イメージ 1

 

「ガールフレンズ」からもう一本、ハン・チェヨンつながりで、韓国映画として見たことを酷く後悔した一本、「インフルエンス」。

ご覧になってなくって楽しみにされている方、ご覧になって良かった思われる方は、ここから先、読まれないことを、強く、お勧めいたします。

1907年、ハーグ密使事件で揺れる漢城(ソウル)。伊藤博文統監の演説中、大韓帝国皇帝高宗の甥イ・ソルは退屈げに聞いているが、群衆の中を美しい女性Wが通り掛かり、彼にDJC(The Diamond Jubilee Club)への招待状を渡す。イ・ソルは、DJCを訪れ、謎の異空間ジュビリーに触れ、自分の未来を見てしまう。伊藤博文統監は、ハーグ密使事件の報復として、高宗に皇太子の生命を要求する。イ・ソルは、皇太子の付き添いとして旅行に出かけるが、その車を日本軍が追ってくる。イ・ソルは自分の使命を悟り、皇太子を逃がすと、皇族の礼服に身を包み、日本軍の銃弾に倒れ、さらに、Wは、イ・ソルと運命を共にすべく、ジュビリーに身を投じる。2010年末、汚職容疑のかかるデジン・グループのイ会長がチャリティ・マラソン大会に参加したニュースを、アンカー、キム・ウギョンが好意的に報道している。仲間内からは、大統領広報官へ取り立てられるとの噂もあり、かつての正義感を失ったと失望の声が聞こえる。そんな彼に、DJCへの招待状が届く…

皇族イ・ソル、W、悪のWの三役に、今や世界スターのイ・ビョンホン、謎の美女Jに、妖艶なハン・チェヨン、EP1では、コジョン(高宗)に、恐らくキム・ギドク作品で世界に知られるチョ・ジェヒョン、EP2では、ニュース・アンカーのキム・ウギョンに、『最強チル』くらいでしか知らないチョン・ノミン、スタジオADに、名脇役チョン・ソギョン、悪徳イ会長に、お馴染みのチェ・ジョンウ、病院の研修医に、EP3の主演キム・テウの弟キム・テフン、EP3では、借金まみれのオークション運営者チェ・ドンフンに、恐らくホン・サンス作品で世界に知られるキム・テウ、その父チェ画伯に、渋い脇役チョ・ヨンジン。

Johnnie Walker、J&B、Guinnessなど錚々たるブランドを傘下に持つ世界的飲料ブランドDiageo社が、韓国でWindsorブランドを広めるために打ったブランディング・キャンペーンの一環として作られた映像だと思われ、露骨に商品名が登場します。物語は、ハーグ密使事件の報復として伊藤博文が高宗に息子の命を差し出すように命じる所から始まります。驚いて、関連する情報を捜しましたが、ハーグ密使事件に絡んだ皇太子や皇族への暗殺・暗殺未遂事件の情報は見つかりません。韓国で売れさえすればいいと作られたコマーシャル・フィルムなので、隣国の年老いた元首相など適当に悪役にすればいい、と思って作ったということでしょうか。出だしから観る気が失せます。ストーリーは、100年以上に渡り祖国の善なるものを守り続ける闇の存在、という在り来りのものですし、演出も、富川ファンタスティックスタジオで撮ったクラシック・カーと騎馬兵のチェースが印象に残るくらいで、取り立てて目新しさはありません。役者も、イ・ビョンホンやキム・テウがそれなりの演技を見せてはいますが、イメージ・ビデオの域を出ているとは思えないでしょう。もっと云えば、一部劇場公開したとは云え、ネット公開したコマーシャル・フィルムに字幕をつけただけで4980円で売るという日本の商業姿勢にも、はなはだ鬱陶しいものを感じます。

こういうのを見ると、「~つながり」などで手当たり次第に観る、というやり方はつくづく考え直したくなります。そもそも、映画という範疇に入れたこと自体が、間違っていたんでしょう。レンタル代を出して見たことを激しく後悔する作品です。

ちなみに、韓国における企業とエンターテインメントのコラボについて否定している訳ではなく、むしろ、高く評価している方です。Brown Eyed GirlsとNIVEA、2NE1とYAMAHA、少女時代/f(x)とLG、ガールズグループ横断ユニット4TomorrowとSAMSUNG、とか、出来上がった映像や音楽作品は、十分評価に足る高い完成度を見せていますし、企業側のちゃんとしたエンターテインメントに仕上げようという姿勢にも、高い好感度を持っています。今回は、出来が悪かった、ということなんでしょう。