私はまだ、人のいるところではマスクしている。
石鹸による手洗いやうがいも欠かさずしている。
最近またはやり出したコロナしかり、手足口病、プール熱 …… マスクや手洗いがどれだけ効果があるのか分からないと思いつつ、止める勇気は今のところない。
私のまわりは、圧倒的に「コロナにかかったことがある」人が多い。
非常に乱暴な線引きだが、そういう人たちは、おしなべてコロナに関して「強気」な人が多い。
2回3回とかかる人がいることもちゃんと知っているのだが、それでも1回かかったからかかりにくいだろう、と思っているフシがある。
しかし、それ以上に強気な理由は「経験したことがある」からだ。
かかったとき、たいしてしんどくなかった人は「またかかってもあんなもの」と思うし。
ものすごいしんどい目に遭った人でも、それを「知っている」のと「知っていない」のでは大きな差がある。
その上、人は「忘れる」。
どんなにひどい目に遭っても、時とともに徐々に忘れていく。
かくいう私も全くそう。
二日酔いでひどい目に遭って、もう二度と飲まないぞと間違いなく思ったのに、しばらくするとまた普通に飲んでいる。
おまけに、懲りずにまた二日酔いになったりする。
体温越えの気温になったとき、どんなに暑いか。
もう知っているから「明日の最高気温は38度です」と言われても、「ふうん、また暑いのか」とうんざりため息ついて終わる。
知らなかった頃は、38度なんて聞いただけでもゾッとしていた。
…等々考えると、やっぱりしんどい目は早く遭遇しておいた方がいい気がしてきた。
「かわいい子には旅をさせよ」とか「若いときの苦労は買ってでもしろ」は、まさに言い得て妙だと思えてならなくなってきた。
コロナ、かかってみるか……(いや、ダメダメ。もう若くないんだから)
温室の ガラスの向こう 苦が満ちる
鞠子