捨てる問題と志望校を見極める~過去問の話《2》 | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

前回に引き続き、今回も過去問の話です。

 

■過去問を手配する

過去に出題された入試問題、いわゆる「過去問」ですが、2本立てで入手するのが最善です。

《1》声の教育社の過去問を購入

1冊2000円を超えるものが多いのですが、配点や合格最低点などのデータも載っていてます。これは受験するかどうか判断する際に役立ちます。

また、解説が書いてあり、家庭で復習するのには欠かせません。なお前の方にある「出題傾向と対策」では、「難問奇問」が出題されていても「こんな問題は捨てて良い」なんて解説は、立場上書けません。「基本ができていれば十分解ける」といった表現になります。

解答用紙は指定された倍率に、拡大コピーして使いましょう。解答欄が小さいと、記述の分量の目安が分かりにくくなります。

《2》学校で買える実物過去問も買おう

実物の過去問を配布している私立中が多いです。問題用紙の大きさ、解答用紙の形式など、1度慣れておくと良いでしょう。

特に「算数の余白」の慣れは重要です。

算数では、線分図を書いたり、計算したりするスペースを確保するため、十分な余白があります。1ページ丸ごと白い紙のページもあります。声の教育社の過去問で「丸ごと1ページ空白」にすると、ページ数が増えて販売価格が上がってしまいますから、10ページの問題でも、3ページにまとめているのです。隣に1ページ丸ごと計算スペースがあるのに、問題の下の1cmの幅に線分図を書くような受験生もいますから、実物過去問も手に入れましょう。難関校を中心に、手に入らない学校もあります。

また、「独協中(文京区)」「大妻中野中」など、ホームページから過去問を引き出せる学校もあります。

 

■時間を測る

入試問題は時間との闘いです。算数は、どの問題を時間が無くて捨てるかの判断が求められますから、時間のかけ方に慣れておく必要があります。

40分の社会の問題を、25分でパパっと解いて、4割しか取れなかった!と嘆く人がいます。

時間ギリギリまで見直ししましょう。

過去問は、受験する学校の問題で合格点に達しないなら、今後の勉強の姿勢を見直す良い機会になるのです。それなのに、時間ギリギリまで粘ったら、ケアレスミスに気付いたハズ、などと言い訳のもとになる要素を残してはいけません。

さらに、普段から見直しをいい加減にしている男子は、見直しの仕方が身についていませんから、入試当日だけ丁寧に見直しするのは困難です。

6年から受験勉強を始めた「かけこみ受験」でしたら、40分の問題を、まだ力がついてないから50分で解こうという判断も、場合によってはあると思います。

 

■捨てる問題を見極める

算数は、ほぼ易しい順に問題が並んでいることが多いのですが、理科社会は違います。

理科の大問1に、難しい水溶液の計算が出ていたら、「えっ難しい!」「わ~時間がない」と焦ります。

算数の大問2の1行問題にも、かなり難しい問題が入っている学校があります。過去問で慣れて置けば「今年も大問2で難問が出たか。」と気分的に余裕をもって先に進めます。

過去問で慣れておくことで、「後回しにする」「捨てる」問題を判断しやすくしておくのです。

合格ラインが65%なのに55%しか取れない受験生が逆転合格をするには、ミスしてはいけない基礎を固めるのに加えて、捨てる問題を指示しておく必要があります。

私なら「算数は50~55点しかとる力しか無い。更に得点力を上げるには、100点のうち20点は空欄で良い。80点分に手をつけて15点ミスして良い。これで65点を狙おう」と指示します。他の受験生が難しい問題に取り組んでいる間に、他の問題をミスの無いように丁寧に解くことができます。

塾の先生に、「過去問を解いて55点だったのですけど、捨てて良い問題はどれですか」と答案を見せて聞くのも良いでしょう。解く前に尋ねると叱られる可能性がありますが。

 

■書き込みをしよう

「実物コピー」と「声の教育社過去問」に、書き込みをするのに抵抗ある生徒がいます。

同じ過去問を、もう一度時間を測って解くことは、まずありません。ミスした問題だけ再度解くことはありますが。

ですから、どんどん問題に書き込みましょう。

さすがに算数の図形の角度を答える問題で、角度の書き込み無しという人はまずいませんが、文章題やグラフの問題に書き込みをしようとしない人がいます。複雑な条件を覚えながら次を考えるのは無茶です。

書き込みをしておくと、「時間がかかりそうだから、次の問題に進んで、時間があったら戻ってこよう」という判断ができます。戻った時に、書き込みがしっかりしていれば、問題文を繰り返し読むことなく、すぐ考えることができます。調子が悪くても成績を下げない効果があるのです。

 

■知識問題は、数週間後にもう一度

「五角形の1つの内角は108度」「無胚乳種子は柿以外の双子葉」「憲法改正の発議は《総議員》の3分の2」といった知識問題。

知っていたら点になる知識問題は、やはり少し時間が経ったら復習しましょう。

同じ問題が繰り返し出る可能性は低いのですが、「前回ミスした問題、今度は間違えないぞ」と、やはり自信につながります。

 

■志望校の相性を探る

過去問で志望校の相性を探ることができます。

偏差値50の学校だと合格最低点に達しないのに、偏差値54の学校なら合格最低点が取れることも、珍しくありません。

出題傾向や配点によって、合否が大きく違ってくるのです。

開成中では理科社会が易しいので、理科社会で圧倒的に点を取れても苦手な算数の点は少ししかカバーできません。

私の住む千葉県でも、いくつか傾向があります。私の体感では、こんな印象です。

普段から「これでもか!」と難問を解き続けているサピックスのような塾に通う受験生は、市川学園に受かっても東邦大東邦には不合格になりやすいです。逆に、中小規模で丁寧に教える塾では、東邦大東邦までは合格できても、市川学園にはなかなか届きません。

頭は良くないけど必死に努力を重ねた生徒は専修大松戸には受かりますが、芝浦柏には手がでません。

逆に頭は良いけどキッチリと復習をしない生徒は、芝浦柏に受かっても、専修大松戸には受からない可能性が高いです。

千葉県内なら入試日程がバラバラで、両方受けるのが基本ですから、さほど問題にはなりません。

しかし、都内なら「記述が多い」「難問が多くて合格点が低い」など、出題傾向が違う学校が目立ちます。校風に特にこだわりがないなら、受かりそうな学校を狙うのも選択肢の一つです。(校風原理主義の先生からは叱られそうですが、6割の生徒はどんな学校に進んでも適応していけると感じています)

 

 

1か月前にアップした「過去問の開始時期」の話はこちら↓

 
 

 

 

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10月初めまで仕事と趣味のため多忙で、更新できませんでした。ご了承ください。

 

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