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押しつぶされた粘土の塊ように見える
この色鮮やかな物体は、実は史上最も
正確な地球重力場のデジタルモデル
なのだという。
先週公表されたこの重力地図はジオイド
と呼ばれるもので、欧州宇宙機関(ESA)
の観測衛星GOCE
(Gravity field and steady-state Ocean
Circulation Explorer)により作成された。
一般に、地球は比較的滑らかな球体だと
たいていの人は考えている。しかし地表の
物質は均等に分布しているわけではなく、
海水も風や海流により常に移動している。
ジオイドとは、地球の物理的な外見では
なく重力を捉えた姿であり、平均海水面を
地球全体に延長したと仮定した場合の形
を示すと、コロラド大学の地球物理学者、
ジョン・ウォー氏(John Wahr)は説明する。
「例えばデンバーが海抜1600メートルだと
言うとき、それは基本的にジオイドから
1600メートルの高さにあるということを意味
する」と、ウォー氏は電子メールで述べた。
地球物理学や測地学ではジオイドを
「重力の等ポテンシャル面」とも呼ぶ。
地球の地殻は均一ではないため、地表
での重力も地点によって異なり、ジオイド
にも画像のような起伏が生じることになる。
GOCE衛星はESAにより2009年3月に
打ち上げられた。高度260キロ付近の
低極軌道を周回している。
高精度重力センサーを用いて場所による
地球の重力場の変化を測定し、打ち上げ
以降、軌道を1万回以上周回する間に
データを蓄積してきた。
こうしてできあがったジオイドを用いれば、
地球物理学者は地球の内部構造を詳しく
解明できると、カリフォルニア州パサデナ
にあるNASAのジェット推進研究所(JPL)
の測地学者、マイケル・ワトキンズ氏は話す。
重力地図は海洋学者にとっても大きな
意味を持つ。
海水は、風や海流によって1つの場所から
別の場所へとかき寄せられるからだ。
「何らかの方法で(例えば衛星のレーダー
高度計を使って)海洋表面の地図を作れた
なら、その海面とジオイドとの差を見れば、
海流の方向と大きさを推定できる」とコロラド
大学のウォー氏は言う。
「ジオイドが正確であればあるほど、精密な
推定ができる」。
ウォー氏とワトキンズ氏はGOCEチームの
メンバーではないが、NASAの同様の衛星、
GRACE
(Gravity Recovery and Climate Experiment)
のプロジェクトに参加している。
GRACEはGOCEよりも高い軌道を回っており、
作成される地球重力地図の精度はGOCE
よりも低い。
だが、解像度が低い代わりに、GRACEは
時間の経過を捉えることができる。
これによりNASAは、移動する洪水の水や
融解する氷河による地球重力の変化を追跡
できるのだ。
「GOCEが重力場の高解像度スナップショット
だとすれば、GRACEは中解像度の映画だと
言える」とJPLのワトキンズ氏は説明する。
「スナップショット」をよく知れば知るほど、
映画が進む中での変化を正確に見いだす
ことができるため、2つの衛星は互いに補い
合う関係にあるという。
例えば、先月日本を襲った壊滅的な地震
に関係するようなプレートテクトニクスのプロ
セスを理解するために、ジオイドの研究が
役に立つ可能性もあるとワトキンズ氏は指摘
する。
「巨大地震は、重力場に変化をもたらすほど
の質量の移動を引き起こす。
このような重力場の変化は、地震のメカニズム
について多くのことを教えてくれる。
また、とくに海底地震では(地殻を)直接観察
することが難しいため、ずれや隆起がどの
程度起こったかを重力場の変化から知ること
ができる」。
Image courtesy ESA/HPF/DLR










