悪神が仕組みを取ろうとする | 瑞霊に倣いて

瑞霊に倣いて

  
  『霊界物語』が一組あれば、これを 種 にしてミロクの世は実現できる。 
                            (出口王仁三郎)  

・内容が分かりやすいと悪神に仕組みをとられてしまう

 

 “・・・・・・そして物語の第一巻が発表されるわけですが、さっぱり理解できません。聖師にうかがっても、「お前は頭が悪いから分からないのだ、もっと一生懸命に読め、くり返し読むうちに分かってくる」とおっしゃるだけです。しかしいくら一生懸命読んでも、どうしても理解できません。ふたたび聖師におうかがいすると「これは分かる人には分かるのだ」「いまのうちに発表しておかなくてはならぬ、お前が出版関係の責任者になって、早く出版せよ」と命じられました。しかし「私は理解できなくて苦労しております」と申し上げると、「お前は大バカ者だ、だから勉強せい、官憲と交渉するのもお前がよい」とのお言葉でした。

 当時はたいへん厳しい検閲でしたから、原稿、校正ズリをもって、日に何回も特高警察に行かなくてはなりません。そしてそのたびに「ここはいかん、ここは消せ、これはけしからん」と全部チェックです。おまけに「ここはどういう意味だ、お前わかるのか」、わかると言えば分かるし、分らんといえばわからんです、と答えると、「分らんものをもって来てどうするんじゃ、もって帰れ」とお説教です。でも出版すれば分かりますと応えると、「バカ野郎、お前が分らんものを出版してどうする。変なものを出版すると大本はまた問題になるゾ、お前が責任をとるのか」、責任をとか言われても私は困ります。聖師が出せというから出版するのです、いけまへんか。「お前ぼけとるのか、もういっぺん出なおしてこい」ということで、何回も京都~綾部を往復しました。

 しかられて「やっぱりダメでした」と帰ると、こんどは聖師のお説教です。「お前の交渉が悪いからじゃ、お前は心の中に『私』があるからだめなのだ。私の心がなくなったら神様が使ってくださり、検閲の刑事にも分かるようになる」と教えられ、再び警察に参ります。すると「お前の言うことはサッパリ分らん。おまえ気がおかしいんじゃないか」・・・・・・“

 

 “・・・・・・物語は神様が出せとおっしゃるのですから、何が何でも出版しなければなりません。さきほど申しましたように私自身も理解できませんでしたが、しかし、これが本当の教えだとおっしゃるのですから、そう信じるよりありませんでした。

 ある時、私はあまり皆が分らんというので、聖師に「もう少し分かりやすいのを出してください」と申し上げると、聖師は「あまり分かるものを出したら悪神に仕組みを取られる。五十年か六十年先になったら、こういう官憲の圧迫もなくなるし、時代がどんどん進んでものの考え方が広くなり、物語も必ず理解されるようになるから、それまで辛抱せい」とおっしゃいました。その言葉を聞いて、私はさっそく計算してみました。「まてよ、その頃おれはいくつになるんだろう」、そして聖師さまに、「その頃にはもう、天国に行っているかもしれませんよ」と申し上げると、「お前は生きているかもしれない」といわれました。“

 

       (「おほもと」昭和52年2月号 『聖師と霊界物語』 大国美都雄)