刹那-the Everyday Messiah- -6ページ目

刹那-the Everyday Messiah-

紡がれた言葉が、刹那でも皆様の心に残れば……

「柊くん、ツリーってここでいい?」

「ああ」


12月23日

俺と江岸は、燕ノ巣のクリスマスの飾りつけに来ていた。

本来なら、クリスマス仕様の飾りつけは11月の末に行うのが普通なのだが、「1ヶ月もフライングするやつらの気がしれねぇ」という料理長の意見により、燕ノ巣は12月23日から3日間だけ、イルミネーションの飾りつけをすることにしているらしい。

だが、夏休みに岸本元市長が逮捕されたことを聞いて動揺した料理長が東京の病院に入院してしまったため、メインディッシュを作るための料理の柱がいなくなり、更に岸本が逮捕された現場が燕ノ巣だったこともあり、客足が一時期急激に減った。

それを何とかしようと、女将さんが色々と手を尽くしたらしい。

今では、以前ほどではないにしても、客も沢山市外から来るようになった。

さらに、今は「自分の店を持ちたい」と燕ノ巣を止めたはずの浮島さんがメインディッシュを任されている。

俺自身、忙しいときはコックとして厨房に何回か入っている。

で、人手不足な状態ながら、クリスマスにも来たいという客の予約が取れたため、俺と江岸は急きょ呼び出されたというわけだ。

一応監督という名目で綾瀬とあず姉も手伝ってくれている。

「そういえば、料理長は元気か?」

俺が飾りの入った箱を運びながら、綾瀬に聞いた。

「元気っていえば元気だよ。指もなんとかくっついたし、身体は問題ないんだけど、まだ市長のこと気にしてるみたいなんだよね……」

「…………」

江岸がふと、暗い表情を見せる。

父親の復讐のために燕ノ巣を利用し、結果的に料理長の指切りと経営衰退の原因を作ったのは、他でもない江岸なのだから。

俺はすぐに江岸の顔に気付き、声をかけようとした。

しかし、江岸はめまぐるしい速度で表情で子を戻すと、俺に声をかけてきた。

「柊くん、その電球の紐ちょうだい」

「……あぁ」

驚くほど速い気持ちの切り替えに呆然としている俺を見て、あず姉がゲラゲラ笑っていた。


「うわぁ……!」

飾りつけが完成した。

さっそくライトアップをお願いすると、眩いほどの色とりどりの光が輝きだす。

燕ノ巣特製、羽ばたく燕のイルミネーション

圧倒的なその美しさに、俺はため息しかこぼれなかった。

「そっか、工藤くんは初めてみるんだよね」

あず姉の言葉が聞こえてきた。

頷いた時、そっと、江岸が手を握ってきた。

びっくりしてそっと隣を見ると、江岸はじっとイルミネーションを見つめたままだった。

だが、よく見ると、頬が紅く染まっている。

思わず、こっちまでも照れてしまう。

手が震えていることに自分でも気が付きながら、江岸の――梨奈の小さな手を握り返す。

すると、安心したように肩に頭をゆだねてくる。

他の2人も、飾りのライトに魅入っている(後々考えてみると、2人とも気を使ってくれてたのかもしれない……彼氏持ちだから)。

だから、俺も安心して梨奈の頭を素直に受け止める。

なんとなく、今年の冬はそんなに寒くない気がした。

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆

夏の浜辺クリスマスバージョン、いかがでしたか?

