古内一絵さんの『百年の子』を読みました。
学年誌を作っている・作った人々のお話
学年誌の歴史の物語でもあるし、戦争の物語でもあるし、人の生き方の物語でもありました。
子供の頃に小学1年生とかを読んでいたような気もするけれど、作っている方にこんな深い思惑があったなんて考えても見なかった。何しろ、子供だったし。それに親も何にも考えていないと思うし
それでも本を作っている方には色々と思いがあって、これを作っている。
学年誌は、男女の区別がないっていう話も、性別関係ないから色々な分野の話題を盛り込めるって話も素敵だと思った。
男の子だから女の子だからという区別なしに雑多な分野に触れて、自分がどこに興味を持っているかに気づくことができるのが学年誌。
公教育では色々なことを学ぶのと一緒だね。
自分には興味がないことも、他の誰かには唯一のものになるかもしれない。
だから、公教育では色々なものにちょっとずつ触れる教育が行われている。
物語は、二人の女性が軸です。
孫と祖母。そして時々祖母の娘であり、孫の母。
舞台は文林館という出版社
そこに勤めている孫と、戦時中臨時職員をしていた祖母。
コロナ禍真っ最中の令和と戦時中の昭和。
章ごとに時間が行き来する物語。
文林館の学年誌創刊百周年記念企画チームに配属された女性ファッション誌担当だった市橋明日花と学年誌『少國民のひかり』の愛読者の鮫島スエ。
なんで私がこんな企画チームに…左遷か?と怒りと悲しみとやるせなさでいっぱいだった明日花が徐々にのめり込んでいく様子も面白いし、スエの學びに対する貪欲さにも惹きつけられる。一生懸命に生きて、そして秘かにつながっていくのが。
手塚治虫先生みたいな人が出てきたりもするし、林芙美子っぽい人も出てくるし、締め切り間際編集者たちの悲喜こもごもも面白い。
祖母のスエちゃんがとてもとても魅力的な物語でした。
これ、映画かドラマになりそうだね~👏