タイトルはケルトの土着宗教で生け贄の儀式に使われた木製の檻の事。
巨大な人間の形をしたその檻に、生け贄となる動物や人間を入れ、生きたまま火をつけて燃やしたそうです。
人身御供というヤツですね。
もちろん現代では生け贄なんて野蛮な風習は過去の遺物。
....のはず?
という映画。
『ウィッカーマン』(1973年 / イギリス映画)
監督:ロビン・ハーディ
脚本:アンソニー・シェイファー
出演:エドワード・ウッドワード、ダイアン・シレント、クリストファー・リー
スコットランドのウッドワード警部は、少女が行方不明になったという匿名の通報を受けてサマーアイルという島に向かいます。
この島は、地主であるクリストファー・リーの私有地であり、島民は彼が経営する農園で働いていました。
と言っても、リーは特にエラそーにしているわけでもなく、いつもニコニコしている穏やかな紳士。
島入りしたウッドワードは早速聞き込みを開始しますが、島民は皆、そんな女の子は知らないと言い、母親までが子供はいないと断言....
小学校の名簿には名前があるのに、学校は「うちにそんな生徒はいません」
まるで吉本新喜劇の「ここだけは絶対に探したらアカン!」みたいな見え見えのウソです。
ヨソ者を排除する空気プンプン。島民からの見えない圧を感じながら捜査を続けるウッドワードは、島の異様な風習に次々に遭遇します。
酒場では島民たちが卑猥な歌を歌いながら大騒ぎしており、外では暗闇に紛れてあちこちで男女がまぐわっています。
全裸で墓石に馬乗りになって泣く女がいたり。
アタマおかしくなりそうだ.... と、島で一軒しかない宿に戻ると、宿の娘が全裸で腰をグイングイン振りながら「ヘーイ♪」と誘って来ます。
敬虔なクリスチャンであるウッドワードは、なんたる堕落!と憤慨しますが、小学校で先生が「樹は何の象徴でしょうか?」と問いかけると、女子生徒が全員、声を揃えて「チ●コでーす!」と答えるのを見るに至って、これはとんでもないところに来た、早く帰ろうと決心。
しかしここは島です。
本土に帰る手段は限られていて、簡単には脱出できない......
やがて彼は、行方不明になった少女はこの島のトンデモ宗教の生け贄にされる為にさらわれたのでは?との疑念を抱きます。
そして、
ウッドワードは島民に紛れて儀式に参加、少女を見つけるんです。
やはりこの子は島民にさらわれていた!
ところが、
この後が衝撃の展開。
(ネタバレは書きません)
これは?
ミステリーなのかホラーなのか、それともポルノなのか??
こんな変ちくりんな映画を撮ってしまってケルトの神の怒りに触れたのか、この映画は完成後に監督の意図とは違う編集をされ、さらにオリジナルフイルムがなぜか手違いで(?)建設中の高速道路の土中に埋められてしまう災難に見舞われます。
残ったフイルムでいくつかのバージョンが作られ、DVD化されているのは、かなりツギハギの劇場公開バージョン。
2007年にニコラス・ケイジ主演でリメイクされました。