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もう一本イ・ジェヨン監督から、デビュー作、「情事」。

人妻と妹の許嫁の禁断の情事。普段なら絶対見ない類ですが、監督も役者も超一流なので・・・う~ん、でも、やっぱりかなり微妙です。

40歳を目前にした普通の主婦に、イ・ミスク、兄の死により自分の夢を捨て父親の会社に勤めるシニカルな青年に、イ・ジョンジェ、イ・ミスクの社会的には成功している建築家の夫に、「Nowhere」釜山四十階段でアン・ソンギに殺されるソン・ヨンチャン、イ・ジョンジェの許嫁に、「アクシデンタル・スパイ」ジャッキー・チェン相手の準主役英語堪能キム・ミン。イ・ミスクの息子には、『秋の童話』『ガラスの靴』達者な子役チェ・ウヒョクの顔も見えます。

後に「純愛譜」「多細胞少女」というリスクのかたまり癖球を投げるイ・ジェヨン監督なので、目をこらして見ましたが、銀幕初監督作品のせいか、全くと云っていい程、冒険していません。時折、フェード・アウトするカットを短くつなぐ特徴ある絵は見せてはくれるものの、ここまで手堅いと、かなり拍子抜けです。逆に期待していなかった分、イ・ミスクの演技に驚愕しました。あまりに普通の主婦が、だんだん若い男に惹かれ、そして情事に溺れていく様は、背筋がチリチリしてくるような感じです。一方のイ・ジョンジェも、もともと抑揚の少ない役柄なのでそれほど印象には残らないものの、イ・ミスクが溺れていく対象としての魅力は十二分に具体的に見せてくれます。

ただやはりこの手の映画のシナリオは苦手です。後半やたら「愛」という言葉が出てきますが、どう見ても溺れているのは「情欲」じゃない?って感じるのは、根が品性に欠けるからでしょうか・・・