バイトで遅くなってしまい、結局イブに更新間に合わなかったのはすみません汗


今回は、後輩の希望により、夏の浜辺になりました。

本当に久々です、柊作や江岸達を動かすのは。

久々すぎて動かし方を忘れていました( ̄ー ̄;

そのため、慎重にキャラを動かしていきましたが、何故でしょうね……蘇芳がヒロイン書くと、なぜか皆甘えたがるんですね……今回の江岸然り。

ちなみに、途中まで柊作が江岸を名字で呼んでいたのは、本人がまだ気恥ずかしいからです。

元々ヘタレキャラの柊作らしいといえばらしいですがww


さて、またいつか、夏浜のアフターストーリー書きたいと考えています

またあの町で彼らに出逢えることを祈って……

メリークリスマス


銀城蘇芳

夢を見ることもない暗い中で 眼を開けてゆっくりと動き出す


何気ない日常の中 何かが壊れた

誰かが僕の名前を呼び続けている

限りなく広がっていく割腹のウィルス

崩れゆく平和の園に血の臭いが薫った


ただ一人僕だけを求めさまよう 奈も知らぬ透き通るような陰


吟う様に広がる連鎖 むしろ鮮やかで

本当の悲劇が何か今頃気付いたんだ

狂おしいほどに求める侵食の声に

思い出すことさえもない位すべてを投げ捨てたんだ


代わりなどいないこの世界において

僕は自分を変えた

暗すぎる夜に終わりを届けた

自由へのカタルシス


何気ない日常の中 何かが壊れた

本当の悲劇が何か 今頃気付いた

安泰を望む望む世界に終わりを感じて

二つを一つにできる力を僕は探し求めたんだ

この空に


代わりなどいないこの世界において

僕は自分を変えた

暗すぎる夜に終わりを届けた

小さな光


溢れる涙はこぼす必要ない

僕がすべて背負おう

深い地の底で輝く灯火

自由へのカタルシス

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いかがでしたでしょうか?

今日は蘇芳と兼ねてより仲良くしていただいている、みんとすさんの誕生日(´∀`)

ということで、みんとすさん作の小説「暗黒と少年」より、怪異・穏慈を詞にさせていただきました


穏慈さん自体は以前に「ANCIENT BLACK」というタイトルで詞を書かせてもらったのですが、今回は主人公のザイヴ君と出会う前~会ってからを書いてます

簡単に言うと、「ANCIENT BLACK」の前の時間軸を書いていることになりますね


最初は他のキャラを書こうと思ったのですが、なかなか筆が進まず、1時を回った頃に諦めて穏慈さんにシフトチェンジしました(^_^;)

無事に完成してよかったです…


また、近いうちにもうひとつ詞を更新します。

そして、ようやくですが……「銀の少女」をまた書き進めていこうと思います(ж>▽<)

最近全く書いてなかったのですが、この前久々に書く気になったので、原作も進んできています

ぜひご期待ください


では、改めて……

みんとすさん誕生日おめでとうございます!!(≧▽≦)

詞の方のURLはこちら
http://s.ameblo.jp/chrysalis-0607/entry-11587649644.html?frm=theme
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
ご臨終です……
その言葉が今も私の頭にこだまする……。

夫が入院した。
もう結婚して10年近くになるのに、私達はお互い冷めることなく、お互いを愛していた。
子供はいなかったが、それでも私達夫婦は幸せだった。
そんな矢先の、夫の入院。
私は、夫の治療費を稼ぐために必死に働いた。
もう一度、二人で寄り添い歩けるように…
それだけを心の糧にしながら。

ある、吹雪が酷い日だった。
例年に無いほど激しい低気圧が日本列島にぶつかり、普段から雪が積もるこの町は白い景色にみるみる蝕まれていった。
なんとか動いていた電車に乗り込み、病院へ向かっていた。
今日も、寝る間を惜しんで働いた。
寝るのが怖かった。
夫がいない世界が、絶えず夢に出てくるのだから。
この日も、例外ではなかった。

猛烈な吹雪の中、私は歩いた。
前も後ろも全く見えない。
かろうじて足下だけが見えるくらいだ。
そんな道を、私は歩いた。
残る足跡は1つだけ。
はたった独りで歩いていた。
あの人の姿はどこにもいない。
振り返ると、夫の姿はなく、真っ白な嵐が全て呑み込みながら迫ってきていた。

