哲学者・森岡正博さんが書いておられた。
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生まれると、つらいことや苦しいことを必ず経験する。生まれなければ、それはない。もちろん生まれてくれば楽しみや喜びがあるけれども、人生のつらさや苦しみはそれらによってはけっして埋め合わすことはできない。だから生まれてこないのがいちばん良いし、子どもは産むべきではない。
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こういった主張を「反出生主義」というのだそうだ。
そして、
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人類は絶滅してもいいと言います。ただ彼らは、今生きている人は幸せに生を全うしてほしいと望んでいます。
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とも。
私は、反出生主義という言葉を今日初めて知ったが、私の心の根底にもこの考え方は結構根強くあると思う。
ただ、いくら生まれてこないのが一番いいといったところで、誰一人「自分の意思で生れ出てきたわけではない」以上、考えるだけムダだという気持ちもどこかにある。
それに、どんな形でいつ人生を終えるか、全く分からない状況で、生まれてこないのが一番と言っても意味がない。
私には子どもはいないが、それにしたって、子どもは産むべきではないと断言できるほどの主義主張があってそうしたわけではなく、結果としてそうなったに過ぎない。
反出生主義は生きる意味の哲学と並行して議論されるとのことだが、結局私は、どちらも「信念」といえるほどの主張は持ち合わせていない。
そうしてどっちつかずのまま、あっという間に、残り時間のほうが少なくなってしまった。
考えて 迷っている間に 終わる日々
鞠子