チョ・ジヌンつながりで、3作連続リメイクですが、2018年集客数6位5,063,620人を集めたクライム・サスペンスの秀作…「毒戦 BELIEVER」
 

どこまでも続く雪原の道。チョ・ウォノの運転する車が走っていく…ハンバーガー屋。チョ・ウォノ刑事の前に派手な女子高生が座る。薬漬け彼女の元に「イ先生が仕事くれる」との話が来たのだ。イ先生とは、ウォノが必死で追っている麻薬組織のトップだ。ウォノは話を聞くだけで良い、と携帯を持たせ待ち合わせのヨンサン(龍山)駅に向かわせる。駅のモニターはイウ海運のイ会長が心臓麻痺で亡くなったと伝えている。様子を見に行ったチョ刑事は駐車場で瀕死の彼女を見つけるが、病院で彼女は∞マークを残し息を引き取る。郊外の工場前に一台の高級車が止まり、派手な女が降り立ち工場に向かうと、工場が大爆発を起こす。軽傷ですんだ彼女はその足で警察へチョ刑事の保護を求めに行く。彼女はオ・ヨノク、イ先生率いる麻薬組織の幹部だ。しかし、警察の捜査に協力すると言う彼女だが、出前の食事を食べ絶命してしまう。一方、爆発した工場を捜査中の警察は、軽傷の青年と重症の犬を見つける。青年は麻薬組織のヨンナクと名乗り、爆発で母親を亡くし警察に協力すると言う。犬はヨンナクの犬でシェパードなのに名前を「チンドケ(珍島犬)」というらしい。こうして、チョ刑事とヨンナクの危険な捜査が始まる…
 

麻薬班チーム長チョ・ウォノ刑事に、チョ・ジヌン、麻薬組織のヨンナクに、若手きっての実力派リュ・ジュニョル、狂気の中国麻薬バイヤー、ハリムに、公開を待たずして交通事故で早世したキム・ジュヒョク、すぐに殺されちゃう中間幹部オ・ヨノクに、アラフィフ美形キム・ソンリョン、チョ刑事の右腕チョンイル刑事に、二枚目脇役ソ・ヒョヌ、紅一点ソヨン刑事に、アクションも見せるキュートなカン・スンヒョン、これまた狂気のハリムの妻ポリョンに、「夜叉」で名演のチン・ソヨン、腕の立つ聾唖の麻薬精製技術者兄妹に、兄に、子役出身「第8の夜」で名演キム・ドンヨン、妹に、印象に残る個性派脇役イ・ジュヨン(「春の夢」「なまず」などの売れっ子とは別人です)。特別出演では、これまた狂気の麻薬組織ブライアン理事に、硬軟自在の名優チャ・スンウォン。
 

これもリメイクで、2013年ジョニー・トー監督「毒戰」がオリジナルです。さすがに脚本が冴えていて、よくある潜入ものをヒネリ、お互い顔を知らない悪党ABに、AにはBのふり、BにはAのふりをして近づくという危険な捜査が独特の緊張感を生み出します。余談ですが、チョ・ジヌンの形態模写が見れて感心できたりもします。さらに、悪党たちが狂気の派手キャラである一方で、追う側リュ・ジュニョルの殆ど無表情な沈着キャラが不思議な雰囲気をもたらし好感です。それにしても、悪党たちのキャラは魅力的で、故キム・ジュヒョクとチャ・スンウォンの狂った演技も良いですが、個人的には、オリジナルから引き継ぐ聾唖兄妹を演じるキム・ドンヨンとイ・ジュヨンが独特の美学を見せて印象的です。
 

それでも、韓国映画っぽい残酷シーンがないではありませんし、好き嫌いは分かれるでしょう。クライム・サスペンスがお好きなら、試してみる価値はあると思います。
 

ここまで、監督・俳優つながりで次の作品を決めてましたが、しばらくは、休止していた5年間の年間集客数トップ10の未見作品を観ていこうと思います。時には特殊な反日映画がランクインすることもありますが、個人的には、韓国人映画観客の審美眼には一目置いているためです。基にするのは、KOFIC(韓国映画振興委員会)のKOBIS(KOREA Box-office Information System)統計です。