・小安石 (子宝祈願の霊石)
“朝陽館を越えて、月宮宝座への最初の石段を登った右手に小安石がある。写真には写っていないが、二メートルほど隔てて大安石と向かい合っており、共に霊石として、その肌を手で撫でて、多くの人が病気のおかげをいただいている。
表面にかわいらしい赤子の足跡が沢山現れているので、赤子石と呼ばれ、この岩のあった法貴谷は、そのために名所になっていたほどであるが、昭和の初め天恩郷に納まり、出口聖師が鎮魂を施して霊石とされたのである。
『この岩には小児の病気平癒をお願いするがよい。また子のない人は子宝を得るようにお願いするのがよい。……霊を入れるということも、わたしはただ岩に命令するだけのことで、命令を受けると、そのときからすぐ石はその働きを起こすのである』と、「水鏡」に出ている。
松、モミジ、タラヨウなどの木陰に、さりげなく据わっているこの赤子岩も、実は、神格者の命のまにまに、霊妙の活気をたたえ、永遠にその聖なる使命に生きているのである。
松葉に混じってきれいなモミジの葉が、いくつか岩の上に落ちていた。赤子の足と赤子の手、神ながらの取り合わせである。”
(「人類愛善新聞」昭和51年12月号 『天恩郷の美 小安石』より)