風邪をひいて、でもこれなら食べたい、食べられると思い行った近くの店。
ここは普段、夜利用する。歩いて行ける範囲なので、一人飲みに格好の場所なのだ。
だがしかし、もう数か月、夜も利用していなかった。
朝、薬を飲んだのが病院に行った後10時ごろだったので、次は1時30分頃服用してくださいと薬剤師さんに言われ、それに合わせて1時30分に店に入ったのだが、応対に出てきたスタッフは、私を見るなり「久しぶりですね」と言うではないか。
一瞬、誰かと間違えているのかと思った。
だから私は、この店を昼中に利用したことは数えるほどもないし、そのスタッフを見たのは初めてなのだ。
それなのに、なぜ「久しぶり」なのか。
例えばアプリに登録すると、入り口の自動扉が開いた瞬間、「この人は何回目の来店。前回の来店は〇年〇月」などという情報が画面に出る、とか。
でも、今日見た限りでは、そんな画面はないし、そんな確認をしたようにもなかった。
ということは、つまり、そのスタッフが私をほかの客と間違えているか、あるいは……
あるいは私がそのスタッフの顔を忘れているか、しかない。つまり、加齢で。
うちの職場のオトコ後輩は、飲食店で「お久しぶり」と声をかけられたら以降、もうその店は利用しないそうだ。
そういう店で人間関係をつくるのが嫌なんだと。
それを聞いたとき、そんなこと気にしなくていいのに、と思ったが、いまさら彼の気持ちもちょっと理解できた。
何度思い返しても、私はそのスタッフが思い出せない。だから、「久しぶり」と言われても、返す言葉がない。
今回、風邪をひかなきゃこの心境は味わうことがなかった。
咳止めの 効果で半分 寝て打つ文
鞠子