新しい植栽空間の創造 ~GOOD PARK~ | 中央園芸のブログ

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(株)中央園芸の庭づくりの様子や、日々の出来事

前回のブログ記事から数か月のご無沙汰でした。

梅雨が明け、暑い日が続きます。

オープンして3か月が経過しました今回のGOODPARK第二弾。

3月のクラウドファンディングでは855,000円を集め、4月上旬に無事にオープンすることができました。クラウドファンディングに協力いただいた方々、ありがとうございました!

 

 

今回のGOODPARKですが、消防署跡地という町有地に、新たにユニットハウスを2基ショップスペースとして利用できるようにしたり、パーゴラテラス、ブランコを設置したりと、以前よりも地域住民との連携を意識した空間づくりがなされています。

しかしながら、それらを包容する豊かな植栽空間は不可欠であり、前回よりもパワーアップした植栽スペースの創出が求められました。

 

GOODPARKは各業界のプロ集団のプロジェクトですので、今回も僕は植栽スペースづくりに集中することができました。またこの機会に、大地の再生の技術を駆使した新しい植栽スペースを創造することにチャレンジしましたので、この模様をご紹介したいと思います。

 

 

今回のような消防署跡地という空き地に植栽をするとき、普通は植え穴を重機で掘削し、残土(RC砕石)を場外へ搬出して赤土や黒土を搬入し客土します。しかし、大量の残土処分と客土の搬入など、それなりに費用がかかります。また、今回のような1年間という暫定的な利用の場合、撤去や復旧の事も考えなければいけません。

 

そんな事情もあり、前回同様、設置や撤去がしやすく復旧も早いメッシュコンテナに木々を植えこむ形の植栽を行いました。

ただし、今回は期間限定と言いながらも2021年4月から翌年3月までの1年間(前回は4か月)という長期間。前回のGOODPARKでも植えこんだ木々の痛みや水やりの問題など、植栽コンテナについては改良の必要性を感じていました。

設置や撤去が簡単でありながら、木々を健康な状態で1年間保つ事ができるか。

そして理想は、自然の健全な森の土のような、命の循環を感じられる「生きた土壌」の中に木々を植え込み、見た目だけではない、森のような息づく空間をつくる、そして水やりの頻度も減らしたい・・・

今回はそんな新しい植栽空間をつくるチャレンジでした。

 

 

 

 

 

前回使用された木製パレットが移設され、まずはエクステリアの設置から工事が始まりました。

我々の植栽工事は、オープン数日前の3月下旬。

ユニック1台の木々と大量の有機資材を搬入し、植栽工事がスタートしました。

植栽コンテナの設置は4か所で、広場の中央部分に大きな植栽スペースを確保します。

 

今回の植栽は中央園芸と佐藤俊さんを中心とした大地の再生 関東甲信越のメンバーと合同で施工しました。

1㎥程度のメッシュコンテナに植栽する様子を詳しく解説します。

 

 

まずはメッシュコンテナを地面に置きますが、コンテナの下は水が停滞しないように、付近のRC砕石(ゼロは除く)を敷き詰め、同時に炭やもみ殻燻炭も混ぜていきます。

 

 

その上には稲わらを敷きます。

わらは1本1本がストロー状になっているので、四隅にもわらを立てて置き、土の中と地表との空気を繋ぐ役割を持たます。

 

次は通気層をつくります。

使用する材料は、割栗石でもよいのですが、弊社にストックしていたコンクリートガラを再利用しました。

 

コンクリートガラにはしっかりと水を含ませて、

 

 

1個1個並べていきます。

 

 

コンクリートガラを自然の地層の中の岩石に見立て、通気性、透水性が良好な岩盤の層をつくります。

また、もみ殻燻炭や落ち葉も入れて同時に保水性も高めていきます。

 

一般的な植栽プランターでも軽石やパーライトなど無機物を使って通気層をつくりますが、経年の泥の侵入により空隙が塞がり、水が停滞し泥詰まりを起こすことがよくあると思います。

 

 

自然の摂理に倣い、コンクリガラの中にも有機資材を組み込み、透水性とともに保水性も高い岩石の地層を人為的につくることで、植物の根の侵入を促していきます。

 

