨年白内障手術を経験した者からすると、あの時代にこの手術があればもっと傑作が見られたかもしれない、と残念に思われたりします。

 

尚、タイトルと同名のエンディング曲は、勿論歌はお得意の主演パク・ヒョンシクによるものです。