ハッとして飛び起きる。
駅が見えて、自分が寝ていたことを知る。
それに、病院がある駅を、大分過ぎていたことも。
時間を確認しようと携帯を取り出して眉をひそめる。
病院から何件も電話がかかってきていたのだ。
嫌な予感がよぎり、急いでかけなおす。


容態が急変して意識が戻りません。急いでこちらに来てください


絶望が私を襲った。

そして、そんな私を尻目に、停車していた電車のドアがゆっくり閉まった――


白い吐息が目の前を包む。

急いで次の駅で反対の車線に乗り換えたものの、あとひとつというところで、電車が吹雪で止まってしまった。

それでも、待っているわけにもいかず、私は歩いて病院へ向かうことにした。

足元さえよく見えない吹雪、方向もよく分からず、携帯のバッテリーが切れてしまい、時間さえ分からないまま、私は一心に歩き続けた。

あの人の方が、もっとつらいはずだと言い聞かせながら。

ふと後ろを振り返ると、そこは一面銀世界。

否、それ以上に真っ白な嵐が私の後ろをついてきていた。

まるで、気を抜いた瞬間に呑み込んでしまおうとでも言うように。

そんな白い世界に恐怖を覚えながら、私は無我夢中で歩いた。

だが、意識が薄れながらも、夫の病室の前に着いた時には遅すぎた。


ご臨終です……


猛烈な吹雪の中、私は歩いた。
前も後ろも全く見えない。
かろうじて足下だけが見えるくらいだ。
そんな道を、私は歩いた。
残る足跡は1つだけ。
私はたった独りで歩いていた。
あの人の姿はどこにもいない。
振り返ると、夫の姿はなく、真っ白な嵐が全て呑み込みながら迫ってきていた。
まるで、気を抜いた瞬間に呑み込んでしまおうとでも言うように。

私は迷うことなく足を進めた。

きっと向こうに、大好きなあの人がいると信じて――


白い嵐の中、1組の足跡がどこまでも続く……

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

こんばんは!


急に書きたくなったので、投稿してみました

もう1年以上前に書き上げた詞を自分で小説に仕上げるのは大分大変だと思っていましたが、やはり書き始めてみるとそうでもなく←


今回、この話を書いたのも、完璧な偶然です。

急に、この小説の風景が浮かんで、タイトルも「二人で歩いた白い道を…」と、その時点で決まっていました。

この小説は、完全に自分の方からやってきてくれました。

まぁ、大分詞の方の世界観とリンクしていないところはありましたが(^_^;)

来たイメージ通りに書いたら、予想以上に原作そっちのけでしたww


ちなみに、これ昨日の段階で挙げようと思っていたんですよ

ただねぇ、PCが暴動を起こしまして(・・;)

急に止まって再起動…結末まで書いた話が真っ白に(T_T)

さすがにもう1回書く気になれずにその日はふて寝しました……


だから、今回は少しだけ追記・訂正したものになります


それでは長くなりました

これからも詞の方もこの小説の方も愛していただけたらと思います


銀城蘇芳


※今更Asterの小説の存在完璧に忘れてたとか言えない…(・_・;)

「…ん?」

帰り道
特に急ぐ用事もなく、ゆっくり歩いていると、地図を見ながらふらふら歩いている少女を見つけた。
歩いているというより、地図を見てはあっちへフラフラ、こっちへフラフラと、さまよっているように見えた。
普段なら関わるのも面倒くさいから避けるのだが、今日はちょっとだけ気が向いた。
頭をかきながら、ゆっくり声をかける。
「あの…どうかしました?」
少女は一瞬ビクッとしながらこっちを向いた。
そして(何故か)俺の顔を見ると、安心したように微笑んだ。
「ええ、実は今日こちらに引っ越して来たんですけど、家がどこか分からなくて…」
「…なるほど」
急にやる気が削がれた。
まぁ、この町には生まれてからずっと住んでるし、場所も大体分かる。
「ちょっと地図を見せてもらってもいいですか?」
「あ、どうぞ」
「…………」
どうしよう。
家の近くだ。
ここで軽く場所教えて終わろうと思ってたんだが。
面倒くさいなぁ…。
「あのぉ…」
しかし、隣で少女がこちらを待っている。
声かけたの俺だし、仕方ないか。
「じゃあ、俺の家の近くなので、案内しますね」
「本当ですか!?お願いします!」
少女は飛び上がって喜んだ。
元気な人だなぁと思いながら、俺は歩きだした。
「あの!」
振り返ると、少女はスッと手を差しのべてきた。
ニッコリと笑いながら。