これにより適度な空隙は保たれ、落ち葉やわらの分解とともに菌糸のネットワークが広がり、そこは植物が健全に生育する有機的な土台に変わっていきます。

 

 

 

 

落ち葉の層はしっかりと踏み込むことで、さらに菌糸の張りやすい状況をつくります。

 

落ち葉や枝葉などの有機物はすべて弊社の圃場にストックしたもの。

捨てるものはありません。

 

 

そして枯れ枝を投入。

樹木の重みや土圧により通気層がつぶれる事がないよう重みをできるだけ分散していきます。

 

 

そして、枯れ枝の隙間にはまた落ち葉と燻炭をしっかりと挟み込んでいきます。

 

 

 

 

横から見たところ。

下の通気層から下地づくりが始まり、ようやく半分を過ぎたところ。

有機物が層状になっていきます。

我々はこれを有機物のミルフィーユと呼んでいます。

 

 

同時進行で、GOODPARKの中央部分にも大きな植栽スペースをつくります。

 

四隅に焼き杭を打ち、焼き板で植栽スペースを囲みました。

 

 

 

 

 

こちらは、地面に細い穴をあけて、燻炭を入れわらを差し込み、植栽地と大地とを繋げ、RC砕石の地盤といえども大地に水を浸透させます。細い穴は通称セミ穴と呼んでいます。

 

土の中から地上に穴をあける生き物はセミ以外にも、アリやモグラなど大小たくさんいますが、こうした生き物の習性はすべて大地に空気と水を通し、詰まりがあるところは解消しながら、生き物が生育しやすい環境を育むよう自然のサイクルに組み込まれています。

 

 

 

そして、同様にコンクリートガラを敷き詰め、

 

 

たっぷりのもみ殻燻炭と落ち葉を投入。

 

 

 

 

そして植栽コンテナの方は、ようやく客土になります。

土壌は、弊社で剪定枝をストックした腐葉土。

剪定した枝葉も1年も経てば、微生物の豊富な腐葉土になります。

それに落ち葉や炭を混ぜ込み、客土していきます。

 

 

客土の周りは、乾燥防止と客土がこぼれないように枝葉をしがらみ状に絡ませていきます。

 

隙間には落ち葉や燻炭を入れて炭を敷き安定させ、ようやく木を植える準備が整いました。

 

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよ植栽!

今回も第一弾のGOODPARKと同じく、寄居町中心市街地の街路樹で提案している、「在来樹種を中心とした寄せ植え」の植栽を実際に施工します。

まずは、主木となる寄居町の木、「ヤマザクラ」。高さは5mほど。

 

根鉢を置いたら、焼き杭を打ち込み、固定していきます。

杭を焼くことで、樹木の根が絡みやすくなります。

 

 

ヤマザクラの後は、アカシデ(エゴノキ入り)に常緑樹のソヨゴ、そして中低木である、ミツバツツジ、ウメモドキ、ドウダンツツジ、トサミズキ、アジサイ、アオキなど、、、

合計12種類の樹木を寄せ植えしました。

 

1㎡程度のスペースですが、これだけの木々が植えられました!

 

 

 

 

中央の植栽スペースにも、コナラ、エゴノキ、シラカシ、モミジなど在来樹種の雑木類を寄せ植えします。

 

 

 

 

 

 

 

そして、植栽コンテナは下草も植え込み、最後は燻炭と混ぜ込んだ落ち葉をしっかりと表層に敷き詰めて、完成です!

 

 

 

 

大きな植栽スペースも高木から低木下草まで仕上げを残して大まかに植栽は完成。
1日で3か所の植栽スペースが完成しました。

 

 

ユニットハウスの前の植栽コンテナも同様に植栽をしましたが、

こちらはメッシュの間から地層断面がさらに見えるようにしました。

 

 

 

 

 

 

 

そして、4月3日(土)GOODPARKはオープンしました。

オープニングセレモニーはコロナ禍の影響もありながらも、近隣の住民や子供たちも集まり、GOODPARKの完成を祝いました。

 

 

 

 

オープンから2週間が経過した中央の植栽スペース。

 

たっぷりの落ち葉を「ぎゅっと」敷き詰めた表層から、次々に下草が芽吹いていきます。

まさに森の様相!

 

 

 

青空の下、木々の生育も順調!

