9月に入り、中学入試では過去問を解き始める時期になりました。
過去問の扱い方は、塾によって、先生によって激しく異なります。
開始時期ひとつとっても「過去問を解くのは11月は早い、12月からでも十分」とか「6年の4月頃から解かせる」という先生もいます。
成績や併願パターンなどによって、事情は異なります。
一概に「こう解くべき」と言い切るのは難しいのですが、
「こんな過去問の利用の仕方はダメ」という点をまとめました。
↑解答用紙や配点なども詳しい声の教育社の過去問。
【1】制限時間より短く終わる
30分の理科のテストを、ざっと見直しして25分で終えるのは不適切です。
制限時間ギリギリまで見直ししましょう。
過去問で、点数が取れなかったら反省材料になります。
最後まで粘らずに「あっ、うっかりしてた。見直ししたら気づいたハズ」で済ませるのは論外です。
また、40分の算数なら、途中でテストを中断してはいけません。夕食時間で中断するような時間帯は避けるべきです。
【2】1問だけバラで解く
過去問の冊子が机にあると、どうしても見たくなってしまいます。
パラパラめくると、算数の大問2に角度を出す問題がありました。面白そうだから解きたくなりますが、ダメです。
部分的に解くのは不適切です。
時間を測って過去問を解くのに、一部を既に解いたら、緊張感もないですし正確な点数になりません。
ビニール袋に入れて、普段はお守り代わりにするのもアリです。
【3】問題用紙に書き込まない
入試当日は、どの教科も問題に書き込みをします。
社会の4択問題だと、明らかに違う選択肢に×をつけ、選んだ記号を〇で囲むでしょう。
算数なら、問題の近くに筆算しますし、線分図を書き込みます。
ところが、「声の教育社」の過去問を使う場合、特に算数で余白のスペースが小さいのです。
《声の教育社》↓
《実物過去問》↓
年度は違いますが、共に芝浦工大柏中の入試問題です。
2種類では、余白のスペースが激しく違います。
実物と同じスぺースにすると、ページ数と値段が大幅に増えますから、余白が少ないのは仕方ないことです。
対策の1つは、大きな計算用紙を用意したうえで、問題に直接書き込むことです。同じ過去問を時間を測って2度解くことは、受験校が2校ならできても、4校以上だと無理ですから。
(なかにはB4の左半分に問題をコピー、右半分は何も印刷しない計算スペースにした人もいます)
【4】第一志望を続けて解く
過去問を解けというと、第一志望校の過去問を解きたがります。
言い方を変えると、一番偏差値が高い学校の過去問を解きたがるのです。
第一志望校が渋谷幕張中なら、10月1週に「2019年1回」、10月2週に「2020年1回」、10月3週に「2020年2回」と連続して解いてしまいます。
当然ですが、10月に第一志望校の合格最低点に達する受験生は、1割もいません。めげるだけです。
10月1週に渋谷幕張なら、10月2週は東邦大東邦、10月3週は市川学園、10月4週は都内、11月1週に別の年度の渋谷幕張・・・という具合に解きましょう。
1か月経つと、少しずつ実力がついてきますので、「合格最低点まであと45点」だったのが「あと34点」というように、合格に少しずつ近づいてくる実感がわきます。
【5】都内の最新過去問を先に解く
今年2022年の1月2月に出された「最新の過去問」は、いつ解けば良いかと、何度か質問されました。
私の答は「最新の過去問は12月か1月に解く」です。
過去問の役割の1つは、傾向に慣れる点です。
ただし出題傾向は、年度によって少しずつ変化することもあります。
最新の3年分を9月10月に解いてしまい、12月1月に残っているのは傾向が変わる前の4年以上前、というのは避けたいです。
もう1つ、都内の学校は、貴重な2月1日に、どの学校を受けるか問題との相性を探る点もあります。
偏差値52の学校は合格最低点に届かないのに、偏差値55だと合格ラインを超える点が取れることもあります。
この見極めをするために、9月10月に貴重な最新の過去問を解いてしまうのは、怖いのです。
千葉と埼玉なら、入試日程はバラバラで、一通りの学校を受けられますから、さほど神経質になる必要はないと思います。
【6】塾の授業をおろそかにする
塾の勉強も大変な6年秋に、過去問にも力を入れると、勉強時間が足りなくなります。
時間がないから、過去問に力を入れて、塾の課題を「手抜き」しようと考える人も出てきます。
ただ、塾の勉強を「手抜き」しても、過去問に力を入れたほうが良いことはあまりありません。
そういう状況で代表的なのは2つです。
《A》サピックス&早稲アカから、易しめの問題が出題される私立中の受験
普段から難しい問題をどんどん解く塾に通っている生徒が、易しめの入試問題を出す私立中を受けるなら、塾を「手抜き」するのは理解できます。1つの難問を10分かけるより、2分で解ける易しめの問題を5問解く方向が、合格に近づきます
《B》特殊な入試問題が出される私立中&公立一貫校受験
公立一貫校は、細かな知識より、資料を読み取り表現する力が必要で、合った練習が欠かせません。
渋幕、渋々はその場で考えるタイプの問題が目立ちますので、十分な過去問演習が欠かせません。
(麻布・武蔵も特殊ですが、たいていの大手塾は対策とります)
この2つに当てはまらなければ、塾の勉強時間を削ってまで過去問に取り組むのは、どうかと思います。
今までの過去問の記事です↓
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私は中学受験のプロ家庭教師をしています。
★6年生の受付は終了しています。
(現在教えている中学受験生は6年だけですから、これ以上引き受けると入試直前に余裕なくなります)
★4年5年は、曜日・時間によってはお引き受けできます。
(火曜・土曜・日曜の一部時間帯)