「渡辺紗奈です!よろしくお願いします!!」
「…相川将太です」
軽く気圧されながら、俺も手を差しのべた。

こうして、彼女との話が幕を開けたのだ。

ごめんね もう少し朽ちていく愛と踊らせて


寄り添った日は過ぎて虚空が私を抱く

音さえモノクロな夢なら覚めてしまえばいい


何もかも寂しくて 黒い霧が包んでる

途切れたことも知らぬまま赤い糸を辿っていく


薄れていった現実 見えない世界が私を呼ぶ

小さな悪夢の音に委ねてみんなも眠れ…


誰も知らないのに声が流れる

謀の集い

「待っててね…今行くから」

濡れた私の顔が笑った


薄れていった現実 見えない世界が私を呼ぶ

小さな悪夢の音に委ねてみんなも眠れ…


すべて夢だったとどこかでは望んでいたんだ

でも もう戻れない…「さようなら」


薄れていった現実 「あなたが大好き 今もずっと」

心の中で笑う 狂った時間が進んでいく


千切れた赤い糸を大事に胸に抱く 涙流れる

心残りはないと振り下ろした別離


モノクロの足音に永遠の夢を見た……

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いかがだったでしょうか?


今回は藍雨さんの小説「CLOSED ESCAPE」から、栢山佳香をテーマに書かせていただきました!

CLOSEDは初めて読んだ藍雨さんの作品で、いつか書きたいとは考えていたんです

ただ、書き始めると思った以上に難しくて…

初めて何も浮かばず1日放置しました(・・;)


ただ、そのおかげで、なんとか仕上げることはできました。。


佳香を選んだ理由は、島崎先生を想う狂的な愛が見えたから

ある意味、CLOSEDのキャラの中で一番まっすぐだったので、表現してみたくなりました


また、機会があればほかの作品も書かせていただきます!

藍雨さんありがとうございました!!

濡れた唇で囁かれた永久の別離の言葉

ひとつ聞くたびに忘れていく 光の中で


無慈悲な時間だけが憶えているのは寂しいと

墓標を胸に刻みつけるのは罪ですか?


誰も聞こえない悲鳴が聴けたらいいなと思う

流されていった水はもう二度と戻らないと知っているけど…


膝を着くような絶望にも声を涸らし泣けたら

雫の向こうに未来がある 気付けたのに


無価値な人生と決めつけるのは哀しいと

忘れないように涙を堪えるのは罪ですか?


誰も聞こえない悲鳴が悲鳴が聴けたらいいなと思う

降り注ぐ雨に疲れた時の傘になれたらいいな…


心からいつまでも伝えたい

思い出を翻って気付いてほしい 優しい瞳


これからを生きる人へ繋げたい白い地図

長い旅の果てに…


だから言葉が声があるんだ 思い吐き出すために

声を出すことが苦手な人の耳になれたらいいなと思う…


心からいつまでも伝えたい

独りでは生きられない 気付いてほしい「手を繋げること」


愛しい人へ……

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

Gravekeeperいかがだったでしょうか?

今回は、蘇芳がずっと書きたかったテーマ「命」について書きました


これを書いた日、人身事故がありまして…

自分が居合わせたわけではないんですが、アナウンスを聞いただけで頭がおかしくなってきて……

気付いたら地元の駅で死んでました


ニュースやこういったアナウンスを聞くたびに思うのが「命って何だろう?

