"立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花" は日本女性を表現した言葉ですが、古来から日本女性に最も愛された色は、藤の花の色=藤色です。
清少納言は『枕草子』の中で「めでたきもの」の典型として、
「色あひ深く 花房ながく咲きたる藤の花の 松にかかりたる」
を挙げ、「艶かしきもの」は、
「むらさきの紙を包み文にて 房ながき藤につけたる」としています。
花札にも「藤に不如帰(ホトトギス)」があしらわれていますし、明治以降の小説や美術にも藤色をまとったヒロインが度々登場します。
現在放映中のNHK大河ドラマ・光源氏のモデルとされる嵯峨天皇の皇子・源融(みなもとの とおる)の宇治の山荘は藤原道長に引き継がれ、その息子の頼通が菩提寺としたのが平等院。
宇治の平等院の藤は「砂ずりの藤」と呼ばれ、地面につきそうな見事な....
....って、
私が京都を持ち上げるわけがないので(笑)
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コレ、何だと思いますか?
奈良の春日大社の社紋「下り藤」です。
そう、私にとって藤の花は、悪いが宇治の平等院なんぞではなくて、春日大社。
奈良の春日大社にも「砂ずりの藤」があります。
ところで、
「藤」と言えば?
"藤" 圭子ですね。
宇多田ヒカルのお母さん。
人形のような整った顔からは想像できないドスの効いた声で歌う楽曲は、「艶歌」とも「怨歌」とも言われました。
代表曲は、「圭子の夢は夜ひらく」(1970年)
♪ 赤く咲くのは けしの花
♪ 白く咲くのは 百合の花
♪ どう咲きゃいいのさ この私
♪ 夢は夜ひらく
♪ 十五 十六 十七と
♪ 私の人生 暗かった
♪ 過去はどんなに暗くとも
♪ 夢は夜ひらく
元々この曲、「夢は夜ひらく」のタイトルですでに世に出ていました。
ポリドールレコードの園まりバージョン、クラウンレコードの緑川アコバージョン、あの梅宮辰夫兄ぃもクラウンレコードから「夢は夜ひらく」を発売しています。
全て歌詞が微妙に違うのです。
園まりバージョンは、別れた男を未練がましく思い出す、まぁ、ありきたりと言えばありきたり。
藤圭子バージョンが発売されたのはこういった先行組から約3年遅れ。
作詞は藤圭子の育ての親・石坂まさをが手掛けており、タイトルにあえて「圭子の」と付けたのは先行と明確に区別する為だそうです。
確かに、
世界観が全然違います....
出口のない暗〜い曲は同じ時期にいくつかありまして、北原ミレイの「ざんげの値打ちもない」も1970年。
"女囚さそり" こと梶芽衣子の「恨み節」が1972年です。