巣箱を設置している中央の大きな木はコナラで樹高は7mほど、右手はアカシデとヤマモミジ、左手はエゴノキ、ジューンベリーなど。

落葉樹の木々の間に、シラカシやヒサカキ、アオキなどの常緑樹も植えています。

在来樹種を中心とした、雑木の木立群。

 

低灌木、下草も含めると30種類以上の植物が植えられました!

 

 

ヤマザクラを主木とした植栽コンテナ。

こちらもしっかりと新芽が開き、順調。

 

 

 

 

 

こちらはコナラを主木としたもの。こちらも木々は元気いっぱい!

コナラ、ヤマボウシ、サザンカ(常緑)、ウグイスカグラ、ヒイラギ、ブルーベリー、ヤマブキ、

オタフクナンテン、ボタン、ヤブラン、、、

高木から低灌木、下草まで14種類もの植物が植えられました。

この2つの植栽コンテナは、新しくできる中央通り線の14か所の街路樹のモデルとして、住民や行政に対し提案中であります。

 

 

今回のGOODPARKはエクステリアの商品も休憩スペースやショップスペースとしていくつか設置されました。

こちらはパーゴラポーチの休憩スペース。

 

ここから、GW中に花思草さんに手伝っていただき、がっつり植栽をしました!

 

こちらも同様に、植え穴は掘らずにRC砕石の上に通気層をつくり植栽。

 

 

手前には水鉢を置き、メダカを泳がせ、、

潤いのある景色を!

一応、流木を伝って水が流れる仕組みになっています。

 

 

 

GOODPARK中央付近の植栽スペース、5月2日。

 

新緑の一番美しい季節。こちらも元気いっぱい!!

 

 

 

また、前回も好評だったブランコは進化させて、タイヤブランコとして設置。
今度はお子様2人でも同時に遊べるようにしました。

 

 

 

 

 

 

しかしながら、コロナ禍の影響により町有地であるGOODPARKは自粛要請が!
オープニングイベント以来5月までのイベントはほとんど中止になりました・・・

 

 

でも市街地にこうした広場ができたことで、近隣の子供たちの遊び場になっていったり、街中の緑の空間として、イベントはなくとも人の出入りがあるようになっていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

6月に入ると、徐々にイベントも再開。

 

 

6月5日は、市街地の住民を中心とした、朝顔「団十郎を楽しむ会」による、鉢植え教室を開催!

 

 

 

午前、午後の部と20名の定員は満員でした。

 

 

 

 

 

 

7月3日は、こども食堂

 

 

 

 

 

そして、7月5日から11日までは、地元の保育園児60人による七夕飾り!

そしてGOODPARKのメンバーがライトアップを設置してくれました。

 

 

 

 

中央の植栽スペースも昼間とは違い、幻想的な雰囲気!

 

 


 

 

 

7月中旬になり、LFCコンポストを使った寄せ植えづくりワークショップや、

(下の写真は木箱でつくったサンプル)

 

秩父麦酒のビヤガーデンなど・・・

夏休みに向けて様々なイベントが予定されていましたが、コロナ禍の影響でまたもやGOODPARKは当面の間使用停止の指示がおりました・・・

 

この空き地空間が町有地ということで、度重なる行政の通達、残念です。

 

 

 

 

 

 

 

 

梅雨が明けた7月16日(金)。

 

植栽の点検に訪れました。

 

 

 

相変わらず、息づいている植栽スペース。もちろん無農薬、無肥料です(写真は色の修正などしていません)

低木下草も良い緑色をしています。

雑草が伸びていますが、これを抜かずに生かします。

 

草が風で揺れるあたりをのこぎり鎌で切り(叩き)、緑の濃いところは風を通すという、風の草刈りをしながら雑草と下草を共存させます。

 

草を選択的に抜くのは良いと思いますが、全て抜くことはしないで地表面をできるだけ植物で覆います。

これから迎える40度近い酷暑を乗り切るには、地表面の乾燥や暑さを防いでくれる雑草を生かすことがとても重要になります!

 

 

 

コナラを主木とした、植栽コンテナ。

高木だけでなく、下草の生育も順調です。

 

 

 

 

 

 

地層断面もしっかりと草が生えました。よく見るとムクノキの実生も芽吹いていました!