今の蘇芳のように、音楽や詞に癒された人って多くはないと思う

だけど、自分の下手くそな詞がすこしでも皆様の心に傷跡を付けることができたら…

それが、ここ最近の詞を書く動機でしょうか


今回は自殺したいとまで思い悩んでいる人に対して、最終的にどういう存在になりたいかを明確なテーマに据えて書きました

ちなみに、全て偽善でもなんでもなく、蘇芳の本音です

たまに「偽善者ぶるな」と言われることがあるので、先手を打っておきます


今まで以上に、蘇芳の詞の中でダントツにメッセージ性が強いと思います

この詞を読んで少しでも何か感じたという方がいれば、幸いです


銀城蘇芳

「咲妃ー、準備できたー?」


10月31日

今日はいわゆるハロウィーン。

水崎咲妃は、海道市で行われる仮装行列に参加していた。

仮装は定番の魔女やゾンビ、アニメのコスプレなども多い。

「すごい人だね……」

水崎は呟いた。

海道市に引っ越して数年が経つが、仮装行列は年々規模を増している気がする。

仮装行列は秋のお祭りも兼ねるため、あちこちに屋台も出回っている。

ちなみに、売っている人の大半が仮装している。

「あ、あそこの幽霊綿あめ食べたい!」

「面白そうじゃん。咲妃も食べよう?」

「私は遠慮しておく」

友達が買いに行ったのを見届け、水崎はゆっくり周りを見回す。

いろとりどりの仮装の衣装があちこちでうごめく。

「あれ?水崎か」

飛び跳ねそうになった。

驚いたのもあるが、それ以上にその声はずっと片思いをしている人の声だから。

「く、黒川くん!」

振り向くと、仮装した黒川リンがいた。

「びっくりしたー。黒川くんも仮装するんだね」

「そんなに意外か?一応毎年出てるんだけど」

「そうなの!?」

内心、去年そこまで注意して見ていなかった自分に歯ぎしりする。

「今日は1人?」

「ううん、友達と来てるけど…はぐれちゃった。黒川くんは?」

いつのまにか、行列もだいぶ進んでおり、友達の姿が見えない。

「俺も似たようなものかな。明日花と竜と一緒に来たんだけど、俺がから揚げ買ってる間にはぐれちゃって」

「そうなんだ……」

彼の口からほかの女性の名前が出てくると、水崎はなぜか苦しくなる。

胸がキューッとなるような痛みが襲う。

私だけを見てほしい――ついついそう思ってしまう。


水崎、一緒に回らないか?


「ふぇ?」

考え事していたせいで、ものすごく素っ頓狂な声が出てしまった。

「くくく黒川くん、今なんて」

「一緒に回らないかって言ったんだけど……嫌だったか?

「ぜ、全然!」

無理してつい声が大きくなる。

嬉しすぎて顔がつい緩みそうになる。

その時、リンがそっと手を差し出してきた。

「……?」

意味がわからずにポカンとしていると、彼は水崎の手を自分から引っ張ってきた。

「え!?黒川…くん!?」

「はぐれるといけないだろ。手、離すなよ」

「…………うん」

彼はそのまま水崎を引っ張って歩き出した。

ぼんやりと、黒川くんと手をつないでいることを再認識する。

心臓が痛いくらいに脈打っている。

きっと彼は、水崎の顔が紅くなっていることに気付かないだろう。

水崎の気持ちにも。

それがちょっと残念ではあるけれど、だけど今は――

(この幸せが少しでも長く、続けばいいな……)

今頃、綿菓子を片手に自分のことを探しているであろう友達のことを、水崎は都合よく忘れることにした。

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


銀の少女 ハロウィーンver.です!

水崎とリンのちょっとした1日を書かせていただきました。

(実際には2人が仲良くなったのは11月に入ってからなので、今回のはパラレルに近い形になります)


相変わらず、水崎の動かしやすさには感動します(≧▽≦)

主人公のリンの方が動かしにくい位ww


今回は特に伏線とかも考えず、気楽に作ったお話です(特別編には、普通伏線とか張らないと思いますが)

また、水崎が元気に動く様を、ぜひ見に来てやってください。


では、また本編で会えることを祈って……


※誰か、リンと水崎のコスプレを書いてくださる絵師様募集します!

