少々ウィリアム・モリス
に触れたところで、
どうにも装飾芸術には疎い(他のことも同様ではありますが)ということを書きました。
まあこれも機会というものですから、そちら方面にも少々目を向けてみようかと手にしたのが、
以前にも水彩画
とか近世日本絵画
とかでお世話になったシリーズの一冊、
「すぐわかる作家別アール・ヌーヴォーの美術」でありました。
タイトルの傍に「アール・デコ」と小さく書いてあるので、こちらの方も少々扱っているのでしょう。
そもそもアール・ヌーヴォーの潮流は
ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動に刺激を受けて、
身の回りの芸術というか、身の回り品の芸術化というか、
そうしたことにも目を向けようということでありましょうし、
またデザイン的にもモリスお得意の草花系のくるくる模様をモティーフにしてたりしますので、
大いに関係はあるのだなとは思っておりましたけれど。
(そうそう、広重
はじめ浮世絵などのジャポニスムの影響もですが)
一方で、アール・デコはアール・ヌーヴォーからの様式的脱却であるのが、
くるくる対まっすぐの関係として現れてくるのが何とも分かりやすい構図ですが、
例えば同じ鉄という冷たい無機的なものを扱いながら、
片や鉄であるのにそうではなくて柔らかな曲線で見せようとするのに対して、
鉄は鉄としてかっちりまっすぐとばかり無機質の美を追求しようとしているかと。
ざっくりそんなこと思いながらさまざまな作品に触れていきますと、
どうやらそうした思い込みばかりでは片付かんのかなと思ってくるわけですけれど、
ともかく今となってはどっちにも理屈があって、
それぞれに「美」を見せてくれるものだなと許容できるのではないかと思うわけです。
中には「うむむ…」と思わぬものもないではないですが。
というところで、ガラス・宝飾、絵画・ポスター、建築、家具・インテリア、金属工芸・陶磁器、ファッションと
「いかにも装飾芸術なのだな」ということが窺い知れる本書の構成ですけれど、
気の付いたあたりを記しておくとしましょうか。
まずはガラス・宝飾でありますけれど、いくら知らないとは言はいえ
エミール・ガレ
の昆虫やらキノコやらをあしらったガラス器は見たことがありまして、
「これぞアール・ヌーヴォーなのでは…」と思ったりしてました。
このところ見てきたように、アール・ヌーヴォーが世紀末的な位置づけの中にあるとして、
絵画にファム・ファタル
がたくさん描かれたわけですが、
ジョルジュ・デプレによるガラス製のパネル(タイトルは「波」)は
女性の裸身が長い長い髪の毛のうねりとともに水流の中にたゆたう感じは「まさに!」ではないかと。
女性の長い髪というのは「男を絡め取る」みたいな魔性の権化として見られたそうでありますけれど、
その流線的なイメージはアール・ヌーヴォーの植物の蔓などと極めて近しいものですから。
清里
の北澤美術館で見て、なかなかのインパクトであったのをじわじわ思い出してきました。
(ちなみに画像はこちら
。北澤美術館にリンクします)
そして、これまた有名なルネ・ラリックの方は、
アール・ヌーヴォー風の宝飾デザインをしてたのが後に
アール・デコのガラス工芸作家に転じていったらしい。
箱根 のルネ・ラリック美術館に行ったときに、
せめてそのくらいのことは知ってた方がよかったですね…。
絵画・ポスターの章ではミュシャ
、クリムト
、ビアズリー
といったあたりが紹介されていて、なるほど。
そして、ちょいと前にBunkamuraで展覧会のあった(行けなかったですが)
タマラ・ド・レンピッカもここに登場です。
レンピッカの絵に登場する女性像は、アール・ヌーヴォーのファム・ファタルとは打って変わって
ボーイッシュで活動的な女性たち、いわゆる「ギャルソンヌ」でありますね。
後の章(ファッション)で出てくるガブリエル・シャネルらが提供した活動的な服を纏って、
女性が外へ外へという時代になっていたということでしょうか。
あたかも彫像が絵になったような、いささか作り物臭いというか、はたまたマネキンのようなというか、
そうした人物像は工業製品にもデザインが持ち込まれる潮流と同じものなのではないかと。
建築はといえばオットー・ワーグナー
にガウディ
、
そしてアール・デコの分類でフランク・ロイド・ライトが出ていましたけれど、「そうだったのかぁ…」と。
ところでその後のページのインテリアや工芸品のところでは、
「お!こういうの、ウィーン で見たっけ」というコロマン・モーザーや
ヨーゼフ・ホフマンの作品が紹介されてたりするんですが、
ドイツで言うところの「ユーゲント・シュティール」はざっくり言って「アール・ヌーヴォー」だったわけで、
いわゆる「分離派」の流れも同根となれば「そりゃ、そうだ」となりますねえ。
今さらではありますが、欧州の席捲した様式だったのでありますね、「アール・ヌーヴォー」は。
![すぐわかる 作家別 アール・ヌーヴォー[アール・デコ]の美術/岡部 昌幸](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F512EBP5BRYL._SL160_.jpg)










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