「出国」に戻って名優イ・ボムスつながりで…西暦2000年を間近に控えた1999年を舞台に、4人の高校生の明るく、そして切ない青春を描いて佳編…「20世紀のキミ」

 

現在、全州(チョンジュ:韓国中西部)の雪の早朝。大規模開発により移住が決まった地域の一角にある元貸ビデオ屋の”移住支援センター”。店主であるポラの父親が店の前を掃いていると郵便配達人が通りかかり分厚い封筒を手渡す。差出人はニュージーランドの”Joseph”で、開けてみると、イ・ジョンジェ、イ・ミスク主演「情事」のVHSビデオと、メディアアート展覧会「視線」への招待状だ。スタジオでは、CMナレーションの収録を終えたポラに父親から電話が入る。”外人の恋人が出来たのか?”とお怒りだ。父親が送った写メには「情事」のVHSが写っており、拡大すると”ポラ(レンタル)ビデオ”のシールが貼ってある。ポラは一瞬にして1999年の青春の日々に舞い戻る…早春、中学3年生ポラは、アメリカでの心臓手術を控える親友ヨンドゥが渡米を止めると聞き驚く。聞くと、家が営む洋服店に高校制服を作りにきた青年”ペク・ヒョンジン”に一目惚れしたというのだ。ポラはどうせ同じ高校に進学するので、ヨンドゥが渡米中に彼”ペク・ヒョンジン”の全てを調べてあげる、と請け合い、ヨンドゥをアメリカに送り出す。そして入学式当日から早速”ペク・ヒョンジン”のことを調べ始めるのだが…

 

女子高生ナ・ボラに、知る限り7歳で『宮』ユン・ウネの少女時代を演じてから16年もはや美人女優キム・ユジョン、ヒョンジンの親友高校生プン・ウノに、映画は殆どデビューの長身二枚目ピョン・ウソク、ポラの監視対象ペク・ヒョンジンに、TVドラマでは出演が続くと聞くパク・ジョンウ、心臓疾患を抱えるポラの親友ヨンドゥに、やはり映画デビューのノ・ユンソ、レンタルビデオ屋「ポラ・ビデオ」を営むポラの父親に、「タクシー運転手」などで好演チョン・ソギョン、ポラの母親に、「毒戦」美形キム・ソンリョンの実妹でアナウンサー出身キム・ソンギョン。クレジットは登場順で特に特別出演として区分けされてはいませんが、別格では、大人のナ・ボラに、驚くほど美しいあのハン・ヒョジュ、学年主任(ハクチュ)に、名優イ・ボムス、保健教師に、最近では主演作もあるパク・へジュン、電話の声だけの出演ですがプン・ウノの父親に、あのドル箱スターのリュ・スンニョン。

 

韓国ドラマお得意の四角関係胸キュン・ラブストーリーと呼べるでしょう。親友のためにイケメンを調べている内に彼の親友との距離が縮まっていくが…ってな話で、ストーリー自体に特段の感想を残すものはありません。しかし、これも最近のドラマでは人気と聞きますが、1999年というノスタルジックな時代背景が物語を鮮やかに彩る所がまず見どころでしょう。映画は”「情事」と「アルマゲドン」”、女優は”シム・ウナ”、グループは”イ・ヒョリを有する<Fin.K.L.>かユジンを擁する<S.E.S>”、曲は”トイ(토이)ことキム・ヨヌ(김연우)「嘘のような時間(거짓말 같은 시간)”、通信手段は公衆電話とポケベル、食べ物はポン菓子、飲み物は”クルムル(蜂蜜飲料)”…といったノスタルジーあふれる小道具が冴えわたっています。もう一つは、やはりキム・ユジョンの魅力でしょう。7歳から見ているのでもはや娘を見守る父親の気分という感じで、彼女のためのイメージ・ビデオといった絵作りが楽しめるという仕掛けです。また、あのハン・ヒョジュが圧倒的に美しく、イ・ボムスが圧倒的に田舎くさい、そんな所も、ある年齢層のファンには歓迎されるでしょう。

 

とはいうものの、映画としての評価はまた別と言わざるを得ません。良く出来てはいますが、度々既視感に襲われ映画としての驚きに乏しいのはやはり寂しいところです。キム・ユジョンと二人のイケメン、ハン・ヒョジュとイ・ボムスのコアなファン、限定のお勧めといったところでしょうか。

 

楽曲について。高校の放送室から流すのは、パク・ギヨン(박기영)1999年「始まり(시작)」、終盤ウノがビデオの中で弾き語るのは、チョ・ソンモ(조성모)1998年「To Heaven」。ちなみに「To Heaven」のMVですが、イ・ビョンホン、キム・ハヌル、ホ・ジュノらが出演、映画並みの出来栄えで、一見の価値ありです。