衣装は指定しませんので、書きたいという方は蘇芳までよろしくお願いします

「きりーつ、礼」


学級長の号令が響く。

今日の授業も終わりを迎えた。

俺、相川将太はうつぶせだった姿勢を伸ばした。

空は既に赤く染まり始めている。

「お疲れ、相川」

声をかけてきたのは友人の村松大助だ。

「ん」

軽く手を挙げて応じる。

「向こうの席から見てたぜ。お前ずっと寝てたじゃん。席1番前なのに」

もう一度名乗るが、俺は相川将太。

出席番号は、この生涯通して1番である。

「眠いから仕方ない」

「いや、その仕方ないは意味わからないぞ……。んじゃ、また明日な」

「うっす」

村松は部活に行った。

ほどほどに真面目なあいつらしく、部活は弓道部で、1年にもかかわらず、大会で賞をもらったこともあるほどの腕前。

自称脱力系男子の俺とはえらい差だ。

「……さて、帰るか」

バッグを肩にかけ、席を立つ。


「今日も星、見れるかな……」


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

穏やかな日の午後

照りつける夏の陽射し

振り仰いで見た空

雲が浮かんでた


私は一人で生まれ消えるのかな……?


砂場の中に埋もれてた奇跡を巡り会いと呼ぶのなら

怖いけど歩き出そう 一度きりの「恋」を知る旅


手を伸ばしたら あと少しで届くのかな?

見えるようで見えない 君との距離


終わりが来るってことから目を背けたい……


優しい君の横顔が大好き だからとても苦しいの

お別れを言わなくちゃ だけど今はこのままでいい……?

「ねぇ…この手……つないで?」


訪れた終幕の日 だけど怖くない

君が一緒なら幸せだから


砂場の中に埋もれてた奇跡を巡り会いと呼ぶのなら

この声が出る限り君に伝えたい……


「好き」って言葉を君の声で聞けたことが何よりも嬉しい

鮮やかな日々の中に消えていった「傍にいさせて……」


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

今回は、再び藍雨さんの小説から

蘇芳自身も大好きな「Lie」を、ヒロインの秋野理衣の視点から書かせていただきました!


小説自体がファンタジックで切ない話なので、どういうアプローチで行こうか迷ったのですが、結局自分の感性に身をゆだねましたww

結果1時間弱で書きあがりました(^_^;)

ですが、決して手を抜いたつもりはありませんし、少しでも原作の魅力が伝わるように書いたつもりです


今回も新しい挑戦ができましたし、最近の蘇芳が無意識に避けていた「恋」や「大好き」といった言葉も取り入れてみました

皆様に理衣らしい部分が垣間見えることができたら幸いです


では

藍雨さんありがとうございました!!

…………あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


気が付くと、俺はベッドの上だった。

躰中汗だくで、呼吸も荒い。

そっと、左胸に手をやる。

傷一つなく、心臓も正常に動いている。

「夢……?」

呆然としながら、必死に今までのことを思い出そうとした。

「俺は……」

蛍火達に連れられて、G・O・Hの本部に行って、鳳凰と対面して……

人身に衝撃が走った。


何故俺は生きているんだ?


おそるおそる躰をよく調べてみる。

火傷ひとつなかった。

頭が混乱してくる。すると……

ピンポーンピンポーン

インターホンが鳴り響いた。

「誰だよ……」

苛立ちながら、玄関を開ける。

そこにいたのは1組の男女。

女の方は、長い髪を1つにして結んだアジア系の顔立ち。

男の方は、紅蓮の髪に鋭い眼。

両方とも、俺がさっきまで会っていた人達だ。

それどころか、男の方は俺をさっき殺した


「やぁ」


成川先生と鳳凰がニコニコしながら、大きなビニル袋を提げて立っていた。