 

 

 

 

 

ヤブガラシも無理に抜かずに生やしておき、

そして夏を迎えます。

 

今のところ生育は順調ですが、真夏を乗り越えるのが樹木にとっては大きなハードルとなります。

表層に敷き詰めた落ち葉のおかげで、水やりもほとんどやらずにここまで来ました。

樹木の病虫害や害虫の発生もありません。

 

健全な植物の生育は、単に「良い土」を入れればいいわけではありませんし、水をたくさんやればいいわけでもありません。

 

土の中でしっかりと空気と水が停滞することなく動き、地表面は雨が降っても泥水を出さずにゆっくりと浸透していく事。

そして、有機物を適所に使用する事で、樹木の根が微生物や菌糸のネットワークと連携し、土の中でも微生物の生と死など、命が循環し、「生きた土壌」になっていきます。

 

今回の植栽が順調に生育していけば、コンクリートの上や舗装の上でも人工土壌を使わずともどこでも植栽ができるということ。

 

そして、有機物、リサイクル資材などの一般的には廃材と呼ばれる資材も活用できる。

 

新しい植栽空間の創造、GOOD PARKは見学は自由ですので、是非一度ご覧ください!

 

場所は寄居町市街地にある喫茶店の洗濯船や武町会館の南側になります。

GOODPARKの道路を挟んだ南側の駐車場は、道路際から4台分は駐車可能となります。

〒369-1203 埼玉県大里郡寄居町寄居983−2 - Google マップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、寄居町で真夏のイベントのお知らせです。

 

度々メディアでも取り上げられてきた、幻の朝顔「団十郎」の朝顔市が7月24日(土)に開催します。

手作りの竹でつくられた行灯の鉢植えは100鉢限定となります。

 

セブンイレブン駅南店の北側付近で開催しています。時間は8時から。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、同日に町内で、朝顔市に合わせ、回遊縁日というイベントが開催予定!

 

 

でしたが、、、

こちらもコロナの影響で延期となりました、、、

 

 

 

 

でも、朝顔市を盛り上げよう!街を盛り上げよう!

という有志の間で、規模は縮小しますが別の場所を借りて開催することになりました!

その名も「ヤドカリ縁日」。

 

飲食のモトソバヤさん(キッチンカー)と、中央園芸が出店します。

時間は10時~15時くらい。

 

場所は、

寄居町寄居907 埼玉県信用金庫の駐車場の向いの駐車スペースになります。

坂本陶器店 - Google マップ  の西側になります。

 

こちらも同時開催の浴衣レンタル。

浴衣を着て、寄居の街を散策しよう!

 

 

 

 

中央園芸としても、久しぶりのワークショップの開催となります。

シュロの葉でつくる、シュロバッタづくりワークショップ(300円)。

スタッフがフォローしながらつくりますので、お子様でも大丈夫です。

 

 

 

 

 

 

 

それから、僕の方は、ミニ盆栽づくり(1500円)を行います。

 

今回予定しているのは、コナラ、モミジ、ヤマコウバシ、アオダモほか、、、(写真は梅雨時期のもの)

弊社のミニ盆栽づくりはただの盆栽づくりではありません!

 

今回のGOODPARKでの植栽コンテナと同じように、鉢底には通気層をつくり、腐葉土を入れしっかりと空気と水が循環するような仕組みで制作します。

 

 

希望があれば、寄せ植えやります!

寄せ植えは、いわゆるGOODPARKでつくった街路樹のモデルのミニチュア版になります。

 

マクロもミクロも相似形。大きなものも小さなものも仕組みは一緒です。

 

盆栽づくりは、僕が担当しますので、是非遊びに来てください!予約も不要です。

 

 

 

 

 

 

今回のワークショップ会場の駐車場です。

当日は酷暑が予想されますが、できる限り会場の涼しい空間づくりをしようと計画中です。

GOODPARKからの我々の進化は、どこでも緑あふれる広場をつくることに特化していきます。

 

それは真夏のアスファルト舗装の上でも、どうすれば涼しい空間をつくることができるか?

 

 

当日の即興での制作ですが、地元の関谷造園さんや清水園芸さんとも協力し、

真夏の小さなGOODPARKをつくっていきますので、こうご期待!

24日(土)は是非寄居町へ!  

ご不明な点は info@chuou-engei.co.jp か090-1050-6321(押田)まで。