(ビジネス知識)国債格下げが日本経済に与える影響について、説明しますの巻 | ちょっとの努力(仮)

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今回も、先週水曜日と同じく、震災関連記事をお送りします。


昨日(5月31日)、アメリカの格付け機関

ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)」は、


日本国債(以下、国債)の格付けを、現在の「Aa2

(21段階のうち上から3番目)から引き下げる方向で見直すと発表しました。


今後、3ヶ月程度かけて格下げの是非を判断するそうです。


(まだ決定はしていませんが、一気に2段階引き下げられる可能性もあるそう

です。)


では、国債が格下げになると日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか。


今回は、その具体的な影響をいくつか紹介します。


まず、国債の格付けが引き下げられると、国債価格が下落

=長期金利が上昇)します。


国債価格の下落で大きな損失を被(こうむ)るのは、銀行です。


2010年末時点で、都市銀行93兆円地方銀行30兆円の国債を保有しています。


とくに満期の長い国債を多く保有する地方銀行は、都市銀行に比べて長期金利上昇リスクが大きいです。


日銀の試算によると、地方銀行1%の金利上昇で4兆円規模の損失を生むリスクをかかえています。


国債価格下落により、保有する株も安くなれば、自己資本が大きく毀損(きそん)し、倒産危機をむかえる銀行が続出するかもしれません。


すると銀行の預金者保護のために政府が公的資金を注入する必要があり、

日本政府の債務(さいむ)がさらにふくらむことになります。


また、国民一般企業にも影響が出ます。


金利が上昇すると、変動金利の住宅ローンを組んでいる場合は返済額が

上がります


企業は投資の減退によって結果的に収益が悪化し、賃下げリストラが加速するかもしれません。


さらに、もし国債が暴落(ぼうらく)するようなことがあれば、もっとも被害をこうむるのは年金生活者だといわれています。


現在、日本ではデフレが続いていますが、国債が暴落していったんインフレになると、実質的な年金額が減らされるからです。


この点について少しくわしく説明します。


年金は2004年度までは物価上昇率に応じて年金額も増える

物価スライド」方式を採用していました。


しかし現在の「マクロ経済スライド制度」方式では、年金額の伸びを物価の伸びよりおさえることになっています。


つまり年金以外に収入のない人にとっては国債暴落にともなうインフレが進むほどダメージは大きくなるのです。


上で紹介したのは国債が市場(しじょう)からかなり厳しい評価を受けた場合の例であり、実際に今回おこなわれる(予定の)格下げがどの程度の影響を及ぼすかはわかりません。


しかし日本経済にとって良くないニュースであることは確かでしょう。


なお、今回格付けが見直されるのは震災だけが理由ではありません


ムーディーズによると、格付け引き下げの理由として、


震災にともなう日本経済の成長見通しの悪化に加えて、緩慢(かんまん)な政策対応によって巨額の債務を削減する計画が進んでいない」ことを挙(あ)げています。


つまり昨日の発表は、震災からの復興対策や財政再建のための青写真(あおじゃしん)をなかなか描けない、日本政府に対して警告(けいこく)を発したものだと思います。


いつまでも日本政府が党内の派閥(はばつ)抗争や与党・野党での権力争いを続けていて復興も財政再建も進まなければ、いまは震災の影響で同情的な海外各国からも、日本が見離されてしまいます。


一刻も早い復興対策・財政再建策を発表することが、日本の経済をこれ以上悪化させないために必要だと思います。


(参考:「週刊東洋経済」 2011年4月2日号)


「震災ボランティア制度」導入企業・紹介記事へのリンク↓

http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10902332238.html


夏の電力不足に向けた各企業の取り組み紹介記事へのリンク↓
http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10880485195.html


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http://ameblo.jp/chottonodoryoku/entry-10931276505.html