西隣の家の裏庭に、庭師さんらしき人が作業をしている気配がした。
そう言えば、我が家の裏庭の木も伸び放題で、西隣の家、南下側の家まで図々しく枝を伸ばしている。
いかん、これは今のうちに何とかせねば……と重い腰を上げ、完全防備で挑んだのはいいのだが、枝を伐採し始めてから思い知った。
こんなちゃちい植木ばさみでは追いつかない。のこぎりで、バッサリ切るしかない。
いそいそとのこぎりを持ってきて挑んだが、それからまた気がついた。
こんなちゃちいのこぎりではらちが明かない。それに、切った木、どうするよ……
隣の庭師さんが、我が家の裏庭をのぞき込みながら、何度も行き来している。
試しに聞いてみた。
「小さく切って、普通ゴミに出せば大丈夫ですよ」
そんなことは、ワカッテイル。だが、小さく切るのが一苦労なのだ。おまけに、ツンツンとがった葉の木があり、そのへんにあるごみ袋では強度的に耐えられやしない。
ちゃちな植木ばさみとのこぎり。そして、伐採ゴミ。
この調子じゃ、1日では終わらない。いや、何日やっても切れると思えない。そして大量のごみ。
困った。どうする。
隣の庭師さん、見るに見かねて助っ人を申し出てくれた。
聞けば庭師ではなく、隣家の遠縁の人で、外構工事をやっている職人さんなのだそうだ。
職人用の頑丈なのこぎりを持ってきて、全ての木を根元からばっさり切ってくれた。
そして、伐採ゴミはゆうに「軽トラ1台分では載せきれない」くらいある。
近いうちに取りに来て、処分してくれるそうだ。
炎天下、暑さと慣れない仕事で腰は痛いわ足は痛いわ。
くたくたになってしまった。
ま、当然、お金は払ったが、だったらなおのこと、初めから頼めばよかった。
この疲労、回復するまで何日かかることやら。
木の中に 朽ちたハチの巣 カサカサと
鞠子