正答率を踏まえた過去問指導 | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

今回は過去問の正答率の話。

 

●大手の模試では、正答率を公表

大手の塾やテスト会社では、正答率を公表することが多いです。

首都圏模試、四谷週例テストを初めとして、大規模なテストでは、小問ごとに正答率を公表して、復習をしやすくしています。

すると、偏差値43の受験生なら、

「正答率70%の問題は、頑張れば解けそう。丁寧に復習!」

「正答率20%の問題は、時間かけても無理そう。捨てよう」

・・・このように判断して、限られた時間の中で無理なく復習をすることができます。

 

 

●過去問の正答率は、原則非公表

ところが、過去問の場合は、正答率が基本的に公表されていません。

受験者平均点くらいは発表しても、大問2の(1)の正答率が何%かまでは、ほぼ発表されていません。

中学入試問題だと、500人、1000人と大勢が受験する学校なら、正答率を出すのは可能だと思います。

(実際は、入試問題を改善するため、公表しないものの正答率を出す学校が多いようです)

なかには芝浦工大柏中のように、ホームページで正答率を発表している学校もありますが、例外的です。

↓芝浦工大柏中の2023年1月入試の正答率

正答率が非公表ですと「正答率が低いから、できなくても仕方ない」と正確に判断するのは難しいです。

入試当日に算数で65点取れる受験生は、9月には半分の35点くらいしか取れないものですから、合格が有望な生徒でも、この時期の受験生と保護者は非常に不安になります。

 

 

●算数では、時間配分が大切

特に算数のテストでは、どこに時間を使うかが重要です。

普段の塾の宿題なら、「難しそうな問題だから、ほとんど読まずにあきらめる」姿勢では、叱られる可能性大です。

力をつける日常の授業なら、「捨てるな」「頑張れ」と檄を飛ばされます。

でも、特に算数では、限られた時間内に点数を取る必要がありますから、一部の問題を捨てるのが必須です。

 

過去問が本格化する6年秋からの指導では、実力そのものを高めるのに加えて、(仮に学力が上がらなくても)得点力を上げる必要があります。

そのためには、どこに時間をかけて得点をアップさせるかという戦術の指導が、必要になります。

 

 

●指導者が、難易度をつける

受験生と保護者は、どの問題を捨てて良いかを決めるための難易度が、あまりよく分からないと思います。

そこで、私はプロ家庭教師・塾講師として、今までも難易度をつけたことがあります。

たとえば、東洋英和女学院の過去問の難易度をつけたことがあります。

2回とも、ほぼ後ろに進むほど難しくなります。

前から順に解くのでも、大きな支障はないでしょう。

 

基本的な問題はキッチリ解けるけど、長くて複雑な問題になると一気に解けなくなる傾向の生徒がいました。

そして、戦術は固まりました。

『易しい問題をキッチリ解いて、難問は捨てる』

たとえば易しめのAA・A・Bの11問(配点約50点)では、1問ミスで45点取る。

時間をかけて丁寧に取り組んで、1問ミスで乗り切るのです。

正解するには頑張りが必要なC問題(配点30~40点)には、あまり時間が取れませんが、ここで10点取れば合計55点になります。

55点では合格は困難ですが、苦手教科の算数で55点取れれば、他の教科で十分挽回できる範囲になります。

特に、腕力が弱いタイプの生徒、つまり定番の問題は努力を重ねてミスしないが、「その場で考える問題」「力づくで当てはめる問題」に弱い女子には、難易度を活用した戦術の指示が望まれます。

 

 

●先に難易度を知らせる時も

自信を無くし気味の際は、先に難易度一覧を渡したうえで、解いてもらうことも考えられます。

どの問題なら易しくて十分点が取れる、どの問題は難しくて捨てるしかない、と把握できていれば、時間配分が楽になるだけでなく、気分的にも楽になります。

35点しか取れないとテンション下がっていた状態なのに、55点くらい取れる可能性大になります。

野球でも外角高めにスライダーが来ると分かれば打ちやすくなるのに似ています。

 

 

●難易度表の作成、欠点と応用

私は難易度をAA・A・B・C・Dの5段階に分けました。

【欠点1】手間がかかる

大きな欠点は、難易度表の作成には、かなり時間と手間がかかります。

受験生の全受験校に対して作成するのは困難です。

【欠点2】生徒のタイプによって微妙に異なる

場合の数で力ずくで数える問題は、腕力のある男子には簡単でも、コツコツ頑張る女子には大変です。

同じ問題でも、人によってはBでも、別の人にはDになってしまいます。

【応用】中小規模塾のテスト

大手塾でない中小塾のテストでは、あまり正答率は発表されません。

そのような塾で、成績が高くない生徒でしたら、頑張っても手が出ない問題は、捨てる必要があります。

今まで2軒、このようなテストの難易度を出して、復習しやすくしたことがあります。

 

 

 

今までの記事を4つご紹介します

私は中学受験の算数と理科のリモート指導をしています↓

 

中学受験生の文化祭見学↓

 

過去問の解き方↓

 

テストの正答率の話↓