イメージ 1

 

夏至も過ぎ、季節はホラー、特に美少女ホラーが良いでしょう。最近久しぶりにハマっている韓国ドラマが『ライアー・ゲーム』で、次週が待ちきれない思いで観てますが、実に面白い(恥ずかしながら、日本の漫画・ドラマのリメイクだと最近知りました)。そして、そのヒロインを演じているのが絶世の美少女(と云っても20代半ばですが…)キム・ソウン、今日の映画のヒロインです…「少女怪談」。

ソウル、地下鉄。高校生インスは、電話でアメリカにいる母と話している。アメリカにいた時よりも良くなっている、心配するな、と母に伝える。電話が終わると、インスが手に持ったペンダントの内輪が回り始め、そして、車内に女の幽霊が現れる。インスには幽霊が見えるのだ。そこへ同級生の男子学生たちがインスに絡んでくる。”幽霊が見える男”
だと囃し立てる。インスは、噂は嘘だと否定するが、彼には女の幽霊が見えている。独り暮らしのアパートに辿り着いても、手に持ったペンダントで幽霊の気配を探る。しかし、気づくと女の幽霊がインスの肩にまたがり”怨念を晴らしてくれ”とインスを覗き込む。刑事たちが荒地に埋められた女の遺体を発見するが、通報したインスはパトカーの中で震えている。インスの故郷では叔父ソニルの携帯が鳴り、インスが、一緒に住んで欲しい、と頼む。インスの前では、子供の幽霊がインスを見つめている。インスは叔父に、アヨンのことを尋ねる。小学生の時、その子に悲惨な事件があったのだ。インスは、叔父の住む田舎に向う。バス停で美しい少女を見かけるが、インスは目をそらす。叔父の家は古く大きいが、至る所に呪文が貼られている。叔父ソニルもまた幽霊が見えるのだ。インスは効果があるか聞くが、ソニルはプラセボ(偽薬)効果程度だと言う。インスはサンウォル高等学校に編入し、女番長ヒョンジが近づいてくる。英語の授業中、インスは、教室の窓ガラスに血まみれの掌紋を見てしまう。インスはその話を叔父にするが、叔父は無視しろ、の一点張りだ。田舎道、インスは盲導犬を連れた美しい女性を見かけ、スケッチを始める。そこへ、バス停で見かけた美少女が”「上手ね」と近づいてくる。彼女は幽霊なのだ。「貴君には犬が見えるのね?」と美少女幽霊は笑う。その盲導犬は幽霊なのだ。そこへ、クラスの不良ヘチョルが近づき、ヨルソン小学校のアヨンのことでインスを責めたてる。ヨルソンも、インス、アヨンの幼馴染みなのだ。そんな時、ヒョンジの悪仲間ソンヒの愛犬”チョロン”が行方不明になり、”チョロン”と書かれた血まみれの首輪がソンヒの所へ送られる。そして、ソンヒが姿を消す。インスが校庭に座っていると、いつのまにか、あの美少女幽霊が隣に座っている。彼女は、この学校の生徒だったか、どころか、自分の名前すら思い出せないという。その時、突然、美少女幽霊は邪悪な気配を感じ、”マスク幽霊だ”と言って消える。その頃、ソンヒはとある場所に監禁されている。インスの周りに、邪悪なものがどんどん近づいているのだ…

幽霊が見える青年インスに、この後「セシボン」「二十歳」などどんどん登り調子の二枚目カン・ハヌル、謎の美少女幽霊に、「フライ・ダディ」イ・ムンシク「優雅な世界」ソン・ガンホ娘役の頃と比べると圧倒的に美しくなったキム・ソウン、インスのやはり幽霊が見える叔父ソニルに、独特の哀愁喜劇役者キム・ジョンテ、美貌の女番長ヒョンジに、キム・テヒを思わせる美貌ハン・ヘリン、乱暴な番長ヘチョルに、コミカルな演技が印象的なパク・トゥシク、ヒョンジの悪仲間ナラとソンヒに、キュートなチュ・ミナと子役出身の正統派美形チュ・ダヨン、セヒの父親に、名脇役パク・チュンソン。

怨霊、猟奇殺人、胸キュン初恋、学園社会派ドラマ、家族・幽霊コメディ…韓国映画お得意のウルトラ・ハイブリット作品です。冷静さを装うならば、どれも中途半端、とするのが相当だと思われますが、これが、ワクワク・ドキドキ観てしまった、というのが実感です。本国でも、この手の作品では珍しく50万人近く集めてたりします。貞子風怨霊シーンの次に『冬ソナ』風デートシーンが続くのには、さすがにこれはなぁ、と辟易しなかったと云えば嘘になりますが、そうすると、次にキム・ジョンテのお間抜けシーンが続く、とかいう破天荒なリズムは、それはそれで、この映画のレゾン・デートルだ、などと妙に感心したりします。とか、妙な屁理屈をこねたとしても、美少女演技陣が本作の本質だというのが正直なところでしょう。とにかく『ライアー・ゲーム』で見て驚いたキム・ソウンの美形ぶりが圧巻です。今回ばかりは、著作権を無視してスクリーショット100枚くらい転載したい程です。加えて、女番長演じるキム・テヒ似のハン・ヘリン、その友達(ダチ)チュ・ダヨン辺りも、映画をぐっと美しく輝かせます。結局生きたままエンディングを迎えられる美少女はいないわけですが、美人薄命を地で行く美少女ホラーの王道だと思われます。カン・ハヌルも好演ですが、個人的には、キム・ジョンテが一押しで、間抜けで臆病な叔父役を実に活き活きと演じていて、映画への貢献度は高いでしょう。

うかうかすると五つ星にしちゃいそうな勢いではありますが、ここは冷静に良く考え、雑な作りも目立つので踏みとどまりますが、夏至に観るにはうってつけハイブリッド美少女ホラーの逸品、と評価したいと思います。やっぱり甘過ぎるでしょうが…

ちなみにエンドロールにかかる、とてもホラー映画の主題歌とは思えないお洒落な楽曲は、人気グループ"MBLAQ (엠블랙)"が歌う"君が去ったその場所 (니가 떠난 그 자리)"です。

余談ですが、監督のオ・インチョンが「十二夜」という12編ホラーオムニバスを撮ったようで、その第一章(最初の4編)「深く赤い夜」が来月DVDリリースされます。大好きな「ホラー・ストーリーズ」シリーズ第三作も公開され、この夏は、ホラー好きには良い夏になるのかもしれません。