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地球外生物を思わせる不思議な魅力のイ・チョンア主演、「同い年の家庭教師 レッスン2」。

小樽のそば屋の娘、在日コリアンの純子は、帰国してしまったイケメン韓国人留学生を追って、ソウルの大学に交換留学生として乗り込む。ところが、下宿屋《ゲストハウス情》が気に食わず、移ろうとするが、下宿屋の親父に、同い年の息子に韓国語を教えさせるからと、引き止められる。ところが、純子と下宿屋の息子は、水と油。この授業は、一体どうなってしまうのだろうか…

主演の純子には、韓国語が苦手な在日コリアンという捻った役で相変わらず不思議な魅力満開「オオカミの誘惑」イ・チョンア、下宿屋の息子に、CMの人気者で映画主演は初めてながらこの後すぐホラー「二人だ」にも主演パク・ギウン、下宿屋の親父に、映画・TVの超ベテラン、イ・ヨンハ、息子に関わる美人熟女に、「猟奇的な彼女」「伝説の故郷」美形ヤン・グムソク、純子の父親に、多少日本語はたどたどしい「優雅な世界」『H.I.T』とかのベテラン、チェ・イルファ、イケメン留学生に、「達磨よ、ソウル行こう」「青い自転車」の正統派イケメン、ヤン・ジヌ。

『冬ソナ』をパロった予告編を見た時は、「ヨン様しか見ず、韓国を見ようとしない」韓流ファンを揶揄する内容かと危惧したんですが、とんでもない、非常に良くできたロマコメです。勿論、日韓の違い・対比はたくさん出てきます。しかしながら、「メクドナルドゥ」と「マクドナルド」といった外来語、「ケゴルケゴル」と「ケロケロ」といった擬音、「醤油工場工場長は~」と「蛙ピョコピョコ~」といった早口言葉、日本人が不得意と云われる「오」と「우」の区別、一つの鍋を各自のスプーンで食べることへの抵抗、とかを巧くストーリーやギャグに仕立て上げていますし、韓国に限っても、流行りの下品な若者言葉を極端に実写化してみたりと、大上段に云えば文化論的な映画になっていて、ある意味大変勉強になります。勿論それだけでなく、犬猿の仲の二人が…って、典型的なロマコメ構造を持ちながら、後半になれば、熱く切ない青春ストーリーとして楽しめたりもしますし、さらに、音楽も洒落てて、モーツァルト「地獄の復讐が我が心に燃え(夜の女王のアリア)」が意外な場面で使われたり、イ・ヨンハの弾き語り、イ・チョンアの飛んでるカラオケ、とかとかまで楽しめる、という大変贅沢な作品になっています。

イ・チョンアの日本人(正確には在日コリアン)ぶりにかなり無理を感じたりしますし、青春ドラマの部分が多少手抜きかな、なんて印象が残る所もあるんですが、日本的に云えば実際同学年のイ・チョンアとパク・ギウンという若く芸達者な俳優の作り出す、ギャグとロマンスとメロが渾然となった世界は、素晴らしい出来ばえと云えるでしょう。貧富から日韓へと大幅にグレードアップし、前作を凌駕した、といっても過言ではないと思います。お薦めです。