条件が許したので、昼飲みした。
昼なのに、ちょっぴり飲み過ぎてしまった。
たくさん歩いたほうがいいかもな。
店を出てまっすぐ家に帰らず、大まわりをしてゆっくり歩いた。
途中、「稲荷神社」と書かれた小さな看板を見つけた。
右手のほうに上がれと矢印が記してある。
こんなところに神社なんてあったっけ……
結構急坂だったが、上がってみると、小さな稲荷神社があった。
そしてその神社にまた矢印があり、「この先、公園があるので火気厳禁」と書かれていた。
この先に公園? そんなもの、あったか? それに、矢印に従えば、山を登ることになる。見上げた限り、さらに急坂だ。
皮肉な話だが、しらふなら絶対無視した。ところが、酔っぱらっていたがために、気が大きくなっちゃってて「確かめてみたい」欲がおさえられなくなったのである。
…でどうなったか。
危なかった。
枯葉が積もりまくり、道が見えない。その道も、舗装されているわけではなく岩がゴツゴツ。おまけに滑る。一歩間違えば、山の下まで滑り落ちてしまうほどの急坂。柵も手すりも全然ない。
途中で、「引くも地獄・進むも地獄」みたくな状況に陥った。
なにより私は酔っている。その上、リュックの中に、本日のみ15%引きのクーポン狙いで買った1.05ℓの『胡麻麦茶』が入っている。
もう、お尻で滑り降りるしかないかと覚悟した。そうなったら、破れたスパッツとコートを身に着けた状態で、家まで歩くしかない。
ま、結局、そんな最悪の下り方はしなくてもよかったが、本当に怖かった。
稲荷神社まで戻れたときには、どれほどホッとしたことか。
これで怪我でもしようものなら、一体何をしていたのか、説明したって分かってもらえないところだった。何よりこの年齢だもん、治るまでに長い年月かかるに決まっている。
これからは、チャレンジもほどほどにしなければ。
特に酔っ払い時。
つくづくと自戒した。
足裏に 岩を感じて 汗流る
鞠子