職場でとある古い書類を探すために、しばらく開けていない引出を開けた。
そこには、現役時代、私が担当した仕事の書類が種類ごとに束ねて積み重ねてある。
そういえば、このとき、こんな取り組みしたんだった、とか、このとき、こんなトラブルがあったんだった、とか、書類を見ているうちにいろいろ思い出した。
決して十分とはいえないけど、そのときそのとき、私なりに頑張ったんだ、と思えた。
そう思えば思うほど、もうこれは捨てた方がいいという思いが強くなった。
確かに、時代が違い過ぎて、今では通用しないような取り組みもいっぱいあるため、これを取っておいても仕方がない側面がある。
残した方がいいものは、必然的にデータとしてパソコンの中に入っているのも確か。
でもそれ以上に、「もう私は現役じゃないんだから、身辺整理をすべきだ」と思い出したのだ。
定年後の今、嘱託という身分は「付け足し」。
現役時代と変わったことと言えば、9時から6時までの時間拘束が解かれたことのみで、仕事内容は基本的に変わっていない。
だが、心境的には全然違う。
嘱託だからなのか年齢からくるものなのか分からないが、今、処分しようとしている書類の時代に持っていた「熱」は、今の私にはない。
今日から、息子の年みたくな若者が、新人としてお試し勤務をしている。
そんなことも相まって、その引出の中のもの全て、廃棄用の段ボールに詰め込んだ。
思った以上に、特別な感傷などわいてこなかった。
怒るのも 泣くのも全て 熱あふれ
鞠子