何十年ぶりかに渡辺淳一先生の本『医師たちの独白』を買った。
ネットで宣伝されていた内容がちょっと気になったからだ。
昔から乱読・多読だった私が最初に買い集めた作家は、横溝正史。
そしてその次が、渡辺淳一。
『失楽園』系統ではなくて、医学を題材にした小説にめちゃめちゃハマった。今でも『ヴェジタブル・マン』を読んだときの衝撃は鮮明に残っている。
で、久々の渡辺先生なんだけど。
いやあ、やっぱり「さすが」。
この先生は、ストーリーに無駄がなく、かつとてもわかりやすい。
最近、本を読むのもなかなかおっくうになっていたのだが、久々に「早く続きが知りたい」という気になっている。
そして、若かったあの頃、この人にハマった自分をありありと思いだした。
小説の中身ももちろん、自分を思い出すという意外な「本の効用」も痛感した。
おまけに、
たまたま、渡辺先生の前に吉村昭の小説を読んでいたのだが、『医師たちの独白』の中で、渡辺先生が医師の道を捨て小説家になったのは吉村先生との紙上でのバトルが大きな契機になったことを知り、その偶然にもちょっとびっくりした。
本は本を導き、自分の過去をも引っ張り出す。
ゲンキンなもので、だから、また、いろんな本を読みたくなっている。
いっそ死んでくれれば……
(『ヴェジタブル・マン』の帯に書かれていた言葉。これも衝撃的だった)